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百貨店の “光” を求めて

column vol.884

今年の初夢は、楽しい夢を見たかったのですが…、、、

残念ながら……、仕事についてでしたね…(汗)

今日に限ったことではないのですが、最近は“仕事”の夢しかほぼ見ないような気がしています…

仕事以外の時間をもっと充実させないといけない…(涙)と思いつつも、本日はあえて仕事について話を進めることにいたしました。

私の専門である小売業についてです。

昨日は早速、各社で「初売り」が見られましたね。

今まで不安視されていた「百貨店」も各社客入り・売上好調と報道されています。

例えば西武池袋本店では、店の外に行列ができたため、予定を30分繰り上げて午前9時半に開店

人出は昨年に比べ約1.5倍だったそうです。

〈時事通信社 / 2023年1月1日〉

確かに、私も多くのクライアントからクリスマス商戦が好調だったと報告を受けており、年末年始も過去2年と比べて賑わいが戻ってきていると実感します。

さらに、インバウンド消費による底上げもあるでしょう。

円安を味方にする「インバウンド消費」

観光などで短期滞在する際のビザの免除個人旅行解禁といった水際対策の緩和で、訪日客が戻ってきています

〈繊研新聞 / 2022年12月29日〉

11月の免税売上高は、大丸松坂屋百貨店が前年同月比7.4倍三越伊勢丹6.6倍高島屋4.2倍そごう・西武2倍だったとのこと。

三越伊勢丹19年比でも3%減の水準まで回復しています。

カギとなるのが、ご存知「円安」です。

実際、ラグジュアリーブランド宝飾品時計など高額品を買い求める個人旅行客が急増

伊勢丹新宿本店は11月の免税売上高が、ピークだった18年度の水準を上回っています

水際対策が緩和する前は「中国のゼロコロナ政策がどう影響を与えるかな?」と思いましたが、香港、台湾、韓国など東アジアの顧客の買い上げが大幅に増えて、中国からの訪日客の落ち込みを補っています。

ちなみに12月からは、中国の規制も緩和されましたが、当面は海外への渡航を制限し、国内の消費回復を最優先することが想定されているので、高島屋では「コロナ前の水準に戻るのは23年度以降となるだろう」と予測を立てております。

とはいえ、中国の方々の需要のピークとなる春節(中華圏の旧正月、23年1月22日)商戦に向けて各社、受け入れ態勢はしっかり整えていくでしょう。

今月後半からの動きに対して、引き続き注目していきたいと思います。

「組織改革」で活路を見出す

ということで、国内消費とインバウンド消費の両面からコロナ前の日常が戻りつつあるものの、小売業はさまざまな課題を抱えており、イノベーションが求められています。

そういった中で、百貨店各社さまざまな新たな取り組みに着手しておりますが、本日はその中から2つ事例をご紹介いたします。

1つは「組織改革」についてです。

H2O阪急阪神百貨店は昨年、大阪梅田ツインタワーズ・サウスの14階に移転したことをきっかけに、新しい働き方を築いていこうとしています。

〈ZD Net JAPAN / 2022年12月2日〉

目標にしたのは3点。

(1)新しい働き方による価値創造
(2)従来型ワークスタイルの変革による効率化・コスト削減
(3)オフィス環境の刷新による求心力・人材確保

具体的には、リモートワークを推進しつつ、部門やグループを超えた共創に向けて、個人の固定デスクを設けず、座席数を新オフィスに勤務する従業員数に対して約50%縮小

オフィスの面積も約30%減らしています

加えて「ABW(アクティビティーベースドワーキング)」を採用し、業務内容に応じて働く場所を選べるオフィスを構築したのです。

当然、オフィスはフリーアドレスを採用しており、外の景色を見ながら働ける窓際の一人作業席、集中作業やウェブ会議に適した個室ブース、取引先との対面の打ち合わせに利用できる会議室など、さまざまなスペースを設けています。

当社でも、フリーアドレスを採用していますが、やはりコミュニケーションする相手が多様化するので、多種多様な情報が入ってくることは大きなメリットです。

実際に話さなくても、普段プロジェクトで一緒にならない社員の近くに座ることで得られる情報は多いと感じます。

(机の資料、社員同士の会話などなど)

どういう組織を目指すかということについて、明文化したり、制度やルールを設けることも大事ですが、結構、環境をデザインすることでマインドシェアできる部分は大きいと思います。

H2Oグループ全体として、どのように変革が進むのか、今後の展開に期待が膨らみます。

社員インフルエンサーの育成・活用

続いては、人材育成・活用についてです。

大丸松坂屋百貨店では社内インフルエンサーの発掘・育成・活用に力を注いでいます。

〈DIGIDAY / 2022年12月31日〉

新規事業の一環として、インフルエンサー事業のPoC(試作検証)を一昨年から開始。

社内でインフルエンサー候補を発掘し、インフルエンサーとしてのコンテンツ制作力・運営力を身につけるべく育成。

そこから、ビジネス展開までを設計しています。

代表的な例としては、これまでも度々ご紹介させていただいた「お菓子食べすぎ会社員」こと野崎さんです。

現在、TikTokのフォロワー数が17万人に迫っています。

同社では、偏愛力の高い社員や、店頭販売やPR対応で培った表現力豊かな社員が多いそうですが、そういった方々の提案力・発信力に期待しているのです。

具体的には

(1)SNSでのPR動画の制作および配信(取引企業の商品をPR)
(2)インフルエンサーとのコラボ商品開発
(3)アカウント運用コンサルティング&運用代行サービス

を展開。

先ほどの「お菓子食べすぎ会社員」野崎さんは、モロゾフのプリン発売60周年を記念商品をコラボしています。

大丸松坂屋百貨店では、取引先企業の商品の新たな価値を世の隅々までお届けすることが使命だと考えていらっしゃいます。

この使命を現代風に解釈し、お取引先様のSNSでの情報発信を支援することによって収益化することを目指しているのです。

確かに、小売業(リアル店舗)の一番の価値は人(販売員)にあります。

対面接客だけではなく、その人の力をデジタルを活用しながらどのように拡げていくかということは、D2Cがひしめくこの時代の大きな命題です。

最近では、そのD2Cもリアルな商品体験の場としてリアル店舗を活用するようになりました。

やはり、小売業はDXを進行しながらも「接客」という原点に立ち返り、先鋭化することがキーポイントになりそうです。

ということで、明日はその接客について、お話ししたいと思います。

そちらもぜひぜひご覧いただけると幸いです。

明日もよろしくお願いいたします!

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