メタバース寺子屋では、オリジナル絵本の読み聞かせコンテンツの第一弾としてリリースした「ピカソとエジソン」の英語版と中国語版にテキスト読み上げソフトウェア（Text-to-Speech）のひとつNaturalReaderを使用しています。ただ日本語版に関しては、今年の5月時点でテキストからスピーチに変換する精度がイマイチだったので私自身で朗読して録音していました。

ところが最近、NaturalReaderにAI Voice Generatorという有料サービス（一部無料あり）がアップデートされていることが分かり、早速、日本語対応の実力を試してみることにしました。NaturalReaderはカナダのNaturalSoftという会社が開発したもので主に英語でのText-to-Speechに強みがありますが、しかし今回、AI Voice Generatorは、多言語に関しても機能アップしているということなので期待感が増してきました。

そこで、まずはAIスピーチのトレーニング用として、青空文庫より彫刻家でもあり詩人でもある高村光太郎の詩「道程」フルバージョンをAI Voice Generatorで朗読してみることにしました。「道程」は大正時代の詩で旧字やルビがあったり、なかなかすぐには読めないワードもあったりして、特に詩を詠むときの抑揚の付け方などAIにとってはかなり難的な題材です。

つぎにその変換プロセスと課題感についてお伝えしていこうと思います。

まず変換プロセスについてですが、

(1)青空文庫から「道程」のテキストをコピーして旧字旧仮名をAI Voice Generatorで読み込められる文章にする。

(2)最初にその文章のままAI Voice Generatorでスピーチしてみる。

(3)スピーチを何度も聞き確認しながら、言いまわしやイントネーションを修正していく。

(4)スピーチに納得がいったところでWP3などの音声ファイルとしてダウンロードする。

だいたいこんな感じで進めていきます。最初、使い勝手や勘所を掴むまではちょっと時間を要してしまいましたが、なんとか80%くらいまでは納得感がいくアウトプットが出てくるようになりました。ただAIにとって詩を朗読するためには、人のサポートがかなり必要というのが実情といったところでしょうか。

次に課題感ですが、

AIとはいえ、いまのところ一回でベストなスピーチができることはなく、人の感性で修正することが必須と言えます。ただ、単純に文章を読み上げるのであれば、結構、完成度は高いと思います。しかし「道程」などの詩を朗読できるようになるためには、日本語の読み方や文章の書き方、イントネーションなどのデータベースを増やし学習し続ける必要があると思います。今後、ChatGPTなどの生成AIを上手く活用していくと日本語の詩をすらすら朗読できる日が来るかもしれませんが少し時間がかかるような気もします。
以下のURLよりAI Voice Generatorにて実際に生成した「道程」の朗読をご視聴できます。

https://www.canva.com/design/DAFuoo8iHGA/pS6vnQ-LHyWD5DSVh6H7fg/watch?utm_content=DAFuoo8iHGA&utm_campaign=designshare&utm_medium=link&utm_source=publishsharelink

ちなみに参考まで「道程」で設定したAI Voice Generatorの内容の一部を公開しておきます。AI Voice Generatorには、発声スピードを可変できるだけでなく単語や文章の間の調整、イントネーションなど細かい設定ができます。いろいろと課題はありますがこのような機能を使うと細かい発話の設定ができるので助かりました。

なお、英語スピーチの方に関しては、次の図のように人の感情によってスピーチの仕方が変えられるようです。まだ日本語には対応できていないのが残念ですが…

最後に、人の話し方も千差万別のようにAIの使い方も千差万別なのだと思います。多分、すべてのAIについて言えることかもしれませんが、AIを使う人間側でその用途や使用目的、ルールを決めることが大事なような気がします。ただ、現在のAIにすべてを任せることはできないでしょうが、とは言えAIを活用しない術はないでしょう。それぞれ皆様の立場でAIを有効活用して、より良い未来作りの一助になれば、未来の子供達に明るい社会を引き継げるのではないかと思います。

この記事について、ご意見ご質問等あれば賛否両論ふくめお知らせくだされば有り難いです。よろしくお願いします～