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サヨナラ「PDCA」時代

column vol.516

変化が激しく予測不能なVUCA時代において「PDCAでは追いつかない」と言われて久しいですが、未だビジネスの現場ではこのサイクルで仕事を回している企業が多いのではないでしょうか?

PDCAとは

Plan=計画
Do=実行
Check=評価
Act=改善

という4つのプロセスを繰り返して事業やプロジェクトの精度を高めていく方法です。

これに対し、教育改革実践家の藤原和博さんは今の時代は「DA・DA・DAのリズム(サイクル)」の方が最適だと語ります。

〈AERA / 2021年12月21日〉

「DA」とは一体どんなプロセスなのでしょうか?

改革・改善は「スピード感」が大切

「DA」とは

Do=実行
Act=改善

「Plan」と「Check」は抜けたわけではなく、同時進行的に行っていく。つまり、走りながら考え実行しながら状況を評価(分析)する。そして、同時に改善に移る。

立ち止まる時間を無くすということですね。

サッカーを思い浮かべたら分かりやすいかもしれません。

一つ一つのプレーを立ち止まって考え、ワンプレー終わって立ち止まって評価し合うチームは見たことないですよね(笑)?

ビジネスは「間」を活かして対応する野球型から、動きながら同時進行的に対応していくサッカー型に移り変わってきていると言っても過言ではないでしょう。

しかも、「DA・DA・DA」と小さく繰り返す

小さく試し、小さな失敗を繰り返し、精度を上げていくという考えです。

今までの日本は「正解主義」でした。

そもそも人生においても、良い学校に入り、良い会社に務め、結婚し、子どもは一姫二太郎が理想で…、と普遍的な正解があると言われてきました。

当然、ビジネスも同じで欧米の成功事例を先鋭企業が真似をし、その成功を見て追随する企業が真似をしていく、真似連鎖社会でした。

でも、成功事例を取り入れ、実行した時にはすでにトレンドが終わっていることは往々にしてあるのです。

あのYouTubeだって過渡期を迎えているのですから。

「OODA」ループがVUCA時代の実行手順

この「DA・DA・DA」サイクルに近いのが「OODA」ループでしょう。

OODAと書いて「ウーダ」と読みます。

実は新しいメソッドではなく、誕生したのは1970年代。ジョン・ボイド大佐が提唱したアメリカ空軍戦術です。

相手国よりも意思決定を早く進めた結果、相手国の思考は飽和状態になって、戦況を有利に進められた」という成果がOODAの発祥といわれています。

では、その実行手順はどのようなものなのでしょう?

Observe=観察
Orient=方向付け
Decide=判断
Action=行動

特徴を一言でいえば「素早く何度も動く」です。

先ほどの「DA・DA・DA」サイクルと同じですね。

修正主義的で、サッカー型です。だから、今の時代に再びスポットが当たりました。

このような修正主義で一躍世界的な企業となった一つが「スターバックス」でしょう。

創業当初のコンセプトは「完璧なイタリアンカフェ」

立ち飲みスタイルでエスプレッソを飲みながら、タバコをくゆらせるような店で、音楽もイタリアのオペラがかかっていました。

しかし、今のスタバはどうでしょう?

これは何かを真似するということではなく、長い年月を通してお客さまを注意深く観察し修正し、それを飽くなく繰り返した結果、今の独自のスタイルを築き上げたというまさにお手本です。

ジェフ・ベゾス流「即断即決法」

そして、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスさんもこの修正主義に則って経営を行っていました。

〈東洋経済オンライン / 2021年12月21日〉

意思決定を早めるために、意思決定を2種類に分けているそうです。

一つは、一旦決めたら後戻りできず影響が深刻な意思決定。そして、もう一つは「後戻りできる」意思決定。

でも、ベゾスさんはほとんどが「後戻りできる」と考えています。

であれば、まずは少人数で決定し、実行してしまう。なぜなら、実行前の企画段階ではさまざまな意見が出てしまうからです。

あーだ、こーだ、言って会議を何度も繰り返し、ただただ月日が流れていく。そして、時流に乗り遅れマーケットにおける敗者となってしまう。まさに「小田原評定」です。

でも、本当の答えは実行してみないと分かりません。だから、まずは6割、7割の完成度でも実行してみることが大切です。

あとは、注意深くお客さまの反応を観察して修正していく。

またベゾスさんは、部下と意見が分かれた時は、部下の意見を尊重することが多いそうです。なぜなら、現場のことをよく分かっているのは部下だからです。

でも、経営陣や上司は「いや、でも経験不足だし、現場での狭い視点になっている」と慎重さが大事だと主張する方もいるでしょう。

しかし、時代は正解主義から「修正主義」。野球型から「サッカー型」に移り変わっています。

サッカー選手がゴール前でチャンスを迎えた時、監督やキャプテンに、シュートを打つかパスを出すか、シュートを打つとしたらニアに打つか、ファーに打つか、確認しだしたらどうでしょうか?

選手を信じ、失敗したら修正する。

ビジネスも同じで、マーケットはますます生き馬の目を抜く世界へと変貌しています。

もちろん慎重さも大事ですが、サッカーと同じで動きが遅れたら致命的です。

アップルでも「未完」商品をあえて戦略的にリリースしている事例もありますので、ぜひコチラの記事もご覧いただけると幸いです。

時流の流れは想像以上に加速しています。

立ち止まっていたり、歩いていると取り残されるので、「DA・DA・DA」サイクルで「ダ・ダ・ダ!」と駆け抜けた方が良さそうですね。

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