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AIが変える「未来の学校」

column vol.1171

本日は新年度最初の小売業協会・生活者委員会がありました。

〈日本小売業協会 / Webサイト〉

昨年より、「2050年の小売業のあるべき姿」を各委員と話してきたのですが、今回は東京・高輪で実施された「グローバルゲートウェイアカデミー」に参加した高校生を招き、社会人(委員)との混成チームでワークショップを行いました。

〈グローバルゲートウェイアカデミー / Webサイト〉

今の高校生といえば、30年後は今の私と同じ世代になっています。

未来の社会を築いているはずの将来世代の新しい価値観や着眼に触れ、2050年に向けての大きなヒントをもらえました😊

ちなみに、彼らにとって共通する小売業のベネフィットの1つに、「人と人が触れ合う場」、という点。

 SNSが発達したことで、誰ともつながれる時代になりましたが、心のつながりを、ちゃんと実感できているかは別なのかもしれません。

もう少し掘り下げると「友達」の捉え方が変わっているとも感じました。

もちろん人によりますが、昔に比べて「踏み込まない」境界線がより色濃いというイメージです。

その距離感は基本的には心地良く時に満たされないものもある。

心のつながりを重視する高校生たちから、そんな印象を受け取ったのです。

同時に、とある記事を思い出したのです。

未来の「学校」が果たす役割とは

それは現代ビジネス【ChatGPT時代に「学校はもういらない」の“大きな落とし穴”…! ChatGPT時代に「絶対になくならないもの」の“意外な現実”】という記事です。

〈現代ビジネス / 2024年3月20日〉

生成AIの目まぐるしい進歩に、最近では「AIロボットが授業を行うようになれば、学校はなくても良くなる」という意見も聞かれますが

この記事では、「人との付き合いを学ぶ場」として必要とされ続ける未来を示唆しています。

確かに、単に知識を得るためなら、AIロボットに任せていけば良いかもしれませんが、和を大切にする心集団(人付き合い)の中からでないと身につけられません

だからこそ、学校は「和の教養」を積み重ねるための場と再定義していっても良いと感じるのです。

例えば、「環境問題」をディベートする授業を行ったとします。

必要な化学生物数学歴史などの知識はAIロボットから学びつつ、先生は人生の先輩として多様な考えや立場を気づかせたり、心に寄り添うファシリテーターとして存在する。

さらに、落ち込んだ生徒がいれば、手を取り「心の温もり」を感じさせる

「そういう役割もAIロボットが担っていくのでは?」

という声もあると思いますし、私も今まで若干そう感じていましたが、今日の高校生のあるアイデアを見て思い直します

それは、小売業の価値を「人の温もり」と定義したチームの発表の中で、その1つに

お釣りを手渡ししてくれる自動販売機

というアイデアがあったのです。

釣り銭が出るところから、手がヌッと出てくるイメージ…

「ええええ???省人化のための自動販売機じゃん!」

と心の中でツッコんだ、その時、

他のチームの高校生たちから、「それ良いかも!」と声が挙がったのです。

私はその声を聞いて、単にサービスを提供したのでは満たされない「人が人を求める」欲求を強く感じたのです。

人と人の間に入ってこそ「人間」

人が人を求める欲求

その言葉で頭に浮かんだのが、アスキー【AI時代こそ“教養”が必要なワケ】という記事です。

〈ASCII.jp / 2024年3月28日〉

もともと私は「教養」をこのように定義しています。

「幸せに生きるための知識の運用力」

こちらは、ジャーナリストの池上彰さんの言葉。

逆に、単に知識を積み重ねている人は「物知り」というわけです。

では、幸せとは何なのか?

もちろん人それぞれということは前提ですが、人と人との心の触れ合いは幸せを代表する1つなのではないでしょうか。

一方…、心の触れ合いは時に「ぶつかり合い」に発展することもあるわけです…(汗)

それについて、書評家の印南敦史さんは、このように仰っています。

もしもチームの意見が割れているとしたら、「平等に、多数決で決めよう」と考えたくなるのも当然だ。だが多数決は、必ず不満な人が出て大きな問題になりやすい。一方、異論を抑えた折衷案では成果が出ないことも多い。しかしルソー一般意志の概念を理解していれば、むしろ異論を持ち寄って徹底的に議論し、全員が納得する組織としての合意をつくるべきだとわかる。

意見が割れているなら…、多数決で平和的に解決したくなるものですが…、ルソー「徹底的に議論し、皆を納得させろ」と主張しているわけです…

…私も…リーダーとして…、ちゃんと実践できているか…というと自信がないのですが…、確かにその大切さはヒシヒシと感じています。

「全員納得」という状況はつくり出せているとは言えませんが…、全員の意見に向き合い、その主張を心で受け止め、理解しようとしないと、チームは求心力を持って前には進めない

そうした様々な意見に寄り添うためには、教養が必要なわけです。

そして、別にリーダーでなくても、人と人の間に入って心を通わせ合うからこそ「人間」と呼び、集団(組織)の中に豊かな感情が生まれるのだと思うのです。

ドラえもんに見る「和の心」

AIということでいえば、もう1つ紹介したい記事があります。

それは、世界のグローバル思想家100人にも選出された若き天才オードリー・タンさんAIロボットに見る日本人の精神性についての話です。

〈現代ビジネス / 2024年3月28日〉

日本には大昔から「あらゆるものに魂が宿る」という考え方がありますね。それは台湾も同じですが、日本はさらに『ドラえもん』を生み出したほど、テクノロジーに親しみがある国です。ロボットと言えば『ターミネーター』のような敵をイメージする欧米とは異なります。

つまり、自然を尊重し、親しみのあるロボットを考えられるのが、日本人の特徴ということ。

そして、このようにも仰っています。

どのエピソードも、未来の道具を使いますが、最終的には「こんなはずじゃなかった!元に戻してよドラえもん!」とのび太が叫ぶユーモラスなオチがついています。
恐らくそれは、万能な「ドラえもんの世界」にのび太を連れていくのではなく、「今いるのび太の世界」に、のび太がうまくなじめるようにするのが、ドラえもんの役割だからでしょう。

確かにドラえもんは、のび太に未来のテクノロジーを提供しているだけではなく、「心の成長」を促している

猫型ロボットに人間力を重ねているところが、和の心を大切にする日本人らしい、というのは言われてみれば、確かにそうだと思いますね。

そして、この「和の心」は今、世界に広がっていると感じます。

先ほどの未来の学校で仮にロボットが「心に寄り添うファシリテーター(先生)」になったとしても、そのロボットはドラえもんのような存在でなければなりません。

そして、ドラえもんのようなロボットをつくるには、和の心を持った人間でなければつくれないでしょう。

ということは、やはり後世に続く「和の心」の伝承が必要であり、そうした場としての学校を築いていくということが望ましい気がします。

和の心を育むための学校

そして、その子たちが社会に出てからも「和の心を感じる会社」が数多存在するのが理想ですね。

そんなことを本日の高校生たちの発表を感じました。

そう考えると、AIにおける最大の恩恵は、人間の求める本質的な価値に気づけることなのかもしれませんね😊


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