冨塚崇 / Takashi Tomizuka

建築家 東京から丸森町へ移住し、古民家でくらしています HP→https://www…

冨塚崇 / Takashi Tomizuka

建築家 東京から丸森町へ移住し、古民家でくらしています HP→https://www.yeto.jp/

マガジン

  • MARUMORI Lab - くらしを耕す実験場 -

    宮城県丸森町にある古民家を含む敷地全体をラボと見立て、設計者自身が里山における新しいくらしを耕していく拠点。1期工事として自宅兼ショールーム、設計事務所の改修工事を行いました。古民家に対してのネガティブなイメージを払拭するためにスケルトンから断熱気密施工し、古民家がもつ本来のおおらかさを尊重するプランニングとし、塗装工事はまちの方々に協力いただきDIYで仕上げています。木部はすべて柿渋塗装で、箇所ごとに木の種類や塗装回数を変えることで様々な表情を付けています。今後も事業拠点として、半自給自足を目指す畑、柿渋の工房、山水を利用したサウナ、蔵ワインバー、ボルダリング施設など、整備を続けながらまちへひらいていくことを展開予定。まちの機関とも連動し、古民家を活用した移住促進のモデルとなるようなライフワークプレイスとして、都心の生活とは異なる、里山での新しいくらしのかたちを実践し、発信していきます。

最近の記事

⑩MARUMORI Lab - 今後のビジョン

自宅が完成してから1年ほど経ちました。実際にくらしはじめてから気づいたこと、心境の変化もあります。 今回は、今後どういったビジョンでこの場所を耕していくか、どんなくらしを実現していきたいかなどをお話ししようと思います。 01.ラボの全体像、今後の活用方法などこの絵を描くとき、4棟の建物(母屋、豚小屋、蔵、倉庫)を含めた敷地全体をラボ(実験場)と見立て、里山での新しいくらしを時間をかけて耕していきたいという想いがあり“MARUMORI Lab”と名付けました。何年で完成という

    • ⑨古民家くらしの楽しみ

      今回は、古民家にくらしはじめ、新しい生活で様々なことにトライして楽しみになったことや、新たな発見について綴っていこうと思います。 01.生活環境について大きな変化として都心の生活とのギャップがありそうに思われるかもしれませんが、車中心の生活になったことを除けば、そこまで不便は感じません。Amazonだって翌日には届きますし、スーパーやドラッグストアなども車で5分も走ればあるので気軽に用を足せます。夜ご飯を食べる場所が少ないですが、東京にいたときよりも自炊するようになり家とい

      • ⑧移住・古民家改修で大変だったこと

        今回は移住・古民家改修にあたって大変だったことについて書いていきます。 とはいえ、やらなければならないことでもあり“いかにして楽しくできるか”が肝心なのでそのポイントも盛り込んでいきます。 1.既存残置物の処理こちらは、古民家取得にあたってどういう状態での引渡しになるか事前に確認しておいた方が良いことのひとつかもしれません。大抵は現状のまま引渡しになるケースが多いですが、まちによっては持ち主と取得者の双方に対して処分に関する補助金がでたりすることもありますのでうまく利用すべ

        • ⑦自宅紹介その2

          今回は写真をお見せしながら各空間について説明していきます。 平面図はこちら 01.玄関まずは玄関からです。 玄関を上がって振り返ったところです。 真ん中の柱奥が壁面になっており、玄関正面にウェルカム感をつくる受けを設け、その裏に薪ストーブを設置し建物全体を暖めるため、今回工事範囲の中心に近く、煙突の抜け方がシンプルな位置になるよう工夫しています。 02.薪ストーブ周り薪ストーブは小さめですが、しっかり暖めてくれます。ストーブ周りの不燃処理と、火をちょうど良い高さから眺

        ⑩MARUMORI Lab - 今後のビジョン

        マガジン

        • MARUMORI Lab - くらしを耕す実験場 -
          10本

        記事

          ⑥自宅紹介その1

          前回はリアルな資金計画の話をしましたが、実際にどんな家に住んでいるのか、気になった方もいるかと思いますので、今回は自宅の紹介(設計編)をさせていただきます。 1.before 図面こちらが母屋のbefore図面です。古民家の図面が残っているのは希ですので、実測して図起こしをします。母屋は築100年くらいの2階建の建物と、後に増築された35年程度の平家が繋がってできています。元々は農家で養蚕などもされていたため、その名残がありました。実測と並行して、柱の傾きや床の不陸も調査し

          ⑥自宅紹介その1

          ⑤ローンの検討・資金計画

          今回は古民家改修に関してのお金の話をしたいと思います。改修にあたり、DIYで少しずつ楽しみながら行うという選択肢もありますが、快適なすまいの質を考えるとプロにお願いして、できる範囲でDIYを進めていくのがベターだと考えます。そういう意味でも資金計画は初期段階できちんと検討する必要があります。 1.移住先ですぐに探さなければならないもの第二回の記事で全体の流れについて書きましたが、古民家を内見する際にそのまちではじめにやっておくべきことが、銀行探しです。会社で融資を受けること

          ⑤ローンの検討・資金計画

          ④理想像・目指すべく参考にしたもの

          前回は移住を決めた動機やきっかけについて書きましたが、それに至るまでの過程で考えるもととなった思想や空間をいくつかご紹介します。 半農半Xという生き方移住を検討している人には必読書すぎてベタかもしれませんが、これからの時代の生き方を考える大きな指針となる一冊です。Xには自身のミッションが当てはまり、私自身は半分ずつでなくて、割合はその都度調整していけば良いのかなと思っています。少しでも「食」にまつわることを生活に取り入れることが、里山くらし(田舎と呼ぶのが好きではないため、

          ④理想像・目指すべく参考にしたもの

          ③移住を決めた動機

          今回は、自身の移住のきっかけや動機などについてお話しようと思います。 0.変わりゆくことに柔軟になること社会的な状況の変化もありますが、人との出会いによって考え方が結構変わったという点が大きいような気がしています。大学を卒業してからほぼ東京にいたため、その環境に慣れてはいたものの、ひたすらにものや人までも消費しているように感じられる社会に疲弊している感覚がありました。そんな中で前の会社を辞め、漠然と東京で独立して設計事務所をはじめようと思っている時に、後ろ盾も何もない中で一

          ③移住を決めた動機

          ②これまでの大まかな流れ・マイルストーン

          今回は、移住先の丸森町に住む環境を整えるまでに、どのくらいの期間を要したのか、その流れを説明していきたいと思います。大きく4つのフェーズに分けて、移住の第一歩として大事なポイントも解説します。 1.全体スケジュール-どんな流れで移住先の検討、計画を進めていったか フェーズ0:移住先のリサーチ、空き家バンクへの問合せ、空き家調査 フェーズ1:実現可能性検討(ローン検討)+α準備(地域おこし協力隊への応募)⇨移住の決断 フェーズ2:物件取得、設計、施工業者探し、見積⇨工事契約

          ②これまでの大まかな流れ・マイルストーン

          ①自己紹介と現状、丸森町について

          はじめまして。 目をとめていただきありがとうございます。 2022年8月から宮城県最南端の丸森町(まるもりまち)というところへ移住し、古民家を取得し、現在は自宅と自分の仕事場を改修してくらしています。 このマガジンでは、移住へ至る流れや考え方、実際にどうやって実行していったかを紹介していきたいと思います。 建築設計に携わる人間として、そのノウハウを説明し、同じことを実践してより良いくらしを手に入れようと決意する後押しになれば幸いです。この考え方は私が建築をやっているからできる

          ①自己紹介と現状、丸森町について