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【面白いぞ!山崎CGよりも脚本・設定の妙味感じた「ゴジラ-1.0」】

※Twitterでの殴り書きですが、知り合いがこれを読んで映画に行くと言ってくれたのでこちらにも転載

【面白いぞ!「ゴジラ-1.0」感想】
「ゴジラ-1.0」、評判良かったので見に行きましたが面白かった。タマフル、アトロクリスナーで山崎貴監督だからと避けている人は勿体ない。というかヒットしてほしい。
(注:ぶじヒットしているようです)

映画の細かい評は詳しい人に任せたいけれど、一本「人間(生きる)vsゴジラ(戦争)」という対立軸がしっかりあって、それ以外の要素を引き算していっている。タイトル自体にマイナスと入っているが、作品も引き算の美学だなと思う。恋愛要素も切ることで終戦という区切りでは終わらない"戦争"を神木くん演じる主人公がどう決着をつけるかという物語に集中できるつくりだ。

時代設定の妙だし脚本の力が大きい。

終戦直後で米軍はソ連を刺激しないため動けない。自衛隊の前身である警察予備隊もない。国を守る存在がいない中で市民が、超科学とかではなくなけなしの物資と知恵で戦う。まさにD.I.Y。Do it yourself(自分でやれ)な訳で、その分「震電」の超兵器感(実際にあった戦闘機ではあるけど)官僚たちが戦った「シン・ゴジラ」とは明確な違いがあり、実際パンフレットによればシンゴジとの差異を意識したという。これまでのゴジラ作品よりも、より「自分がゴジラという脅威と対峙したら」という思いにかられる作品だった。

命の重さについても、時代設定が生きた。「永遠の0」「アルキメデスの大戦」など戦中を作品で山崎監督は描いてきた中で、戦中の命の安さを感じていたという。今作も戦後直後のため登場する軍隊経験者は「大義>命」と犠牲のヒロイズムに陥りそうになるけれど、その度にそうではなく生きることが大事なんだと引き戻す。このことで最初に挙げた一本「人間(生きる)vsゴジラ(戦争)」がより際立ち、反戦にもなっている。

映像ではゴジラを捉える上下の視点は山崎監督が手掛けた「ゴジラ・ザ・ライド」(西武遊園地のアトラクション。ディズニーシーのソアリンを5倍面白くしたやつ)での経験も生きているように感じた。ゴジラを最初に山崎監督が手掛けたのは「ALWAYS三丁目の夕日」だったし、先程挙げた「永遠の0」「アルキメデスの大戦」での経験も生きている。「シン・ゴジラ」という怪物に対峙するため、自分の得意分野、経験をフル稼働している。まさに集大成だし、この次にくるゴジラのハードルが上がりまくっていて次の監督は気の毒だなとも思う。

特攻から逃げたことへの責という、ドメスティックな部分もあるが、戦争、立ち上がり市民、命の大切さと世界でも通じる普遍性をももつ作品で、シンプルな分、世界でも受け入れられるのではとも感じる。戦後日本という時代設定の中、女性キャラはどうしても支える側になってしまうし、それがあの時代の描写としては正しいが、その中でも浜辺美波演じるヒロインは男の稼ぎに頼らず自立する意思を見せるし、神木くんを体を張って助ける。そのあたりの配慮もしっかりされている。脚本に多くの意見を取り入れたことの良さが出たのではないか。

いい「映画」を見た。と本当に思う。


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