Theopotamos (Kamikawa)

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Theopotamos (Kamikawa)

近現代史の話題が中心です。広い意味で研究をしています。連絡先:theopotamos(a)gmail.com ※(a)→@にお願いします。 Twitter : https://twitter.com/theopotamos

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  • 調査趣味誌『深夜の調べ』第1号関連記事

    調査趣味誌『深夜の調べ』第1号で紹介しているnoteの記事をまとめました。 雑誌とともに参考いただければ幸いです。

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【お知らせ】『調査趣味社社報』第1号を販売開始しました

 以下の記事で紹介したように、11月11日(土)に行われた文学フリマ東京に「調査趣味社」として出展し、新刊として小冊子『調査趣味社社報』第1号を頒布した。この小冊子が少部数ながら残ったので、ウェブでも販売を開始しました。関心のある方はご覧になってください。 目次 ・発刊のことば ・「調査趣味誌」由来記―半歩遅れの雑誌名由来記 Takashi Kamikawa ・忘れられた人物の記録を読むこと、つくること―平山亜佐子『問題の女 本荘幽蘭伝』を読んで Takashi Kamik

    • 趣味誌『片言』第6号について

       以下の記事で加藤武が編集した趣味誌『片言』を紹介してきたが、今回はこの雑誌の第6号を紹介したい。これまで紹介したものと同じく架蔵の雑誌は宮崎の民俗学研究者・日野巌の旧蔵資料である。 大きさ:約11.8cm×約16.8cm、謄写版印刷、和装本 印刷:昭和7年2月17日 発行:昭和7年2月20日 編集兼発行人:加藤武 東京市牛込区早稲田南三三 印刷所:小倉金城堂 東京牛込早稲田鶴巻町二八六 頁数:49頁 旧暦の春 木村弦三 高松の羽根つき唄 加藤増夫 ポッペンの話 人魚洞主

      • 大物趣味人・鷲見東一も投稿していた青柳秀雄の『佐渡郷土趣味研究』

         以下の記事で紹介した佐渡の郷土研究者・青柳秀雄(秀夫)が発行していた『佐渡郷土趣味研究』には、様々な研究者・趣味人が投稿しているが、投稿している趣味人に郷土玩具を中心に様々なものを蒐集していた鷲見東一がいる。 鷲見については、拙noteでも以下のように何度か紹介している。 『佐渡郷土趣味研究』には、各人が佐渡をテーマにして執筆した「佐渡の感想」という欄があるが、鷲見は第11輯(昭和6年9月)に以下のような文章を投稿している。  鷲見が言及している「相川の首人形」は郷土

        • 鳥類研究者・川口孫治郎について

           先日、柳田国男・高木敏雄が発行していた『郷土研究』の目次を確認していた際に、川口孫治郎という人物が多く投稿しているのを知ってこの人物のことが気になった。川口については、『日本民俗学大系』第10巻(口承文芸)(平凡社、1959年)の「物故者紹介 民俗学に寄与した人々」に載っており、最上孝敬「川口孫治郎伝」によって以下のように紹介されている。  川口は野鳥の研究だけでなく、鳥に関する民俗を研究していたようである。「ざっさくプラス」で確認すると、川口は民俗学・郷土研究関連の雑誌

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        • 調査趣味誌『深夜の調べ』第1号関連記事
          19本

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          木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』についてのメモ②ー窓をよぎった風景を見直すこと

           先日から以下の記事で紹介した木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』(青土社、2024年)を読み進めているが、この本の中には「戦争のくれた字引き(抄)」という文章が収録されている。私はこの文章を何度か読んだことがあるので、鶴見俊輔が東南アジア滞在時の戦争体験を回想したものであると理解しており、なぜこの文章が収録されているのか疑問に思った。しかしながら、読み進める中で以下のようにハンセン病に関する記述があることに気が付いた。  上記に引用した部分はハンセ

          木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』についてのメモ②ー窓をよぎった風景を見直すこと

          愛媛県に来た富山の方言研究者・大田栄太郎

           大田栄太郎は富山県立図書館長をつとめて方言を研究していた人物として知られているが、大田は富山県の方言だけでなく他の地域の方言も採集していた。以下の記事で紹介した『愛媛県周桑郡郷土研究彙報』第9号(昭和6年3月)では、大田が四国地方に方言採集のため来訪したことが紹介されている。以下のように引用してみたい。 上記に登場する「学友会雑誌」は、この雑誌の別頁で紹介されている高知高等学校文藝部により発行された『學友会雑誌』第13号(昭和6年3月)である。大田は四国地方の方言採集、方

          愛媛県に来た富山の方言研究者・大田栄太郎

          戦前にも発行されていた雑誌『九州民俗学』

           『九州民俗学』という雑誌名を国会図書館サーチ(NDLサーチ)で検索すると、『九州民俗学』という2001年に創刊された雑誌が出てくる。以下の記事で紹介したように、民俗学関連の雑誌で雑誌名が重複することはしばしば起こるが、『九州民俗学』もそのひとつである。『九州民俗学』は戦前にも発行されていたが、このことはほとんど知られていないだろう。私は『九州民俗学』のことを佐藤健二『柳田国男の歴史社会学 続・読書空間の近代』(せりか書房、2015年)に収録されている民俗学の雑誌リストで知っ

          戦前にも発行されていた雑誌『九州民俗学』

          忘れられた民俗学史の一断章を掘り起こすこと―北見継仁さん『知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家 青柳秀雄の生涯とその業績』(皓星社)を読んで

          1.はじめに  北見継仁さん『知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家 青柳秀雄の生涯とその業績』(皓星社、2024年)(以下では本書と記載する。)をご恵贈いただいた。 青柳秀雄(秀夫)は古本マニア、民俗学史に関心のある方々などの間では知る人ぞ知る人物であったが、その名前だけが知られており、彼の詳細は謎に包まれていた。私も以下の記事で紹介したように青柳の名前は聞いたことがあったが、どのような人物か分からず長年気になっていた。また、青柳の発行していた『佐渡郷土趣味研究』については、

          忘れられた民俗学史の一断章を掘り起こすこと―北見継仁さん『知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家 青柳秀雄の生涯とその業績』(皓星社)を読んで

          木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』についてのメモー「瀉瓶相承」される思想

           木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』(青土社、2024年)をご恵贈いただいた。鶴見俊輔はハンセン病の問題に長年かかわり続けていたことが知られており、ハンセン病に関する文章を多く残している。本書はそれらの文章のいくつかを収録したものである。 この中に「五十年・九十年・五千年」という文章が収録されている。この文章は、ハンセン病の歴史、鶴見とハンセン病の問題に取り組む人びととの交流を述べたもので、私は後者を興味深く読んだ。この文章は、拙noteの以下の記

          木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』についてのメモー「瀉瓶相承」される思想

          折口信夫門下の国文学者・高崎正秀も土俗趣味ネットワークに所属?

           先日、某研究会で加賀紫水の『土の香』のことを紹介する場をいただいた。発表後にいくつも有益なアドバイスをいただくことができたが、その中のひとつに折口信夫の関係者が『土の香』に投稿しているというご指摘をいただいた。たとえば、高崎正秀が『土の香』第12巻第1号(1934年5月)に「お正月を歌った童謡」を投稿している。以下の記事で紹介されているように、高崎正秀は折口門下の国文学者として知られている。  このことは私も『土の香』総目次を作成した際に気が付いていたが、『土の香』に投稿

          折口信夫門下の国文学者・高崎正秀も土俗趣味ネットワークに所属?

          雑誌『土俗と伝説』はもう1冊あった?

           民俗学の雑誌では、同時代に発行された雑誌で雑誌名の重複がしばしば起こった。いくつか例を挙げたい。柳田国男が組織した民間伝承の会の機関誌『民間伝承』の発行前に佐々木喜善の発行した『民間伝承』があった。また、以下の記事でも紹介したように、福原清八の発行していた『俚俗と民譚』も当初は『民間伝承』という雑誌名にする予定であった。 『土の香』は加賀紫水の発行した雑誌、谷川磐雄(大場磐雄)の発行した雑誌の2種類があり、このことは拙noteでも紹介したことがある。 雑誌名に「土」が含

          雑誌『土俗と伝説』はもう1冊あった?

          澤田四郎作が発行していた『Phallus-Kultus』創刊号について

           かなり前に拙noteで澤田四郎作が発行していた雑誌『Phallus-Kultus』のことを紹介したが、当時私が入手できたのは第4輯から第15輯までで第1輯から第3輯は未見であった。その後、この雑誌を揃いで入手できたが、長い間紹介できていなかった。(ちなみに入手したのは昨年の初夏である。)今回の記事では、創刊号を紹介していきたい。なお、私が入手したのは合本であり、第1輯の奥付はなかった。 大きさ:約22.5cm×約14.9cm、謄写版印刷、和装本 印刷:不明 ※奥付なし 発

          澤田四郎作が発行していた『Phallus-Kultus』創刊号について

          片山杜秀『11人の考える日本人』についてのメモー柳田国男は有能な組織者だったのか?

           最近、片山杜秀『11人の考える日本人 吉田松陰から丸山眞男まで』(文春新書、2023年)を読み進めている。この本は以下の近代日本の思想家11名を論じているが、この中に柳田国男も取り上げられている。 吉田松陰 福沢諭吉 岡倉天心 北一輝 美濃部達吉 和辻哲郎 河上肇 小林秀雄 柳田国男 西田幾多郎 丸山眞男  個人的に、吉田松陰、和辻哲郎、河上肇、小林秀雄もおもしろかったが、今回の記事では柳田について論じたいので割愛させていただく。  片山は、柳田の民俗学を「「日本人の

          片山杜秀『11人の考える日本人』についてのメモー柳田国男は有能な組織者だったのか?

          100年前に与那国島に渡った本山桂川

           与那国島のDiDi与那国交流館で開催されていた写真パネル展「本山桂川の写した100年前の与那国島」の図録をご恵贈いただいた。この図録の「はじめに」によれば、1923年に民俗学研究者・本山桂川は職を求めて上京したが、直後に関東大震災にあったため就職を諦め、沖縄方面へ調査旅行に出たという。そして石垣島で岩崎卓爾のアドバイスによって、本山は与那国島を訪れた。そして、今年は本山が与那国島を訪問して100年目となるので、今回本山が与那国島で撮影した写真にスポットをあてた展示会が開催さ

          100年前に与那国島に渡った本山桂川

          方言研究者・杉山正世が発行していた雑誌『愛媛県周桑郡郷土研究彙報』

           拙noteで度々紹介している加賀紫水の雑誌『土の香』は、第4巻第6号で「私たちの兄弟」として同時代に発行されていた類似のテーマを主題としている雑誌を以下のように紹介している。掲載されているのは雑誌名だけだが、参考のため私の方で発行者名と関連記事を追加した。 旅と伝説 萩原正徳 民俗研究 本山桂川 民俗資料類纂 本山桂川 土のいろ 飯尾哲爾 郷土研究彙報 杉山正世 岡山文化資料 桂又三郎 福岡 有吉憲彰 日向郷土志資料 日野巌 方言と土俗 橘正一 片言 加藤武 佐渡郷土趣味

          方言研究者・杉山正世が発行していた雑誌『愛媛県周桑郡郷土研究彙報』

          意外な人物も投稿?趣味誌『片言』第4号について

           以下の記事で加藤武が発行していた郷土玩具趣味誌『片言』のことを紹介したが、今回はこの雑誌の第4号(第1期)の書誌情報を紹介したい。架蔵のこの号も妖怪研究の先行者として知られている民俗学研究者・日野巌の旧蔵資料である。 大きさ:約11.8cm×約16.8cm、謄写版印刷、和装本 印刷:昭和6年10月5日 発行:昭和6年10月10日 編集兼発行人:加藤武 東京市牛込区早稲田南三三 印刷所:太陽堂 東京市四谷区永住町一 頁数:17頁 玩具の社会学 島影盟 鎌倉と江の島の玩具 

          意外な人物も投稿?趣味誌『片言』第4号について