平岡代助

趣味で小説を書いてます!稚拙ですが、全力で頑張っています!お気軽にフォローしてください!

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最近の記事

【小説】強盗に花束を エピローグ【創作大賞2023応募作品】

エピローグ 「私、お花とか詳しくないんだけど」高木さんが困ったように言った。 「俺も知らないよ。人生で初めて買う」少年強盗、改め橋本叶くんが言った。 「お店の人にお願いしましょうか」僕が言った。 事件から一ヶ月が経った。 あっという間の一ヶ月だった。 事件はワイドショーで幾度となく流されていた。 あの時、居合わせた客の一人が記者だったらしい。 その人がネットで記事を書いてしまった。 勿論名前はぼかされていたが、職員の高木さんと僕はあっという間の特定だ。 

    • 【小説】強盗に花束を 第7話【創作大賞2023応募作品】

      第7話 本当にいた。 警察が。 物凄い数。 銃を持って包囲してある。 ここまでは想像してなかったので正直驚いた。 高木さんの通報を重くみて、慎重に来てくれたんだろう。 僕は警察に目を合わさずに開錠をする。 手を必要以上に震わせて、佳境であることを伝える。 これで伝わってくれたらいいのだけど。 そのままカーテンから離れる。 「よっしゃ。そしたら人質交換やな。ちょっと移動しよか」そう言うと、おじさん強盗は首に包丁をあてたまま女性強盗ごと移動する。 自動ドア

      • 【小説】強盗に花束を 第6話【創作大賞2023応募作品】

        それから、たった3分程度で実行に移行する。 作戦の細部を詰めたかったが、いかんせん時間がない。 今にも奥に引っ込んでた強盗がお金を持って、田代支店長を人質に飛び出してくるかもしれない。 本当に急ピッチで各々必要な情報を共有する。 女性強盗を倒せること、外に警察がいること、相手のライフルが張りぼてであること…。 たくさんの希望的観測で動くしかないが、田代支店長を救うのはこれしかない。 「じゃあいきますね」僕が小声で合図する。 極度の緊張で心臓が痛かった。 「待て

        • 【小説】強盗に花束を 第5話【創作大賞2023応募作品】

          第5話 『強盗です、奥に行っててください』 確かに僕は高木さんに言った。 でも今強盗を働いているこのプロたちのことではない。 目の前にいる少年強盗のことだ。 僕の話を聞いて、高木さんは警察に通報した。 その後でプロの強盗に占拠された。 なんて事だ。 「じゃあ、もう警察すぐそこまで来てるんですか?」僕が高木さんに尋ねた。サイレンとか聞こえてきたら田代支店長が殺されてしまう。 「分からないけど、犯人を刺激されたら困るからサイレンは鳴らさないでくださいとは言ってお

        【小説】強盗に花束を エピローグ【創作大賞2023応募作品】

          【小説】強盗に花束を 第4話【創作大賞2023応募作品】

          第4話 明らかにプロである女性強盗に指示に従った僕らは、一箇所に固められて座っていた。   成り行きで、少年強盗とおじさん強盗、僕と銀行員の高木さんが、偶々近くに座っている。 「さて、どうしたもんかなぁ」おじさん強盗が言った。 「どうしたら、って。じっとしててくださいよ」僕が小声で言った。 「せやけど、同業者やで?倒さなあかんやろ」おじさん強盗が言った。 僕は耳を疑った。 「倒す?どうして?」 「兄ちゃんにはまだ分からんかもしれんけど、男には退かれへんときがある

          【小説】強盗に花束を 第4話【創作大賞2023応募作品】

          【小説】強盗に花束を 第3話【創作大賞2023応募作品】

          第3話 「え?え?え?」僕は本日最大のパニックになっていった。 1日でそんなに強盗が来ることあるか? なにか、政府のヤバい秘密でも金庫に仕舞われているのか? 僕はそんな事を思った。 映画でよくある展開だ。 店内には、郵便局のお客さんと銀行のお客さんが、自称強盗の二人と合わせて10名ほどいた。 全員が固まっていた。 さっきの女性が使用したのはどう考えても銃だ。 日本で普通に暮らしていたらまず見かけることはない。 「職員は全員カウンターから出なさい。郵便局も銀

          【小説】強盗に花束を 第3話【創作大賞2023応募作品】

          【小説】強盗に花束を 第2話【創作大賞2023応募作品】

          第2話 強盗少年はなにやら他のお客さんと揉めている様だった。 「おい、兄ちゃん。先並んでたん、俺やろ?せやったら俺の方が先行くんが普通なんちゃうんか?」 大きな声に驚いて見ると、さっきの強盗少年が絡まれていた。 強盗少年に何やら罵声を浴びせているのは黒い野球帽にサングラス、そしてマスクをしている男だ。年齢はちょっと分かりづらいが、40代、といったところか。 少年よりよっぽどこっちの人の方が強盗っぽい。 強盗少年も負けじと言い返す。 「俺は間違って並んだんだ。本来

          【小説】強盗に花束を 第2話【創作大賞2023応募作品】

          【小説】強盗に花束を 第1話【創作大賞2023応募作品】

          ※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係がありません。 第1話 「強盗だ。金をだせ」大きなボストンバッグをカウンターに乗せると男の子はそう言った。   僕より少し年下ぐらい。おそらくは未成年。 包丁や拳銃を突き付けられた訳ではない。 それによくドラマで見る、強盗のトレードマークの様な目出し帽をかぶっている訳でもない。 ただただ、中学生くらいの男の子がボストンバッグを突き出して険しい顔をしていた。 「えーっと」僕は慌ててしまった。強盗が来た時

          【小説】強盗に花束を 第1話【創作大賞2023応募作品】

          シャルル エピローグ【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

           エピローグ    怪我が付きものの業界だが、ここまでの大怪我は久しぶりだった。    私はボスの部屋でタバコを吸う。    右腕が三角巾で釣られているから左手で吸う。    結構のストレスだ。    撃つのは左も得意だけど、タバコは右手に限る。    右腕は三角巾で釣られ、左足と頭に包帯を巻いている。    どっからどう見ても大怪我だ。    細川さんに合コンの断りをいれなければならない。   「それで。今どんな状況?」私がボスに言う。  襲撃から3時間程経過した。私は

          シャルル エピローグ【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          シャルル 第6話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          第6話「玲奈。勿論、私もあなたが…」       根本まで吸い終わったので、私は床に吸い殻を捨てた。    火事にならないように念入りに火を消す。    遠くからサイレンの音が聞こえる。消防車が集まっているのだろう。    メフィストの構成員は中々現れなかった。    どっちにしろ、メフィストが滅びるのは決定している。私を殺す為に偽の依頼をでっち上げたのだ。十分にルールを侵している。    どうせ死ぬのだから、決死の襲撃で、私を殺しにくるだろう。  上等だ。返り討ちにしてや

          シャルル 第6話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          シャルル 第5話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          第5話「玲奈。もう一度、よく考えなさい」    3年2組の教室は、生徒は既に避難を終えていた。    無人の教室に女の子が一人、目隠しをされて椅子に縛られている。    花村瑠璃だ。   「瑠璃ちゃん!」八頭司がそう言って花村瑠璃の拘束を解く為に駆け寄った。   「八頭司さん…。私…」花村瑠璃が口を開いた。    おかしい。    私はそう思った。    まずはメフィストがいないこと。  死体が転がってるわけではないので、倒されたわけではない。    次に、花村瑠璃が生きて

          シャルル 第5話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          シャルル 第4話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          第4話「玲奈。落ち着いて、あなたはとても強いわ」    「死神さんは、どうして殺し屋をやってらっしゃるんですか?」私が校舎の回りを歩いてると、八頭司が言った。   「外で死神って言わないでもらえる?」私が質問には答えずに言う。   「なんでっすか?死神って殺し屋の最高の称号なんでしょ?」八頭司は不思議そうに私を見る。   「誰かに聞かれた困るでしょ」   「じゃあなんて呼べば?」   「玲奈でいいよ」私が言う。   「玲奈さんはどうして殺し屋をやってらっしゃるんですか?」八頭

          シャルル 第4話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          シャルル 第3話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          第3話「玲奈。一番大切な事は何かしら」     その中学校は本当に都心のど真ん中にあった。    私は比較的田舎育ちで、広い学校に通っていた、だから都心の狭い学校を見ると窮屈なんだろうといつも思う。   「私と玲奈は別の中学校だったから、2人で中学校に来るのは初めてだね」愛菜がはしゃぎながら言った。    勿論私は無視する。    学校の正門前で、メフィストの構成員が立っていた。   「死神だな。よろしく頼む。本部は空き教室を借りて中に作っている。これを首に掛けてくれ」そう

          シャルル 第3話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          シャルル 第2話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          第2話「玲奈。会社ではちゃんとしなさい」    殺し屋の会社、なんて言えば想像が難しいだろうが、私の職場はオフィス街にある6階建ての普通のビルだ。    そのビルには二つの顔がある。一つは雑誌を扱う中小の出版社。    もう一つが業界随一の殺し屋の組織としての顔だ。    元々は、出版社は形式的なものだった。資金洗浄をしたり、依頼の受注をする為だけの会社で、本を出版することなんてなかったらしい。     それが、今のボスになって直ぐに改革が始まった。時代的にもダミー会社が

          シャルル 第2話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          シャルル 第1話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          第1話 「玲奈。また危機が迫っているわ」  夢が嫌いだ。    こう言うと時々誤解される。「目標を持って日々精進することはいいことだ。たとえそれが叶わぬ夢であっても」とか、「私も〜。いい歳して現実みれてないやつは痛いよね〜」なんて的外れな説教や共感をされることがある。    だが、私が言っているのは寝てる時に見る、あの訳の分からない世界の方だ。    勿論私だって、全ての夢を嫌悪しているわけではない。たまに見る文字通り夢のような体験ができるハッピーな夢なら大歓迎だ。    

          シャルル 第1話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          エンドレス•ゲーム 第5話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】

          第5話 真相    痛む左足を庇いながら廊下を歩く。  夜明けが近づいているようで、少しだけ空が白んで見えた。  亡くなった一ノ瀬翔太の計画通りに学校を脱出するのがいいのだろうと京子は考える。そうすれば野田晴樹の方から京子に接触してくるはずだ。  痛む足を休めながら階段を降りる時に京子はふと気付いた。  向井すずの様子を確認しなければならない。  ひょっとすると東野健が既に殺害しているのかもしれないが、生きているのなら状況を説明した方がいい。  手錠は外せないか

          エンドレス•ゲーム 第5話【創作大賞2023・イラストストーリー部門応募作品】