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ドラゴンクエストⅢを買うまでの話【エッセイ】

 もうすぐ2月10日ですね。36年前の1988年昭和63年2月10日に今もなおRPG史上に残る大傑作と呼ばれる「ドラゴンクエストⅢ  そして伝説へ……」がファミコンソフトとしてエニックスから発売されました。東京や大阪の都心部の家電量販店や百貨店のおもちゃコーナーとかで行列作って当日にドラクエⅢを買いたい人が並んで待っていたりする映像や写真が未だに昭和最後の世相や風物詩としてテレビや新聞、雑誌などで紹介されたりしてますね。社会現象としてあの熱狂は多くの人に記憶されていると思います。たかが子どものおもちゃファミコンのゲームで……とか当時のまだゲームをまったく知らない世代の大人は訝しくそれを見ていたのでしょうけど、僕は当時小学3年の3学期で9歳でした。そしてその熱狂の渦にまんまと巻き込まれ人生でも強烈なインパクトを与えられるくらいの衝撃と思い出をたくさん味わい、頂きました。まあそんなある意味最初の国民的大傑作RPGのドラクエⅢについて、他でもいろいろと語ってきたので、ここではドラクエⅢを買うまでのエピソードを少し紹介したいと思います。

当時の行列の様子

 これも書いたかもしれないですが、あの1988年2月10日に発売されたドラクエⅢを次の日の建国記念日の2月11日にまだ手に入れてなかった僕は母と大阪難波の高島屋やビッグカメラとかいろんなおもちゃ屋さんとか家電量販店を回って探していました。が、やっぱりニュースにもなるくらいの超人気ソフトだったので「ごめんね、坊やそのドラゴンクエストⅢのソフトはもう売り切れて店にはないのよ。次はいつ入荷するかわからないし」とかやさしい店員さんとか残念がり過ぎて落ち込んだ9歳の僕をそう慰めてくれたりしていました。でもどうしても諦め切れなかった僕は疲れたのか呆れたのかわからない困惑した表情を浮かべる母の手を掴んで「いや、まだ探せばどこかに売っているはず」と子どもながらに物凄い執念(ただのわがまま?)を見せてさらに難波の地下街「なんばCITY」をまるでドラクエの勇者になって洞窟を探検している気分で目に入る売ってそうな店を片っ端から訪ねて「ドラゴンクエストⅢ売ってませんか?」って聞いて回りました。そして、遂にあの日本中ほとんどの店で2月10日に売り捌かれて蒸発してしまっていたはずのあの「ドラゴンクエストⅢ  そして伝説へ……」がなんばCITYの今はもうないですが、1980年代当時はあちこちにあった小さなおもちゃ屋さんに「実は少しだけ僕の判断で何本か昨日で売らなかったドラクエⅢがあるんやけど」って言う奇跡のおっちゃんがいて遂に発見。大急ぎで母の元に行って「ドラゴンクエストⅢっていう昨日発売されためっちゃ面白いファミコンのソフトあるんやけど、買ってください」と改めて真剣にお願いしました。母は普段はやさしいのですが、当時学校から帰ってきて宿題もせずにファミコンばっかりしていた僕を見ていて、ファミコンにはかなり悪い印象を持っていたみたいでなかなかファミコンのソフトは買ってくれない厳しさがありました。しかし、「あんたがそんなに熱心に探し回ってやっと見つけたんやろ?今日逃がしたら次はいつ入るかわからんらしいから今日は特別やで」と言い当時まだ消費税導入前の定価5900円でドラゴンクエストⅢを買ってくれたのでした。その新しく買ったソフトを入った喫茶店で宝物を見るような目でじっくり観察した日のことを昨日のことのようにはっきり覚えています。本当に欲しくてたまらなかったものが手に入った喜びっていうのは子供の時こそ鮮明に残っているんでしょうね。「ドラクエⅢを買うまで」という思い出話のエッセイなので内容についてはここでは特に書かないでおきますが、ゲーム内で個人的に好きな「ほこら」と「塔」のBGMの動画を上げてこれにて失礼します。ではまたどこかで。


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