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②これまでの大まかな流れ・マイルストーン

今回は、移住先の丸森町に住む環境を整えるまでに、どのくらいの期間を要したのか、その流れを説明していきたいと思います。大きく4つのフェーズに分けて、移住の第一歩として大事なポイントも解説します。


1.全体スケジュール

-どんな流れで移住先の検討、計画を進めていったか
フェーズ0:移住先のリサーチ、空き家バンクへの問合せ、空き家調査
フェーズ1:実現可能性検討(ローン検討)+α準備(地域おこし協力隊への応募)⇨移住の決断
フェーズ2:物件取得、設計、施工業者探し、見積⇨工事契約
フェーズ3:工事→引渡し(今回のゴール)

全体スケジュール

2021年10月に具体的なアクション(古民家探し)を起こしはじめてから、古民家を改修し、引越しをして住むまでに、約14ヶ月かかりました。これは長いのかどうかと言えば、改修工事を行うことを前提として考えると相当短い期間で実現できたのではと思っています。気にいる古民家探しにも、一般的にはもっと時間がかかるため、スムーズに進んでもトータルで20ヶ月程度はかかるものだと念頭においておく必要があると思います。気長に構えながら、ゴールへ向けて着実に実行していくことが大事になります。

それぞれ具体的にどんなことをしていったのか説明していきます。

2.フェーズ0:移住先のリサーチ、空き家バンクへの問合せ、空き家調査

フェーズ0:2021年10月〜12月

まずは移住先のリサーチからです。どんなまちへ移住したいか、それは各々によって理由が異なると思いますのでそこでどんな生活をしたいかイメージして、具体的な条件を抽出していくことが第一歩です。

自分が重視した点としましては
①実家から程よい距離で行き来できること
→長くて2時間以内
→両親も遊びに来れる
→工事中の拠点として

②自分の思い描くライフワークが実現できる場所
→畑や田んぼをつくり半自給的な生活を目指す
→山登りやキャンプ、釣りなどアウトドアの趣味を楽しめる環境
→まちに開いて人が集まれる場所をつくる

③気候的な厳しさがそれほどないこと
→寒いのが苦手なので、宮城近辺で比較的寒くない地域+日射をたくさん取得できる南向きの古民家

上記をもとにネットで各町の空き家バンクをみて、気になった空き家とそれが所在しているまちについてリサーチしていきます。実際にみたいものに関して問い合わせを行うので、半分は旅行気分で楽しむことがポイントです。また、一人ではなく家族で動くことも大事なことです。ちなみに私は空き家を実際に見に行くことを決めた段階で車を買いました笑。大抵の古民家がある場所は公共交通機関では辿り着けないためです。

問い合わせを行い、実際にそのまちへ赴き古民家をみて、調査していきます。大抵の場合、古民家のカルテ(不動産としての情報や図面など)を事前にもらっているので、図面通りのプランであるかどうかなどをチェックしてきます。詳しくは別立てで解説します。可能であればまちの(空き家バンクを運用している)方にも案内をお願いして、一緒にみて周りながらその地域のことなどについてヒアリングをしておくとなお良しです。比較対象を作るために一つのまちで2件以上は空き家をみて回ると判断材料のプラスにもなりますし、実物をみてみないとわからないこともたくさんあります。私も今の家とは別に本命の空き家があったので、ついでのつもりでみただけなのですが予期せず良い、運命の出会いとなりました。

空き家だった丸森町の古民家(現在の母屋)

こういったことをいくつかのまちで行います。私は3つのまちを実際に見に行き、丸森町の現在の家を購入する決意を固めました。家の所有者さんにもお会いして、ビジョンを説明しました。どんなことをしようとしているか、きちんと説明すると、その後の交渉がスムーズになりますので丁寧なコミュニケーションが大事になります。空き家バンクの運営者さんからも、検討中の物件に対し他の方からの問い合わせはキャンセルするという話を頂き、他の方に購入される心配をすることなく次のフェーズに移っていくことができました。

3.フェーズ1:実現可能性検討(ローン検討)+α準備(地域おこし協力隊への応募)⇨移住の決断

フェーズ1:2022年1月〜3月

購入する古民家が決まったら、資金計画に移ります。どんなプランにしたいかなど楽しい方へと進んでしまいがちですが、一旦立ち止まる必要があります。選んだ古民家に対して、取得費用や、どのくらいの規模で工事を行いその工事費はいくらかなど、ゴールへ向かうためのお金の流れを整理していきます。これに関してはフェーズ0ではじめても良いくらいの事柄になります。その理由は、古民家取得・改修費用で住宅ローンを組めるかどうかが移住先の地域(地銀)によって異なるためです。
一般的にいえば、旧耐震(1981年6月1日より前)の建物に関しては住宅ローンが組めないことが多いです。ただし、本当にその地域(地銀)によりけりなため、最初に移住先へ訪れた段階で銀行を紹介してもらい、相談するくらいのことをやっておいた方がベターです。私自身は宮城の地銀で古民家に対して住宅ローンが組めることを確認できていたので、割とスムーズに仮審査などへ進むことができました。これはほとんど運によるところが大きいです。
また、ローン審査を進めていく上で各種見積(工事費、設計費など)も必要になりますので、そのまちに根付いている工務店や設計事務所などを紹介してもらい、対応をお願いするなどの手続きも必要です。
リフォームローンなどもあるのでは?という話にもなるかもしれませんが、借りられる上限金額が低いことと、住宅ローンに対して金利も高いことから、まずは住宅ローンを組むことを検討すると良いと思います。

地域おこし協力隊に応募した際のマスタープラン

また、このフェーズ1の最中にたまたま地域おこし協力隊の募集があり、現時点の仕事+αとしてまちと関わる新しい事業もはじめていきたいと思い、前回でお見せしたスケッチを作成して応募に臨みました。この期間に移住先での家族を含めた生活や仕事のことに関して整理する時間をとって、移住先での具体的な生活像をイメージしていくことも大事です。

運よくローンの仮審査と協力隊合格の時期が重なり、今後一定期間の金銭的な安心が確保できたので、その段階で移住するという最終決断ができました。この間も何度か移住先を訪れて色々な方にお会いする中で、まちの方々の人の良さや自然豊かな環境にもますます惹かれ、すんなりと決断に至ることができました。

4.フェーズ2:物件取得、設計、施工業者探し、見積⇨工事契約

フェーズ2:2022年4月〜8月中旬

移住の決断をしてからは、具体的な検討や手続きを進めていきます。2022年3月末に決まった協力隊の着任が8月からと決まったため、着任と同時に改修工事を進められるよう怒涛のスケジュールで動いていきました。古民家の設計期間約2ヶ月、見積1ヶ月、金額調整・工事契約1ヶ月といった期間で決めるべきことをまとめていきました。このフェーズでは頻繁に東京-丸森を行き来したので結構ハードでした。夜に東京を出発し、朝方に近くの温泉町で仮眠、温泉に入って丸森へいくということを繰り返し、少なくとも2週間に1度は往復してました。
一般的にはそれぞれ協力者が必要になると思います。物件取得に関しては古民家の持ち主さんとのやりとりをしながら不動産仲介と司法書士、古民家改修の設計者(私の場合は自ら設計)、見積から工事までお願いする施工会社、地銀のローン本審査のやりとり、土地に関しては農地を含んでいたため役場の農林課などともやりとりを行いました。それぞれの詳細やポイントに関しては追って説明していきます。

5.フェーズ3:工事→引渡し(今回のゴール)

フェーズ3:2022年8月中旬〜2023年1月

2022年8月の着任と同時に無事工事はスタートしていきましたが、その前段階から古民家の残地物などの片付けをし始めました。お盆明けからオフィス部分を着工し、仕上げなどは両親や友人などの協力をいただきながら自分たちで部分的に工事を行い、1ヶ月程度で完成しました。約30㎡程度の小さな面積で素材の選定や施工方法の確認を試してみる意味合いも含まれていました。オフィス完成後はそこに寝泊まりしたり、実家との往復をしながら本体である母屋の工事監理を進めていきました。母屋の工事段階でもコストを抑えるために仕上げ作業(フローリングや天井材にひたすら塗装)や躯体部分(柱・梁)の清掃(埃などが付着しているため、サンダー掛けを行い、塗装)、施主支給品の発注(洗面器具、照明器具、フローリング、仕上材などネットで発注可能なものは全て自ら注文し、現場に納めています)などを行なっています。具体的な空間や素材の選定については別立てで説明する機会をつくろうと思います。
工事期間はオフィス・母屋合わせて4.5ヶ月程度で2023年1月半ばにひとまずの完成を迎えて、東京の自宅を引き払い引越しを完了しました。家族は母屋完成後に丸森へ移りました。

竣工後の母屋(外観)
竣工後の母屋(内観)

大雑把ですが、大体このような流れで自分たちが住まうことのできる環境を整えていきました。現在はそこから1年ほど経過してますが、追加の工事は行なったりせず外の木を切ったり、畑を耕したり、様々なものをつくったりと庭中心にゆっくりと手を入れながら生活していっております。今年はまた拡張の工事(母屋にゲストルーム、もしくは事務所拡張)をやろうかなと計画しているところです。

次回からは、移住を決めた動機やフェーズごとの詳細などを綴っていきたいと思います。

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