木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』についてのメモ③―鶴見俊輔の人物紹介
以下の記事で木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』(青土社、2024年)を紹介したが、この本の中には「「むすびの家」の人びと」が収録されている。この文章は鶴見俊輔がハンセン病に関わった人物を紹介したものであるが、この鶴見の人物紹介が興味深い。例として以下に小笠原登の紹介を紹介したい。
上記で興味深いのは、ハンセン病の治療に深く関わった登の兄が幸徳秋水を通してアナーキズムに影響を受けてその影響は登にも伝わっているということが指摘されている点である。ここで鶴見はアナーキズムとハンセン病医療に「国家や人びとの外から見る視点」という共通点を見出しているように思われる。アナーキズムとハンセン病医療は一見すると関係なさそうだが、鶴見は人間関係を通してアナーキズムの水脈を掘り起こしている。鶴見の人物紹介は一見では分からない思想の連鎖を見出していくところが魅力的である。
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