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男性に”育児にコミットする事”をオススメするロジカルな理由

クリエイティブディレクターとして、広告業界の第一線で活躍する、株式会社GOの砥川直大さん。男性が積極的に家事・育児に関わることの重要性やメリットについてたっぷり語ってくれました。

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最近気になったニュース

砥川:最近、気になったニュースは「年収が低いほうが家事をやるべきだ」っていう論争があって・・・

ミイナ:気になるテーマですね!

砥川:気になりますよね。

ミイナ:お子さんはいらっしゃる?

砥川:はい、僕は5歳と2歳の娘がいます。妻も働いて共働きですね。

ミイナ:なるほど、となるとやっぱり育児や家事なんかは分担しないと

砥川:そうですね。子どもが生まれるときに妻に言っていたのは「公平な共働きをしたい」っていうことを言っていて、というのも、妻もちゃんとキャリアがあった・・・そういった女性が子どもを産んだがために、その第一線を退くとか、時短にならなきゃいけない・・・とかってやっぱりあまり嬉しくないというか。

プラス、後輩の女性たちにとってもいいメッセージじゃないというか、この会社で子どもを産むと活躍できないとか、子どもを産むとやっぱり仕事できなくなるんだ・・・っていうのは間違ったメッセージだと思うので、そういった意味でもそれぞれが第一線で活躍して、なおかつ子育てもちゃんとしようっていうことで「公平な共働きをしたい」っていう風に思ってやってる立場なので・・・

ミイナ:おー、メンズから提案するっていうのはいいですね。

砥川:そうあるべきだと僕は思うので・・・。で、「年収低い方が家事育児やるべき」みたいな論争は、僕にとってすごく意外で。ただやっぱり日本ぽいなっていうのはあって・・・

ミイナ:やっぱり、そういう考え方がまだまだ一般的なんですかね。

砥川:一般的だと思います、割と・・・。今の若い人たちは徐々に変わってるのかもしれないですけど、やっぱり僕らの親の世代というか、昭和の価値観で育ってきた人たちは、父親が外で働いて女性が家で家事育児やってっていうのだったりするので、そこから抜け切れてない人たちはすごく多いなとは思います。

ミイナ:でもこの考え方の背景にあるのってやっぱり「稼いでる方が偉い」じゃないですけど、だからこそ、そういう発想になっちゃうんですかね?

砥川:稼いでるから偉いっていうのも、まあ言い訳でしかなくて、男性が多分そもそも家事育児をやらなきゃいけないって思っていなかったりとか、そういう育て方をされてなかったりとか・・・

ミイナ:親の姿がそうじゃなかった・・・とか。

砥川:で、いざやろうってなった時にできるかどうか分からないし、

ミイナ:実際料理作ろうと思ってもね、作れない方も・・・

砥川:それもやればできるはずだし・・・で、よく男性が言うのが「家事・育児とかは女性の方が得意だ」っていう言い方をするんですけど、でも世の中的に料理人のほとんどは男性ですし、整理整頓が好きな男性もいっぱいいますし・・・。そういった意味で男性ができないっていう理由は、本来ないのかなって思ったりします。・・・と同時に、今の男性の家事育児に対する期待値がすごく低いじゃないですか。そもそも男性はやらなくていい・・・みたいな。だから逆にやるとすごく褒められたりすごいって言われるので、

ミイナ:こう「イクメン」って言われたりね。

砥川:・・・僕は「イクメン」ていう言葉自体は、別に好きじゃないですけど、ただそうやって褒められる、褒められやすいフィールドだったりするので、ちょっと頑張ったらすぐ褒められるので、それを頑張るのはいいかなと思いますね。効果的だとは思います、すごく。

フランスの育児休暇は・・・

ミイナ:これちょっと日本特有なところなんかもあるんですかね?

砥川:例えばフランスとかで言うと、男性のほとんど、9割以上が育児休暇を・・・それもまあそんなに長期じゃなくても、最低2週間ぐらい取ったりとかするんですけど。

フランスでは、会社員の父親には3日間の出産有給休暇が与えられます。さらにその後、11日間の「父親休暇」があり、およそ7割がこれを取得するため、あわせて2週間の産休が一般的となっています。

一方、日本では父親の3割以上が育休の取得を希望しているというデータもありますが、実際の取得率は5%にとどまっています。

砥川:やっぱり女性って十月十日身ごもって、ホルモンの変化があって、痛みを伴って産んでるので、母親になるべくして母親になってるんですけど、男性って、ある日突然子どもができて、じゃあ父親かっていうと生物学的にはそうなんですけど、その心構えが多分できてないと思うんですよね。

としたときに、やはり育児休暇を取ることによって、なんとなくその子どもペースが分かるというか。これだけ大変なことなんだっていうのを実感することによって、「あ、仕事一辺倒じゃダメだな」とか家に意識が向いて、これはやっぱり家族全員でやらなきゃいけない問題だなっていう意識が植え付けられて、そうすると働き方も変わっていったりとかってするのかな、と思うので。

そういった意味では男性が意図的に育児休暇を取ったりしながら、歩み寄るじゃないですけど、男性の意識は変わってた方が良いかなとは思います。

ミイナ:育児休暇重要ですね~

授乳以外は全部やろう

砥川:重要だと思います。僕も1か月取りましたけど。まあ1人目の時取れなかったので何も偉そうなことは言えないんですけど、2人目の時は1か月育児休暇を取って・・・。その時、僕はある種のチャレンジとして「授乳以外は全部やろう」と思って。朝昼晩、3食作って、掃除洗濯やって。上の子のお迎えとか、登園とか、お迎えとかも全部やってみよう!と思って・・・。そうすると本当に大変で・・・やっぱり家事育児ってすごいなと思って。ある意味肉体労働だし。

でもコレやったら、次にコレやって、みたいなことを考えて、言ってみれば頭脳労働でもあるし。なのでオフィスでパソコンをカタカタやってるよりははるかに大変なので・・・その育休取った直後に、まず自分の母親に「ありがとう」っていうのは言いましたけどね。

ミイナ:素晴らしい。

砥川:家族全員がどうやってハッピーになるかっていう考えを多分持った方がよくて、やっぱり一番よくないのは家のことをやらない、奥さんがストレスを抱える、愚痴が多くなる、家が居心地が悪くなる、帰らなくなる、っていう悪循環なので、やっぱり最初の段階からちゃんとコミットしていって、っていうのは大事かなと思います。

ミイナ:もう育児休暇義務化ですね!

砥川:義務化してほしいですよね。

ミイナ:バランスの取れたハッピーな社員を増やすっていう意味でも

砥川:大事だと思います。

ミイナ:取りやすい会社がいいですよね。今思い返すと、三菱商事で働いていたんですけど、1か月育児休暇を取った先輩がいて、若い世代は「いいね!」っていうっていう感じだったんですけど、やっぱり上の世代は「取ってるからなー」みたいな・・・。ちょっと人によっては見方が様々で、(制度として育休は)取れるんだけど、その見え方っていうのは人によるっていうところがまだあったので、まだまだ変えていける余地はあるなってその時
思ったんですけど。

砥川:でもその人のこと覚えてますよね?

ミイナ:覚えてます。

砥川:何年も経っても。

ミイナ:何年経っても覚えてます!

砥川:それは「ファーストペンギン」だからですよね。

ミイナ:そう、偉かった・・・

砥川:偉いんですよ。

ミイナ:あの先輩。

砥川:僕の前の会社でも最初に取った人は伝説的にみんな覚えてるんですよ。やっぱり最初にやる勇気のある人は絶対的に覚えられるし・・・

ミイナ:しかも女性からすると、無茶苦茶・・・良いイメージなんですよ。

育休取得はイノベーション

砥川:そうなんですよ。だから家事育児に対する男性の期待値が低いからこそ、もうブルーオーシャンすぎるというか・・・。どれだけでも頑張れば褒められるっていう状況なので、すごく戦いやすいフィールドだと思うんですよね。

後は、やっぱりみんなイノベーションだ何だって言うんですけど、会社で育休取るってイノベーションのはずなんですよ。その男性はその会社にイノベーションを起こしてるんですよ・・・。彼がそれをやることによって、他の後輩が続いていったりする。それを見た他の人たちも「この会社で育休取れるんだ」ってどんどん広がってくっていう意味でいうと、今やるとまだアーリーアダプターというか。いずれ育休が当たり前になったときに、「いや、俺が頑張ったからこうなった」って言える。

ミイナ:言えますね~

砥川:今やれば、まだそのアーリーアダプターのフェーズなので、どんどんそういう、育児や育休がカッコ良いって思ってやる男性が増えるといいなと思います。

ミイナ:みなさん、聞いてますか?アーリーアダプターになりましょう。

砥川:やっぱり、そういう一人一人が変わっていかないと変えられないので、行政がどう言ったから変わるとかじゃなくて。やっぱり一人一人の意識で変えていけることだと思うので。

ミイナ:小さな勇気・・・「育休取ろう!」って思ったきっかけだったり、ご自身の家庭環境だったりっていうのがあったりしたんですか?

砥川:今考えると、元々僕の父親が家のこと何もやらないタイプだったので、それに対して母親が怒っている状況よく見てたので、「あぁはなりたくないな・・・」っていうのがどこかにあったんだとは思います。

ミイナ:じゃあ、反面教師的に・・・

砥川:というのはあると思います。あとはやっぱり、自分が料理できたりとか掃除したりとか嫌いじゃなかったのでやれるだろうなって思いと・・・。
あと、育休を取ったら取ったで「語れること」が1個増えるので、人間なんでもタダで済ませなくて済むというか・・・。

「1か月育休取りました」ってなったら、ここで話せる内容になるじゃないですか?それをやってる人が少ないからこそ、そこに価値があるので、そういう風にこうポジティブに捉えることもできるので・・・。

ミイナ:ネタになりますよね。

人間は「掛け算」

砥川:そうなんですよ。何やってもそうなので、そういった意味で育児休暇取るっていうこと自体はもう、コンテンツとしては面白くなるので。やっぱり人間って「掛け算」だと思うんですよね。クリエイティブができる人は多分、五万といると思うんですね・・・。で、クリエイティブで育児休暇取って調理師免許持ってるってなったら・・・もしかすると日本に数人しかいなくなるかもしれない・・・とかっていう、色んな掛け合わせでオンリーワンになっていけると思うので。

今って育休とかで女性の問題みたいな話をしてるんですけど、でも実際これもっと大きな問題で、これから「一億総介護時代」って言われていて、介護のために早く帰宅しないといけないとか。一時休まなきゃいけないってことがどんどん起こりうるんですよ。それってもはや女性の問題だけじゃなくて、男性も含めた問題になるので。

となった時に、ある種女性の問題っていうのは「前哨戦」に過ぎないというか。やっぱりみんな色んな価値観があって、色んな生き方があって、「多様性を認めていかないと回らなくなっていくよ」っていう入り口だとは思うので・・・。そういったことも見据えやっていくと良いんだろうなとは思います。ただ育児だけの問題ではなくて。介護とかも含めると。

全然そういった事をやったことがない会社が、でも介護休暇とかって上の方の年代になるじゃないですか?・・・で、上の方の人が「介護で会社休まなきゃいけない」って言いづらいでしょうし、でもやらなきゃいけないって言ったときのある種、下地作りというか・・・。

ミイナ:確かになるほど・・・。いや、そこまでは考えてなかったんですけど・・・ますます必要なことだなって・・・。

砥川:という風にロジカルに男性も捉えて欲しいなと思うんですよね。やっぱりその感情論だけで妻の為にって・・・当然あるんですけど、妻、子どもの為に・・・ってあるんですけど、そうじゃなくて、もうちょっとマクロで捉えた時に自分がこうすることによって部下たちとか社会全体がこう変わるとか、何かそういった大きい視点で捉えると、育休取ったりする事も、もうちょっと考え方が変わったりするんじゃないかな?とは思います。

「チャレンジしなさい、失敗しなさい」

ミイナ:ちなみに砥川さんが子育てする時のポリシーとかモットーとか工夫とかってあるんですか?

砥川:今、娘に言ってるのは「チャレンジすることはすごく大事だよ」ってっていう話をしていて。で、「失敗するのもすごく良いこと」と。「チャレンジしなさい、失敗しなさい」っていうことはすごく言っていて・・・。

まあ元々何かの時に娘から「これちょっとできないから、やって」って言われて、「自分でやってみなよ。何回かやったらできるから」って言って、娘が何回かトライしながらやったらできるようになったんですね。で、その時に「今どんな気持ち?」って聞いて、「すごく嬉しい」、「実はね、これをチャレンジって言うんだよ。できなかったことを何回もやってみて、できるようになって気持ちいいって、これをチャレンジっていうんだよ」って言ったらそれがすごく楽しくなって、その後も色んな難しいことがあったら「わたしもチャレンジする」って言ってやってみて、

ミイナ:かっこいいー。

砥川:その時に僕が「すごいチャレンジ上手だね、本当にチャレンジ上手だね」っていう風に言ってたら、今は5歳児なんですけど「わたしの好きなことはチャレンジすること」って。

ミイナ:いや~、もうすごい5歳児になっちゃいましたね・・・

砥川:すごい洗脳ですよね。でも影響力あるんだなと思って。何でも受け入れてくれるからこそ、自分たちがどういうメッセージを伝えるかってすごく大事だなと思いますね。

ミイナ:いや、チャレンジ精神大事ですよね。

砥川:自分もそうであるべきだなとは思うし。

ミイナ:じゃあそこは相互作用で。

砥川:相互作用ですね。「チャレンジしなさい」って言ってる父親が何もしてなかったら、それはそれで「何言ってるんだ」ってなるんで。それはある意味自分にも言い聞かせてる部分なのかなと・・・

何一つ無駄にならない

ミイナ:若者に伝えたい事を毎回お伺いしてるんですけど

砥川:僕が今思うのはやっぱり「何一つ無駄にならない」っていう風に思っていて。元々大学では国際関係学とか勉強していて、外交官とか国連職員になりたかったんですよ。

ミイナ:へー!!!

砥川:で、大学言ったらみんなすごく賢くて、何か勉強では張り合えないなっていう気持ちになっちゃって。みんなが勉強してたらちょっと違うことやりたくなっちゃって。で、料理作ったり、銀細工作ったり、そういうことやってたらそれが楽しくなって。

で、その流れで広告会社に。そうした時にそこのクリエイティブみたいなことができるようになったタイミングが30歳ぐらいで、その時子供も生まれてっていう時に、逆に社会貢献とか元々大学の時に勉強しようと思ってた部分とかがよみがえってきて、そこが自分の今やってる仕事で得たものとミックスして、今こういう風に「クリエイティブで世の中を明るくしたい」みたいなものに繋がっていったりするので・・・。

何か持ってる想いが、必ずしもそこで実現しなかったとしても、どこかのタイミングでそれが繋がったりとか・・・さっきのショッピングカートなんかでも、あれをやったことによって「あ、同じように何か考えて欲しい」っていうのがどこかで繋がっていったりとか。それによって人と繋がって新しいプロジェクトが始まったりみたいなことだったりとか、育休とったら育休取ったでまたこういうところでネタになったりとか・・・っていう風に何一つ無駄にならないし、やってきたことが全て糧になるので。そういう意味ではあまり頭でっかちにならずにやりたいこと、やってみたいことをドンドンやった方がいいなとは思いますね。

おすすめの本

ミイナ:人生を変えた本とか映画ってありますか?

砥川:人生を変えたっていうほどではないかもしれないですけど、僕がすごく好きな本がTOMSの創業者のブレイク・マイコスキーの『Start Something That Matters』っていう、「あなたが気にする事、気になる事を始めよう」っていう本で・・・TOMSの靴ご存知ですか?

ミイナ:いや、使ったことないですね。

砥川:1足買うと、1足靴を必要としている人に寄付される・・・っていう仕組みで・・・。元々この創業者の彼がアルゼンチンに旅行をしたと時に、裸足で遊んでる子どもたちがいて、それで感染症を患ったりとか、裸足ですごい距離を通学しなきゃいけない・・・みたいなのを見て、それで起業をしようと思って。

で、その時にただ靴のブランドを作るんじゃなくて、1足買ったら誰かにプレゼントするっていう「仕組み」を作って、それがすごくヒットして、今では世界中で売られているブランドなんですけど。

やっぱり今の世の中って良くも悪くも商品の質があがってコモディティ化してしまっているというか、AもBもCも全部同じってなったときに、だったら寄付してくれるブランドでいいじゃないっていう価値観がやっぱりあると思っていて、そういった意味でこのTOMSっていう靴もそうですし、そういったビジネスを通して、社会を良くしていくみたいなのって、すごく良いなと思って、そういうお手伝いがしたいなと思うようになりました。

みんな同じ物を作ってしまっても、どのみち価格競争になっていくので、そうじゃなくて考え方だったりフィロソフィーだったり、その商品を売ることによって世の中はどれくらい変わるのかっていうような指標で見られていくと思うので、そういった意味で今の会社にいながら、そういったことを一緒に作っていけるといいなとは思っています。


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「GO」のメンバー紹介

ミイナ:私たちの世代からイノベーションを起こしていかなきゃいけないことが本当に沢山あるなと・・・あ!この写真は?

砥川:これは僕の今働いている会社、GOのメンバーです。みんなすごい特殊なメンバーで、ラッパーがいたり、建築家がいたりとか、モデルがいたりとか・・・僕たちは「クリエイティブの力でどれだけ世の中を変えられるか」を僕らのチャレンジとしているので・・・「変化と挑戦を応援する」という・・・僕らが売り上げたお金は、イコール、どれだけ世の中を変えたか、という指標なので、どんどん世の中を変えて、稼いでいけたらいいなと思っている集団です。