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俳句

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四季折々
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#春の俳句

【俳句】行く春3句

【俳句】行く春3句

狂ほしき夏の笑みかな春の暮

行く春やまだ伸びきらぬ襞ひとつ

言の葉に托せばつらし春の果

【俳句】春行楽3句

【俳句】春行楽3句

中央と名のつく町の蛙かな

懐におばあちやんといふあたたかさ

友の目に魂すすぐ春光や

【俳句】蛙1句

【俳句】蛙1句

草陰の蛙うごかす芭蕉かな

 シュレーゲルアオガエルの生息地に行ったが、鳴き声は聞こえても姿は見えない。
 他のカエルも、その存在を音を頼りに知るのだとしたら、松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」は、鳴き声が水の音とともに途絶えて静寂が訪れたので、飛び込んだかどうか(見えていないので)定かではない蛙を、想像上の古池に飛び込ませたものなのだろう。
 おそらくすべてはフィクションなのだろうが、蛙といえ

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【俳句】山吹3句

【俳句】山吹3句

かくばかり日がな目映ゆき山吹や

山吹や手折るそばから散り果てて

ほろほろと山吹色の涙川

【俳句】竹の秋3句

【俳句】竹の秋3句

竹の秋黄なる花かと腰しなる

竹の秋花と見ゆるは病かな

国中の森燃ゆるかも竹の秋

*竹は春に枯れるので「竹の秋」は春の季語。
しかし、遠目から見ると、天狗巣病(ホルモンバランスの崩れによって発生する病気)に侵されているのを、枯れている(もしくは花が咲いている)と勘違いしてしまう場合もあるらしい。「近年、特に竹の手入れが行き届かなくなり竹林全体の活力が弱くなっている所で多く見かけ」るとのこと。

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【俳句】春の鴉3句

【俳句】春の鴉3句

蒲公英をよけて鴉の散歩かな

春塵や鴉かはらず首かしげ

長閑さや鴉スパイスひとつまみ

【俳句】春の森(その5)3句

【俳句】春の森(その5)3句

生まれたての葉音もろとも遊びけり

躑躅の葉ぺとぺとつけて来るふたり

雪柳のまぼろしかもよ小手鞠や

【俳句】木香薔薇3句

【俳句】木香薔薇3句

手を引かれ木香薔薇の帳へと

木香薔薇ふれずに甘く囁きて

いとけなき木香薔薇の誓ひかな

【俳句】春の雁3句

【俳句】春の雁3句

ふるさとを此処と定めん残る雁

追ひ風にとどまる雁の孤高かな

旅も夢も互角なるべし春の雁

【俳句】桜蘂降る3句

【俳句】桜蘂降る3句

桜蘂ふるふるまさに頃あひと

夢果てて吠えながら落つ桜蘂

桜蘂ふりて今はのほむらかな

*写真は以下の記事よりお借りしました。

【俳句】春嵐3句

【俳句】春嵐3句

一夜にて山ぬりかへし春嵐

いちどきに花の葬送春あらし

春嵐去ればスーラの在りし跡

【俳句】チューリップ3句

【俳句】チューリップ3句

鬱金香今際にかつと見開きて

チューリップ万事休すの艶姿

牡丹百合みだれていよよ開眼す

【俳句】朧月3句

【俳句】朧月3句

薄藍に影しみ出でて朧月

池の面につつましげなり朧月

大人への船出ひそけき朧月

【俳句】花過ぎ3句

【俳句】花過ぎ3句

花過ぎの門をよいこらランドセル

花過ぎを切りのよきとはいかなること

花過ぎて躑躅の結婚前夜かな