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福岡市美術館 ミナペルホネン

建築家、前川國男設計の「福岡市美術館」に行ってまいりました。

大濠公園にある美術館で、前川國男の建物は本当に公園にふさわしい建物だとつくづく思います。

大階段やプロムナード、庇も兼ねる大きく跳ね出したバルコニー、内部の吹抜けも死んだ空間にならずに人がよく行き交う。そこに大きな開口部と中庭を設けているから、人が溜まる場所が明るくなり、建物がまさに立体的な公園のように広がりをみせる。

福岡市美術館では、「ミナペルホネン 皆川明」の展示がやっていました。

展示内容はボリュームがあったので、写真はほんの一部です。様々なテキスタイルデザインをみて、どこか民族紋様の空気感があり、世界に通じるデザインを生み出すのは温故知新の心がある者だけではないかと改めて思いました。

また展示会場の壁の所々に、皆川氏の言葉があるのですが、その言葉に共感できるものがいくつかありました。

原広司著作『集落の教え100』の中で、私の好きな一つに「同じものはつくるな。同じものになろうとするものは、すべて変形せよ。」という教えがある。

集落にあっては、おおまかにみると、同じものが多いかにみえる。しかし、それらをよく見ると、少しずつ異なっていて、(中略)それぞれは類似していると同時に差異をも指摘できるという性質をもっている。

最近、展覧会や書籍などで、第一線で活躍するデザイナーや工芸家、職人などの言葉に触れることが多いのですが、これに近い言葉をよく目にする。

"物に生命を宿す"
"生み出す物が語りかけてくる"
"自分のエネルギーを削った分だけ、物に生命がうつる"
などなど。

私が建築家を志すきっかけとなったサグラダファミリアの主任彫刻家、外尾悦郎氏も彫っている時に"石の声を聞く"という。

私は建築を生み出す環境や素材、文化の声を聞こえるように日々鍛錬する。もちろん、上手く事が進むことばかりではなくブランクもあり、次のような言葉を私も思う。

最後は、お金や物の豊かさではなく、記憶や情を紡いでいく建築を後世に残していきたい。

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