連載【短編小説】「わたしの『片腕』」第二話
突然、席を外してしまって申し訳ありません。
さて、わたしが川端康成さんの『片腕』という短編小説に出会った時のお話でしたね。続きをお話します。
陰翳礼讃とばかりに、三和土のある玄関は薄暗く、ウナギの寝床のように奥に長く伸びる廊下は、薄墨を刷いたかのようです。本当にこのまま、足を踏み入れてしまっても良いものでしょうか。行きはよいよい、帰りは怖いとはこのこと、振り返った時に玄関が無くなっているなどということだけは勘弁願います。
抜き足差し足で思わず、ひっ、と声を上げ