わたしたちの夢見るからだ【第三話】:踊りの記録
舞台に立ったことがある。纏うものはあっても、そこでは体ひとつの物語ることだけが唯一の声であり、空間に対して容赦なく効果し、観るものたちに届く。
しかしあらためて、舞台とはなんだろう。観るとはなんだろう。
わたしたちは普段から自らという物体、精神の伴う生きる肉として、ある振る舞いとその影響が複雑に反響してゆく大きな即興劇の中で生きてゆかざるを得ない。
駅前のざわめきを高いところから眺めると、それは渦巻いて立ち上るひとつの現象だ。無限に生まれ波紋のように広がってゆく。