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【2024年カレーの日】全国各地のカレーの街のルーツを探った

結論:神保町は1つのカレー店とメディア、金沢市は一つのレストラン、鳥取市はらっきょうがきっかけと考えられている。


1月22日はカレーの日

1982年、毎年1月24〜30日に開催されている学校給食週間の前に、社団法人全国学校栄養士協議会が「カレーを全国の学校給食メニューとして提供するように。」と呼びかけたことがきっかけでカレーの日が制定されました。

日本では、カレーライスは唐揚げと並んで、子どもたちに喜ばれる給食のメニューです。2023年のカレーの日は、海外で食べられているカレーについて紹介しました。

日本でさかんにカレーが食べられている街

朝日新聞の記事によると、都道府県庁所在地の中で、2012~21年の10年間の平均のカレールー購入額は、1位鳥取市、2位新潟市、3位の金沢市。3位まで日本海側の都市が独占しました。

2位の新潟市は、ひなどりの半身揚げなど、カレーにまつわるご当地グルメも集まっていました。新潟県で出会ったカレー料理は、別の記事に分けて紹介します。

2024年のカレーの日は、鳥取市、金沢市に加えて東京都千代田区にある神保町が、なぜカレーの街と言われているかに焦点を当てて書きます。

神保町

JR御茶ノ水駅、水道橋駅から徒歩10分の場所に神保町があります。最寄りは神保町駅で、都営新宿線、三田線、東京メトロ半蔵門線の3路線を乗り入れています。

神保町といえば、古本屋、出版業界が多く、三省堂など大手書店の本社も集まり、「本の街」と呼ばれています。神保町が「本の街」と呼ばれている理由は、神保町周辺には、明治時代以降、明治大学、中央大学、日本大学、専修大学などの大学や専門学校が続々と誕生し、学生や教授が法律など各学部に関する専門性のある書籍が求められたからです。

神保町は、カレー専門店も多く、「カレーの街」と呼ばれています。御茶ノ水駅から明治通りを下ると、カレー店がずらりと並んでいました。神保町には、400店舗以上のカレー専門店があります。

なぜ、神田神保町はカレーの街になったのか?

関東大震災後、1924年、スマトラカレー専門店の共栄堂、須田町食堂(現 聚楽)が創業しました。カレーを看板メニューとする飲食店は100年前から存在しました。

神保町にカレー店が急増したきっかけは、1978年創業の欧風カレー専門店、ボンディが神保町で創業しました。昭和末期に起こったエスニックブームに乗って、ボンディを追うように、1982年カヴィアル、1988年エチオピアなどの現在も人気のカレー屋さんが続々と開業しました。

神保町のカレー屋さんは、21世紀に入ってからメディアに取り上げられ、知名度が上がり、「神保町=カレーの街」というイメージが定置しました。メディアに取り上げられた結果、神保町にカレー屋さんを開きたい人が多く、2000年代以降も出店が増えました。カレー屋さんが増えすぎて、神保町からあふれ、御茶ノ水、小川町、淡路町、神田にもカレー屋さんが広がりました。

2011年から、毎年11月第一週の週末に、神田周辺で神田カレーグランプリが開催されています。小川町にある小川広場に神保町界隈のカレー専門店が集まり、グランプリを決めます。毎年3~5万人を集客する大イベントとなっています。

さらに、8月1日~12月20日の約4ヶ月半、152店舗のカレー専門店を回って、スタンプを集めます。指定の30店舗+書店、駅を回るごとに、認定証がいただけます。

神保町では、欧風カレーやインドカレーなど見られます。中華料理店でもカレーを提供していました。

大鴻オオドリーでカレーを食べた

神保町ブックフェスティバルに行く前にカレーランチしました。正午ごろ行ったときは、カレー屋さんはどこも混雑しており、特に、エチオピア、大鴻は行列が長くできていました。

今回、大鴻を選んだ理由は、2023年5月、北海道で食べたスープカレーの味が忘れられなかったから。スープは、手羽ベースのスパイス豊富な赤と豚骨ベースでコクのある黒の2種類がありました。具材は、野菜、チキン、ハンバーグの3種類があります。

今回は、赤の野菜のカレーの辛さ標準を選びました。スプーンの上に盛ったご飯をスープカレーに浸して食べます。スープがサラサラでご飯にも身体にも染みます。標準でも、唐辛子などスパイスの辛味が効いていました。

赤の野菜のカレー

石川県金沢市

石川県の県庁所在地、金沢市。金沢市に本店があるゴーゴーカレー、チャンピオンカレーは、全国各地に広がっています。全国各地にも金沢カレーが広まっているためか、金沢を訪れたとき、観光客は海鮮を求める方が多い一方で、カレー屋さんに行くと、地元の方が多く来店されているように感じました。金沢市はカレールーの購入額が3位でカレーを食べる方が多いです。

金沢カレーとは、盛り付けスタイルのことを指す。

金沢カレーは、下のような5つの独自の特徴のいずれかは見られます。

  • 黒に近く濃厚でドロっとしたカレーソース。

  • ご飯をカレーソースで覆って隠す。

  • キャベツの千切りが付け合わせになっていること。 

  • カレーの上にカツレツを乗せる場合、カツレツにソースがかかっていること。

  • ステンレス製の舟形のお皿に盛られ、先割れスプーン、フォークで食べる。

  • バラエティ豊富なトッピング

金沢カレーでは、カレー+キャベツ+カツレツ+ソースの千切りのスタイルが多く見られます。これは、カツレツ定食をイメージして生まれました。ワンプレートにまとめることによって洗い物も少なくなります。山梨県のカツ丼と同じようなスタイルです。 

割れにくく丈夫なステンレス製の舟形のお皿にすることで、回転の速さに対応しました。慌てて落としても割れにくく、変形もしにくいメリットがありました。

オムレツ、野菜、肉、カツレツがあります。自分好みのトッピングを追加して色つけしているのが、金沢のカレーの特徴です。

金沢カレーのスタイルが確立されるまでの道のり

金沢カレーの歴史について、カレーのチャンピオンの公式サイトが調べた中で一番まとめられていました。

1956年、金沢市で創業した「レストランニューカナザワ」。後に金沢カレーのスタイルを確立する方が集まって働いていました。

1961年、田中さんはレストランニューカナザワから独立して金沢市に「洋食タナカ」を創業します。1963年には、ステンレス製の船型皿、カレーの上にソースの掛かったカツとキャベツが載せられる金沢カレーのスタイルが確立されていました。カレーがあまりにも人気になりすぎて、1965年にカレーのタナカというカレー専門店になりました。

田中さんは、ニューカナザワ勤務時、同僚だった今度さんにレシピを教えました。今度さんは同じく同僚の野村さんと一緒にインデアンカレーを1964年創業しました。野菜玉子カレー、ハンバーグカレーなどトッピングのバラエティが豊富になったのは、インデアンカレーが発祥です。

1971年、田中さんはお店の切り盛りだけに集中し、常連客だった岡田隆さんにお金の管理など経営面を任せ、カレーのタナカからターバンカレーに店名を変更しました。しかし、この運営方法がうまくいかず、1973年、田中派が別れて野々市市に移転を決意しました。名前もタナカのターバンに変更しました。タナカのターバンは、ターバンカレーとの差別化を図るため、レシピの改良を加え、店舗を増やして成長しました。

一方、岡田派はターバンカレーの名前をそのまま使い、営業を続けました。

1996年、商標権により、ターバンカレーからターバンという名前を使わないように通告され、タナカのターバンは慌てて思いつきでカレーのチャンピオンに変更しました。1973年の分裂当時、ターバンカレーには、商標権がなかったため、ターバンという名は使用できていました。

ちなみに、カレーのチャンピオンからゴールドカレーが独立しました。ゴーゴーカレーは、ターバンカレーから独立して創業しました。

金沢カレー研究所で食べた

今回は、近江町市場にある金沢カレー研究所で金沢カレーを食べました。

3種類のルー(金の金沢カレー、黒のキーマカレー、赤のバターチキンカレー)、3種類のライス(白米、玄米、サフランライス、)、22種類のトッピング(カツレツ、野菜、玉子など)を選び、自分なりのカレーを完成させます。パンケーキという変わり種もありました。

金の金沢カレーは辛さより深みのほうが強く、ドロっとした濃厚なカレーでした。ルーだけでも美味しいです。

鳥取市

鳥取市は、全都道府県庁所在地の中で最もカレーの消費が多いです。

鳥取県のカレーの消費が多いと考えられる理由

らっきょうの生産が盛んだから

鳥取県は、らっきょうの生産量が日本一。鳥取県の家庭では、らっきょうを漬ける文化があります。付け合わせにらっきょうの甘酢漬けが使われ、豊富な食材とともに、さまざまなカレーライスが各家庭で作られます。さらに、カレーは一度にたくさん作りがちなため、仕事終わりの食事にもピッタリです。

すなば珈琲で食べた

鳥取駅前にある、すなば珈琲新鳥取駅前店でカレーを食べました。スターバックスが鳥取県に上陸する前、2014年に創業し、鳥取県に11店舗、岩手県に1店舗あります。コーヒーだけではなく食事、スイーツの種類も多く、スターバックスコよりコメダ珈琲の方が近いです。

カレーは、薬膳大山鶏カレー、ロースカツカレーの2種類。今回は、薬膳大山鶏カレーを食べました。野菜もたっぷり入っており、辛味は強く感じません。

薬膳大山鶏カレー

すなば珈琲について、こちらの記事に書きましたので、ぜひお読みください。

今回は、日本各地にある代表的なカレーの街について深堀りしました。横須賀や舞鶴など、海上自衛隊の基地がある地域でも、カレーが名物になっていることが多いです。海上自衛隊とカレーの関係について、別の記事で書きます。

日本各地には、カレーライスだけではなく、さまざまなカレーラーメン、カレーうどんも食べられています。各地の特産品を使ったお土産にもレトルトカレーはピッタリです。寒い日に身体を暖める食べ物にもいいです。

参考文献

2023.1.22 朝日新聞デジタル「カレールー購入額1位は鳥取、上位の特徴は 1月22日はカレーの日」

カレーに関する記事

オマケ:カレーの辛さの基準とは何か?

主観で伝える場合、辛味と辛味以外の味覚(甘み、酸味、旨味、塩味、苦味)のバランスが基準。

辛さを客観的に表したものがハウス食品の辛さチャート。ハウス食品によると、辛さレベルは、辛味成分の量(唐辛子のカプサイシン、胡椒の)の範囲を決めています。主観と客観は異なるため、人によって辛さの感じ方は異なります。同じレベル3でも辛く感じる場合と辛く感じない場合があります。

家で作る場合、初めて使うメーカーであれば、中辛を試して外食なら、最初に訪れるお店ではオススメを食べます。辛いものが苦手だけどカレーを食べたい方は、一番辛くないレベルを選びましょう。2回目に行くときに好きな辛さに合わせるのがいいです。念のため、胃腸に保護膜を張るために乳製品を手元に置いたり、注文することもオススメします。


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