プライドがぶつかり合う激動の一戦は、痛み分けの引き分け

20位・山口が8位・岡山を維新みらいふスタジアムに迎えた一戦は、立ち上がりから強度の高いプレーが繰り広げられた。

両者ともにプレスの強度が高く、切り替えが鋭い。攻守が目まぐるしく入れ替わる中、岡山はチアゴ・アウベスがスペースを突いていき、先発6選手を変更した山口は皆川佑介と梅木翼の2トップを起点に攻めていく。最初のチャンスは、ホームチーム。13分、PA内に切れ込んだ梅木のシュートは柳育崇にブロックされた。すぐさまアウェイチームもゴールに迫る。18分にスルーパスに抜け出したチアゴのシュートはGK関憲太郎に阻まれた。20分には右サイドを突破した末吉塁のクロスがGKに弾かれるも、ステファン・ムークがこぼれ球を詰める。しかし、サイドネットだった。

球際のバトルで激しい火花が散る中、山口が28分に先制に成功する。右サイドでのスローインを起点に皆川がゴール前に折り返すと、梅木がボレーシュートを突き刺した。

プレーオフ進出に向けて勝ち続けることが必要な岡山は、両サイドから仕掛けていき、セットプレーを獲得して反発する。43分にはチアゴとのワンツーからムークが右足をコンパクトに振ったが、シュートはブロックに遭った。

プレーオフ進出には勝ち続けなければならない岡山は、両サイドから仕掛けていき、セットプレーを獲得して反発する。43分にはチアゴとのワンツーからムークが右足をコンパクトに振ったが、シュートはブロックに遭った。

後半は岡山がルカオを投入してスタートすると、チームの推進力がアップ。50分には右サイドからルカオが折り返し、チアゴを経由し、ムークがコントロールショット。GK関は一歩も動けなかったが、わずかに枠の右に逸れた。57分にはルカオのスルーパスに抜け出したチアゴが倒されてPKを獲得。しかし、チアゴのシュートはGKにストップされて同点とはならない。それでも61分にゴールをこじ開ける。田中雄大がドリブルで中央を突破し、ルカオのシュートはGKに防がれるも、ムークが押し込んだ。背番号8が4本目のシュートをゴールに結びつけた。

選手交代でパワーアップしたのは、岡山。一心不乱にゴールに襲い掛かると、84分に待望の瞬間が訪れる。抜け出したルカオのシュートはGKに弾かれるも、途中出場の坂本一彩が無人のゴールに蹴り込んだ。3カ月ぶりとなった背番号48のゴールに、完売となったアウェイ席が大きく沸いた。

しかし、試合はこれで終わらない。ドラマが待っていた。試合終了間際、大規周平がPA手前で倒されてFKを獲得。しっかりと間合いを取ってから池上丈二が右足で直接狙う。キレイな放物線を描いたシュートがゴールを捉えた。GK堀田大暉は一歩も動くことができず、J通算200試合出場を達成した背番号10が同点弾を叩き込み、山口が土壇場で勝点1をもぎ取った。

勝ちたかった。勝点1を積み重ねた両者が試合後に抱いた気持ちは、これに尽きる。山口は自力で残留を勝ち取るため、岡山はプレーオフへ望みをつなげるためには勝点3が必要だったからだ。ただ、あと一歩で勝ち切れなかった岡山の方が、残りの勝点2を獲得できなかったダメージは大きいだろう。