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きもの本棚

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着物エッセイや着付け・コーデのハウトゥ本をまとめました。
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きもの本棚⑰『女優きもの』『きものsalon』は実用的な教科書だった!

きもの本棚⑰『女優きもの』『きものsalon』は実用的な教科書だった!

訪問着に縁の薄い私が『きものsalon』に興味を抱いた理由は、昨年の「キモノサローネ」のトークセッションの動画を見たからだ。

かの『家庭画報』の別冊として出されている『きものsalon』は、訪問着の絢爛豪華な写真が持ち味と受け止めがちだが、読者の人気を得ているのは帯締めコーデだという。そんな人気のコーディネートを手掛けているのが「強者」編集者の相澤慶子さんだ。『女優きもの 誰より美人に見せる ひ

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きもの本棚⑯青木奈緒さんの本で、着物の過去と未来を知る

きもの本棚⑯青木奈緒さんの本で、着物の過去と未来を知る

青木奈緒さんは映画で話題の『木』を書かれた随筆家・幸田文さんのお孫さんだ。著書『きものだより 他が袖、わが袖』とは二子玉川の蔦屋書店で出会った。茶道雑誌『なごみ』での十二ヶ月に渡る連載テーマは、幸田文さんが奈緒さんのために誂えた「濡れ描き」の手描き友禅のイマから、取材がスタートする。訪問先には、茶席では着ない「伊勢木綿」や「デジタル捺染」が含まれていた。多くは「〇〇〇を復刻する」などして、市場にの

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きもの本棚⑮『大原千鶴さんの京都きもの暮らし』京都人の仕事着

きもの本棚⑮『大原千鶴さんの京都きもの暮らし』京都人の仕事着

桐箪笥の中身が見てみたい…。
続いては『きょうの料理』でお馴染み、大原千鶴さん。

私が最初に大原さんを知ったのは、BSの番組『京都人の密かなたのしみ』だ。ドラマにミニコーナーがあって、大原さんは男性アナウンサーを相手に、京都の食文化を紹介していた。料理をしながら、淀みなく繰り出す京言葉。『花背』のドキュメンタリーや、カウンターキッチンのアトリエで、ゲストに料理を振る舞う『あてなよる』を楽しみに見

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きもの本棚⑭工芸ライター・田中敦子さんの無地系紬とは?

きもの本棚⑭工芸ライター・田中敦子さんの無地系紬とは?

目下の関心事項は、着尺の枚数だ。アンティークの愛好家は30枚以上をお持ちというお方もチラホラ。では、正統派コーデなら?

工芸ライターの田中敦子さんは『和楽』の森田空美さんの連載を手がけ、着物の分野の書籍も多い。田中敦子さんが自前の着物と、師と仰ぐ森田空美さん、染色史家の吉岡幸雄さんとの対談、“憑かれたように”語られる帯や履き物の歴史と、見た目はコンパクトながら、濃いぃぃぃ内容の本。知りたかった日

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きもの本棚⑬『銀太郎さんお頼み申す』と、私の振袖写真

きもの本棚⑬『銀太郎さんお頼み申す』と、私の振袖写真

近頃、月刊誌で『銀太郎さんお頼み申す』を毎月、買うようになった。新宿のカフェで働くさとりちゃん(25歳)が元芸妓で、器のギャラリーを営む銀太郎さんに魅せられ、着物に目覚める話だ。四月号では、さとりちゃんがホテルの結婚式に振袖を着て出るために奔走し、友達だけでなく、いろんな世代の人が振袖の価値を見直す。読んでいて、腑に落ちた。去年の夏、私が長唄の演奏会に集まった着物姿の観客について書いたのも、こうい

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きもの本棚⑪『安心の着物あわせ』着物の揃え方に、方針を立ててみた。

きもの本棚⑪『安心の着物あわせ』着物の揃え方に、方針を立ててみた。

いろんな人の帯合わせのこだわりをもっと、知りたくなって、河村公美さんの『毎日、きもの』にあった「青山・八木」を取材した本を偶然に見つけた。店主の八木健司さん曰く、上質のものを選ぶことで“自分の価値観が定まり、指針となってくれる“のだそう。指針ってすごいなって思ったんだけど、辞書でひくと、まさにピッタリな単語。

他にも約10人の方の考えを知ることができ、そのストイックさにはクチがあんぐり。特に参考

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きもの本棚⑩『着物憑き』『毎日、きもの』と令和の着物トレンドの手前味噌な考察。

きもの本棚⑩『着物憑き』『毎日、きもの』と令和の着物トレンドの手前味噌な考察。

加門七海さんの『着物憑き』

集英社ノンフィクション編集部のウェブメディア『よみタイ』で、2018年に連載していた着物エッセイ。怪談とおまじないが得意な著者が、着物へのこだわりを心霊体験をウヨウヨと交え、綴っている。

加門七海さんのお母様は、着物に対する厳しい審美眼があり、ご本人は「着せてもらうばかり」だったが、とある帯留との出会いをキッカケにアンティークの着物を集めるようになった。サイズ直しで

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きもの本棚⑨『森田空美のきもの美巡礼〜染めと織りの手わざを訪ねて』江戸小紋に魅入られて。

きもの本棚⑨『森田空美のきもの美巡礼〜染めと織りの手わざを訪ねて』江戸小紋に魅入られて。

タイトル通り、着物研究家の森田空美さんが自ら、着物と帯の作家・産地を訪れ、作り手の手元を覗き込むようにして見聞きする様子と、和服の撮影とは思えないショートヘアのモデルさんの着姿で、作品を紹介する豪華本。雑誌『和楽』の連載。

夏着物・四種と、七種類の紬、お召し、型染め、友禅と並ぶ中で、先日、引き染め体験にチャレンジした私には、江戸小紋がリアルで興味深く、伊勢型紙を板に貼った生地に置き、鋭く先を研い

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きもの本棚⑧着物コーデの理想像が、苦手なはずの森田空美さん監修の本にあった、という思いがけない事実。

きもの本棚⑧着物コーデの理想像が、苦手なはずの森田空美さん監修の本にあった、という思いがけない事実。

半月を過ぎても、猛暑の去らない九月。夏着物の感想は、滑らないから、着崩れゼロ。安心、安心の「麻」対「麻」。長襦袢の袖が飛び出さないかと、気になる日はしつけ糸で止めている。

ちなみに、ひょうたん堂で手に入れた着物と駅ビルの呉服屋さんで長襦袢をあつらえた時とのサイズ比較がコレ☟

【着物と長襦袢のサイズ比較】

身丈162cm (長襦袢159.6)

裄丈68cm (長襦袢68.5)

前幅26.5

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きもの本棚⑥『原由美子のきもの暦』の着物コーデは全体柄の小紋をまるで、無地のように帯合わせしている。

きもの本棚⑥『原由美子のきもの暦』の着物コーデは全体柄の小紋をまるで、無地のように帯合わせしている。

雑誌『an•an』のスタイリスト・原由美子さんが『フィガロジャポン』に長年、着物コラムを連載しているのは知っていたが、原由美子さんが日舞を通じて幼少期から着物に親しんでいたのは、知らなかった。着物のお仕事も、数多くされたそうだ。原由美子さんはじめ、80年代にコムデ・ギャルソンやヨージ・ヤマモトを着ていたマガジンハウスのファッション・リーダー(アイコンという言葉はなかった)が、着物の本を出すようにな

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きもの本棚⑤『らくらく15分着付け』で見つけたお手軽な着付けのコツとは

きもの本棚⑤『らくらく15分着付け』で見つけたお手軽な着付けのコツとは

理想の着姿を考えた時、私が今、気になっているのは上半身だ。竹久夢二の美人画のような、揺れるような、ストンとしたシルエットになりたいのに、例えれば、私は五平餅? 上半身がぼわんとしがち。

五平餅の形にならずに済む、目からウロコの「着付けのコツ」が、我が愛読書・石田節子さんの着付けの本の中にあった。着崩れないポイントはなんと、上腕。

詳しくは書籍を確認して頂きたいが、上腕が浮かないようにして、折り

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きもの本棚④『石田節子の着まわしと着付けの鉄則』帯と小物の合わせ方を分析してみた。

きもの本棚④『石田節子の着まわしと着付けの鉄則』帯と小物の合わせ方を分析してみた。

本日の内容はエッセイというよりはHOW・TOモノ。前回、自力で選んだと自負している帯の話をしたが、お見立てのその後についても、触れたくなったのだ。

さてさて、買いたい気持ちはあるのに、呉服屋さんのお見立てに立ち往生してしまう私は、お見立てのこれまでを分析してみた。

果たして、お見立てに法則はあるのか? あった…。少しだけど、見つけた。

スタッフさんが最初に薦めてくる帯は、決まって、格子柄。チ

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きもの本棚③『きもの番長2』の色合わせを実践してみたら

きもの本棚③『きもの番長2』の色合わせを実践してみたら

長唄三味線と伝統工芸をこよなく愛する私。

着物も好きだが、呉服店さんのお見立てにすこぶる、慣れない。その攻略法として、「モノトーン着物に、赤い帯」「縞の着物には、格子の帯」といった鉄板コーデを、センスでなく、知恵として、身につけてしまうのは如何だろう? 

専門家のお見立てにも「ふむふむ、アレね」となるのでは?

着物好きイラストレーター、松田恵美さんの『きもの番長2 コーディネートレッスン編』

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きもの本棚②『きものの買い方・揃え方』を読んで、着物の揃え方を再検討してみたら

きもの本棚②『きものの買い方・揃え方』を読んで、着物の揃え方を再検討してみたら

染織研究家の木村孝さんの『きものの買い方・揃え方』には、着物の種類と、ライフスタイルに合わせた着物の揃え方が、綴られている。古い本だが、読み返すと、腑に落ちるところがある。

例えば「和のお稽古事できものを着る人に」の章を見ると、ポリエステルの着物は使い勝手が良く、「きものを着て過ごしたいゆとり世代に」の章では、友達をアッと言わせる「織り」の着物のお洒落が、時間のゆとりが生まれた三十代、五十代には

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