勝敗を分けた4-4-2の熟練度~最終節ファジアーノ岡山VS水戸ホーリーホック

 2019シーズンの最終節となったこの試合。勝利で締めくくりたいファジアーノ岡山を昇格プレーオフに出場するために勝利が絶対条件の水戸ホーリーホックがホームで迎え撃つ。

試合結果

明治安田生命J2リーグ第42節
ファジアーノ岡山 0-1 水戸ホーリーホック

【得点】
42分 瀧澤修平(水戸ホーリーホック)


スタメン

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 前節からスタメンを4人変更。DF濱田水輝、DF椋原健太は久しぶりの先発復帰。右サイドハーフに抜擢された18歳のMFユ・ヨンヒョンはこの試合がJリーグデビューとなった。

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 前節の鹿児島戦からスタメン変更は6人。ゴールマウスを守るのは経験豊富なGK松井謙弥、最終ラインにはDF瀧澤修平、DF岸田翔平、DF志知孝明がスタメン復帰。U-22日本代表の活動から戻ってきたFW小川航基とファジアーノ岡山に在籍経験のあるFW清水慎太郎が2トップを組む。



ハイライト



決勝点はセットプレーのこぼれ球

 42分、パスをカットしたMF上田康太のタッチが大きくなり、MF木村祐志とイーブンなボールになってしまう。一足早くボールに触ったのは木村だった。上田はたまらずファウルをしてしまい、ゴールから約20ⅿのあたりでFKを与えてしまう。キッカーの志知は雨で滑りやすいピッチを生かす低いシュートを放つ。シュートは密集した選手に当たり枠に飛ばないが、攻めあがっていたセンターバック瀧澤の前にこぼれる。瀧澤はそのこぼれ球を豪快にゴールに蹴り込んだ。
 この失点でのキーワードは、「ピッチコンディション」、「コントロールミス」、「気持ち」の3つだ。
 まずは1つ目のキーワードである「ピッチコンディション」について2つ目の「コントロールミス」に触れながら述べていく。この試合は雨が降る中でキックオフされたことで芝生は濡れていて、ボールが滑りやすいピッチコンディションだった。その中で、FKを与えてしまうきっかけとなった上田のコントロールミス。水戸の浮き球のパスを胸トラップでカットしようとしたが、このボールが大きくなってしまい、滑りやすいピッチでの影響で、即時奪回プレスのスタートを切った木村の方へバウンドが伸びた。よって先に木村に触られ、上田はボールにアタックできずファウルをしてしまった。その時の反転しながらボールと上田の足の間に自分の足を先に入れた木村のアイディアと身のこなしは素晴らしかった。
 3つ目のキーワードの「気持ち」について。水戸はプレーオフに出場するためには、勝点3が絶対条件だった。勝つためにはゴールが必要だ、そんな選手の気持ちとスタジアムに駆け付けた多くの水戸サポーターの声援がボールが水戸の選手の前にこぼれたのだと思う。また、岡山の選手たちより反応が速かったのも昇格に対する、勝利に対する執念だったのではないだろうか。



距離感から考える4-4-2

 支配率では水戸を上回っていた岡山が試合に敗れてしまった要因について考察していく。負けてしまった要因は選手同士が近い水戸の距離感にあると考える。
 岡山も水戸もシステムは同じ4-4-2を採用。岡山はサイドバックを高い位置に押し上げ、ボランチの上田or喜山がCBとボールを繋いで前進を図り、ヨンジェを起点とする攻撃を展開していく。それに対して、水戸の守備がかなり効果的だった。2トップの1人がボールホルダーへ片方のサイド切りながらアプローチ、それにもう1人のフォワードと追い込んだサイドのミッドフィルダーが連動してプレスをかける。この時の、右サイドの黒川淳史の予測とプレスのスピードが速く、岡山のDFラインを脅かした。また、水戸はDFラインを高めに設定し、岡山が前進するスペースと時間的余裕をなくさせる。サイドハーフが下がるしかなく、2トップとDFラインの距離が遠くなってしまった。ヨンジェにボールが入っても孤立しているため、数的優位を作られチャンスを生み出せなかった。
 中盤では高いインテンシティと豊富な運動量で、上下動を繰り返し岡山のボランチの脇を突いたり、間を取られてボールを受けられてしまった。即時奪回プレスが売りの岡山だが、この試合では水戸がそれを上回る格好となった。不動のスタメンだったMF関戸健二とMF仲間隼斗の不在が大きく響いてしまった。



終わりに

 最終節を勝って終わりたかったが、水戸がホームで強さを見せた。。コンパクトで洗練された水戸がまるで4-4-2の戦い方のお手本を見せるかのような試合になってしまった。終盤4戦未勝利と失速してしまったところは反省すべきことである。終盤の失速は怪我人の続出と、シーズンを通してメンバーを固定しすぎてしまったことで選手が肉体的に消耗していたことが要因だと考える。まだまだ選手層は厚いといえるものではないのだろう。
 シーズンの終わりは来シーズンの始まり。育成型期限付き移籍が多い岡山はオフに動きが活発に動くはずだ。有馬ファジとなった初年度で、クラブ歴代最高勝点の65と並んだのは下馬評を覆し、サポーターだけでなくリーグも盛り上げた。期待せずにはいられない有馬ファジ第2章を楽しみにしよう。

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2019シーズンのファジアーノ岡山の総括記事をオフシーズンに投稿予定。

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