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スクープ・ストライプ

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女子高生がランジェリーブランドを立ち上げる! 三角冬夕と松下雪綺。ふたりの女子高生が、ブランド立ち上げやクラスメイトの抱える問題に真剣にぶつかりながら奔走する青春小説(全16回)。
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#連載小説

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.1

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.1

Ⅰ. Proudly!
 放課後の家庭科室でわたしたちはブラジャーを縫っている。2台のミシンの音がダダダ……と追いかけあって、こだましている。
 学校でブラを縫い始めた当初、好奇の視線にさらされていたわたしたちだけど、そういうのは、さっぱりと無視した。これはれっきとした部活動だし、わたしたちはとても真剣に、丁寧にこの作業を行なっている。
 手芸部なんていうファンシーな名称をいただいているけれど、

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.2

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.2

 冬夕は、両手を上げて伸びをする。そして、やった! とつぶやく。
「雪綺、スプスプとしての初仕事だよ!」
「冬夕、なんで、わたしのことを止めたの?」
 冬夕は、あごに人差し指を当てて、うーんと唸ってから答える。
「あのね、雪綺。社会問題を解決するのは、とっても大事なことだと思うよ。わたしは賛成。絶対に声をあげなくちゃならない。でもその前に、わたしたちはスプスプのデザイナーだから、お客さんの納得する

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.3

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.3

 中学生のわたしは、学校帰りに生地屋さんで青と白のしましまの布地とスナップボタンを買った。ママの医療用のブラを拝借して、見よう見まねで作ってみた。ミシンすら扱えないわたしはちくちくと手縫いをしていた。
 どんな布地が適しているか、とか、裏地を何にするか、とか、縫い代の部分を余計にとる、とか、そういうことをひとつもわかっていなかった。だから、それはブラジャーになどならなくて、ただの布切れだった。おま

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.7

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.7

 あ、と言って、冬夕は大きなバッグをまたごそごそとかき分ける。
「だから、スプスプのパッケージもおしゃれにしなくちゃいけないと思っているんだ。それで、そのサンプルも持ってきたんだった。はい、これ」
「あ、素敵! これ、わたしにくれたバレンタインのチョコと同じところのだ」
 それは、チョコフェスに参加していた海外のチョコレートブランドのパッケージ。ビビットなブルーに金箔の文字。シンプルで甘くないデザ

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.8

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.8

 すぐさまシャワーを浴びて、さっぱりしたあと、リビングで今日の釣果を物色する。
 うんうん、素敵な素材。風呂上りだし、いいかな、ほおずりしちゃおう。
「いい生地には出会えたの?」
 うっとりしているわたしにママが声をかける。
「うん。ばっちし」
「それはよかった。わたしも新しい夏物、オーダーしよっかな」
「まいど〜。ショーツも作りはじめたけれどいかがですか?」
「まあ、じょうずね。でもそれも欲しい

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.9

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.9

Ⅲ. Shooting!
「冬夕に会いたいなあ」
 ベッドに寝転がり、つぶやく。
「は? 今の、なしなし!」
 あわててわたしは、両手をぶんぶんと振って、空気の泡のように浮かんだその言葉を、かき消す。
 明日になれば、会えるじゃん。

 泣きながら、冬夕と手を繋いで帰ったあの日以来、夏休みが終わる今日まで、わたしは冬夕に会ってない。何度か届いたメッセージを全て既読スルーしているわたしが、冬夕に会

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.10

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.10

「よくわかんないけれど、カップル成立? ていうかもともと全校生徒公認だと思うけれど。男子の冷やかしだって、つまりそういうことでしょ。ふたりのあいだに入り込めないから、外野から声をかけるんだよ。あ〜、こういう脚本書いたらいいのかな」
「なあに、メイちゃん。演劇部のためにわたしたちをダシにしようっていうの? そのために遊びに来てたの?」
 冬夕が上目遣いにメイのことをにらんで、指差す。
「いやいや、そ

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.11

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.11

***

「ねえ、ママ。スプスプのモデルになってもらえる?」
 乾燥機から取り出した洗濯物をたたみながら、料理中のママに大きな声で問いかける。
「モデル? 下着の? わたしが? いやよ」
「えっ、マジ」
 洋服をたたむ手が止まる。
「もちろん。だって仕事に差し支えるでしょ。紅茶のインストラクターが下着の写真を出しているなんて、クライアントが逃げちゃうわよ」
「うわー、マジか。詰んだー」
 わたしは

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.13

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.13

Ⅳ. Scoop Stripe!
「わたしが手芸部に入部したいと思ったのは、母にブラジャーを作ってあげたかったからです。
 わたしの母は乳がんを患っていて、左胸の乳房を全摘しています。
 それで医療用のブラをつけているのですが、ある時、こんな風にこぼしているのを聞きました。
『もうちょっとかわいくってもいいわよね。ボーダーのブラとか選べるようになったらいいのにな』
 わたしは、そんな母の願いをかな

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.14

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.14

***

「スプスプの文化祭大成功を祝して、」
「チアーズ!」
「チアーズ!」
 わたしたちは、展示の片付けもそこそこに行きつけのアイスクリーム屋『ムーン・コーンズ』にやって来ている。
 乾杯したのは、もちろんアイスクリームで。お互いレギュラーサイズのトリプルコーン。すごい贅沢してる〜!
「予約してくれた人、全員が買ってくれた」
「在庫、なくなったね」
「こんなに喜んでもらえて嬉しい。怖い気持ちも

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.15

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.15

***

 取材は翌週、家庭科室で行われた。冬夕とわたし、そして伊藤先生がインタビューを受ける。
 なぜ、医療用ブラを作るようになったのか。作り方や生地の選定も含めて、細かいところまで取材を受けた。また、この間の文化祭の展示についても質問責めにあった。
 展示内容は医療用のブラの変遷、と意気込んでいたけれど、歴史を辿れるほど特別な何かがあるわけではなかった。医療用のブラはやはり機能的であることが第

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【小説】 スクープ・ストライプ  vol.16

【小説】 スクープ・ストライプ  vol.16

***

 今日は新作ブラの撮影会だ。もちろん撮影は高階、モデルはエミリー。
「メイちゃん、久しぶり。見学?」
 冬夕がメイに声をかける。休日の今日、わたしの家にやってきたメイは私服姿。ボーイッシュなのは意外ではないんだけれど、それが、すっと似合っていて、普段着でもヒロインめいている。パリの街角のカフェにいそうな雰囲気ある。
「谷メイはわたしが呼んだ。迷惑だったかな?」
「迷惑ってなんだよお! ウ

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