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グレイス・ペイリー「最後の瞬間のすごく大きな変化」言葉よりも声

あきらかに文盲の黒人や少数民族らしき彼らの物語において、作者はあきらかに彼らそのものになってしまっており、言葉がまるで文盲のように、前後の文の矛盾や、言葉の拙さのようなものがあり、しかしながらたまに輝く何かがある瞬間があり、なんとも新鮮な気持ちで読むことができた。なんで不思議な小説だろうか。村上春樹自身の作品とはまるで真逆の作風だと思う。物語はほとんどない。あるのは、生の声だと思った。意味ではなく、声を聞く小説というのだろうか。独特だけど、私は読んでると安心するので好きです。友人を失う女性の話は、あれは語り部の女性は手首を切ったから血が流れてるんですよね?でも、手首を切った、ということは描かれない。ただ血が出ていくのである。これはすごい。作者の目は、この女の目そのものになっている。

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