3ヶ国語教育

よく「これからは英語が喋れることは追加の付加価値ではなく、当たり前でMustになってくる」とか言われる。

でもそんなの20年前も同じことを言っていたのだ。

そんな論調の記事やそういう主張をする人を私の若い頃から周りでもたくさん見た。しかし日本の英語力は大して上がっていない。まあ日本のサラリーマンの海外出張経験率が13%程度らしいので多くの人はそれでも「日本の中で仕事してればいいっしょ」と思ってしまう。商社などを除いて多くの日本企業ではいまだに海外駐在組(特に3年程度ではなく10年も駐在するような人たち)は異端児扱いだし。自分だってもし社会人20年で一回も海外出張をする機会がなければ大して危機感を持っていないかもしれない。ただ、一部の危機感を持つ親も多いので英語教育に力を入れる学校に人気が集まる。

しかしグローバルビジネスの現場にいると、英語だけでももはや足りない。日本にいてアジアビジネスに関わるなら中国語も出来ないと機会が非常に狭くなる。英語と中国語ができて初めてグローバルなキャリアを築けるといっても過言ではない。

最近の人材エージェントから来る話は7−8年前だと、日本企業と除くとほぼアメリカ企業しかなかった。今は中国企業のポジションの打診が3割くらいまで増えてきている(さらには最近はイスラエルの会社のポジションで打診が来ることも増えてきている)。

そして意外ではないかもしれないが、給与レンジは中国企業の方が高い。もちろん職種やポジションによって違うし、中国企業と一言で言っても企業ごとにそういう方針は全然違うので一般論化したくもないが、でも驚くべき金額を提示するのはまず中国企業なのだ。ちなみに私はエンジニアでも技術職でもないので技術略奪が目的のハンティングではない。普通のMarketingとかの話。

中国企業ではなくてもアメリカ企業のAPAC事業に絡むとなると当然中国市場攻略はどうやってもメインなテーマになる。そこでカスタマーたる中国人と話せないとできることは限られる。大手クライアントだけが対象のビジネスなら英語だけでもOKだが、BtoCになったりBtoBでもSMB含めるとなると喋れないと大したSalesもMarketingも出来ない(単なる数字の分析くらいしか残らない)。

アメリカ企業であっても中国市場はPriorityのトップの一つである企業がほとんどである。たとえ中国で禁止されているGoogleやFacebook、Twitterであったとしても中国企業はTop Priorityなのだ。なぜなら中国企業は世界中で商品を販売することを念頭にものすごい投資をしてくるから。

中国企業は起業して創業当初から世界中のマーケットで売ることを念頭においている。まずはTaobaoといったアリババのサービスで国内で販売し、数ヶ月もしないうちにAmazonのUSで商品を販売開始する(そのあとUK、ドイツ、日本に進出する)。一気に市場シェアを奪うことが目的なので広告にも多額の金額を投下する(ただしじゃぶじゃぶではなく、彼らの投資対効果に対する見方は非常に厳密)。なのでハナから世界を意識して世界市場で販売する意欲の旺盛な起業がわんさかいるものだから、もはやグローバル企業にとって中国企業はTop Priorityだ。

こんな状況下で日本の学校現場で英語並みに力を入れて中国語もやっているところは多くない。確かに英語をきちんと学ばないうちに第2外国語の習得は難しいだろうから同じように時間をかけなくてもいいかと思うが、もし同時に習ったら意外と効率的だと思うのは私だけかな?

「意外にも」という日本語はUnexpectedlyという英単語に翻訳されて、expect、期待するという単語に反対を表す un をつけて副詞としての ly がついただけ。中国語だと没想到。expectに相当する想到を分解すると「想い」「到る」つまり想像するという意味。それに英語の否定形である un に相当する没をつけて没想到。

一つの単語を覚えるときに同時に覚えてしまえばいいと思ってしまうが、教える方としては混乱しがちになるし、文法の単元になると教える内容がかなり複雑になるからやらないんだろうけど。

ただ、これからの時代、もはや英語だけでも話にならないのである。早めにその危機感をもって大学3年生くらいまでに英語を上級の下くらいまでには、中国語も中級くらいまで持っていける学生であればどうなるか、、、就活の現場でどれだけ差がつくのか、簡単に想像がついてしまう。

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