『叱る』の使い方を知らない教員は要らない

「叱らずに褒めろ」
これは現代の日本の学校教育において通説となっている。
なので今の学校の先生はみんな優しくて
子どもに対して厳しい態度で注意や指導する先生は極めて少ない。

北風と太陽の話で言えば
太陽のように旅人が自らコートを脱ぐようにさせるのが良いとされ、
北風のように無理矢理に旅人からコートを剥ぎ取ろうとすることは良くないとされています。

しかし、『叱ると褒める』を良し悪しで評価し、『叱る』ことを教育から排除したことで、現代の教育現場は大きく混乱している。

『叱ると褒める』は、おそらく古代から人を育てる上で使われてきたと思われる。
だから、それぞれに違う効果があり、それらは両方とも必要なことであると考えるのが自然だ。
大切なのはそれを上手く組み合わせることであるはずなのだ。

脳の神経伝達物質であるドーパミンは、
褒められた時に多く分泌される。
ドーパミンは『快感ホルモン』とも呼ばれ、人が喜びを感じた時に多く分泌され、依存性があるため、ドーパミンが分泌されることによって人はもっと喜びを欲っするようになります。
なので『褒める』はやる気や行動力の源となるモチベーションを上げるということがわかる。

それに対して、叱られた時には
ノルアドレナリンという神経伝達物質が多く分泌される。
このノルアドレナリンは、人が外敵などの大きなストレスに相対した時に、それを回避するための注意力や判断力、集中力などを一気に高める効果がある。
つまり、『叱る』は、短期的・一時的にパフォーマンスを上げるということがわかる。

要するに、
『褒める』は長期的に効果を発揮させたい時に有用であり。
『叱る』は短期的・一時的に効果を発揮させたい時に有用であると言える。

もちろん、それぞれに注意すべきことがもある。

ドーパミンには強い依存性があるため、褒めてばかりだと、『褒められる事』に依存していまい、目標を見失ってしまう可能性がある。

ノルアドレナリンは、ストレスに対して反応するものなので、ストレスに長期間晒され、過剰に分泌され続ければ健康に悪影響があるのは明白である。

では、教育から『叱る』を排除したことで、子どもはどうなっているのか。

昔も今も、子どもが褒められたいと思うことに変わりはない。
しかし、今の子どもの多くは頑張って褒められようとは思わないのである。

褒められることでモチベーションは上がるが、困難やストレスを感じるとすぐにやめてしまう。

それが自分の趣味趣向に関わることならまだ良いかもしれないが、
とくに小学校で扱われる、基礎基本的な知識技能の習得について言えば、この状況は問題ではないだろうか。

困難に対して逃げたり怠けたりする子どもを正しく叱り、一時的にパフォーマンスを上げてあげることで、その困難に立ち向かい、乗り越えさせてあげることも大切である。

褒めると大抵の子どもは笑顔になる。
その笑顔に教員は喜びを感じる。
教員はドーパミンの効果により、もっと子どもの笑顔を欲するようになる。
すると『子どもの笑顔』が目的となり、本来の教育の目的を見失ってしまう。

多くの教員たちかかってる、この『子どもの笑顔依存症』を治し、『叱る』を効果的に使えるようならなければ、日本の未来は暗い。

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