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種子は国防。『売り渡される食の安全』山田正彦(エシカル100考、43/100)

モンサントとラナプラザと、日本ではどちらが知名度が高いのだろう。

「エシカルファッションに興味があります〜」と言っている若者で、種子法廃止について認知している人はどのくらいいるんだろう。

映画『シード ~生命の糧~』をみて、『ザ・トゥルー・コスト』と同じところ、違うところを考えていた。

『ザ・トゥルー・コスト』はファッション業界を描いており、映画の中で悪役的に描かれているアパレル大手、具体的にいうとH&Mなどは、映画当時はたしかに取材拒否などの姿勢であったが、今ではファッション領域におけるサステナビリティを牽引する意欲も見せている。大量のファッションロスをだしていた企業も、それを改める計画を打ち出している。

グローバル大企業も協力して未来に向けて動いており、日本の個々人も変わっていきつつあるように感じる。

別にバラ色ではないけれど、まあ先行き明るく考えることも、できなくはない。

この点、農を描く『シード』との違いがあると思う。ひるがえって、同じところ。

『ザ・トゥルー・コスト』にも農業にからむトピックがある。綿花の生産について。

遺伝子組換えの種子と、農薬。

それに伴う農家の方の経済・健康など暮らしの破壊と、環境の破壊について。『シード』で取り上げる内容と同じ。

どちらの映画でも、種子や農薬については企業は非協力的、というか現実としてものすごく支配的、搾取的、我利我利亡者。

そして日本は、いきなりの種子法廃止や種苗法も変えようとしているし、個々人の意識はどうなんだろ、、、。

とかいいつつ、僕自身も不勉強。なので、とりあえず読んでみた。

『売り渡される食の安全』山田正彦(角川新書)。

牧場経営者から国会議員、農林水産大臣もつとめた弁護士の方(というまとめでいいのかな?)。まあ信頼性はあるんじゃないかな。。

読みながら、頭を抱えてしまった。

モンサントを中心とするグローバルアグリ企業の農薬と遺伝子組換え種子の独占と搾取の仕組みと歴史と、日本が種子法、種苗法改廃になる流れと今後の予測と影響、世界の反モンサントの流れ、消費者の変化、日本の地方が出来ることなど、コンパクトによくまとまっている。

モンサントって無敵の悪の組織みたいなイメージを持っていたけど、世界的に裁判に負け出して、裏工作も暴かれだしてるのね(よかった!)。。

さらに消費者によるNOも広がってる。

世界中で肩身が狭くなる、というか利益が減りまくっているので、のほほんとしてる日本を草刈場と定めて攻めにきていて、政府がその露払いをしている、、、ように本書を読むと感じる。

そういう書き方をしているからではありつつ、けっこう事実だろうな、、。

種子は食なんだから、それを握られるのは緩慢な兵糧攻めにあっているようなもの。

種子法廃止して、グローバル企業に農を明け渡してという今の日本は、なんか自ら進んで兵糧攻めを受けにいっているみたいで、国防の放棄というかなんというか、、(使うのは望ましくない単語ながら、売国奴ってこういう行いなんじゃないかな、、)。

とかとか考えちゃうけど、僕自身の知識があまりに不足してるので、少し学んでみなければと痛感した。

希望としては、種子法が廃止されても地方の条例でカバーができるらしい。

暮らし手(消費者って言葉は好きじゃないので)が一人ひとりが意識して声あげて地方行政を応援してくしかないのかな、、、。

やっぱ農の分野って難しいなー、でもエシカルファッションよりも大事というか深刻だよな(いや衣食住の衣も大事だけどさ、、)と思いました。

まず知ることから、選ぶことから、声あげることから。




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