見出し画像

アンネの日記

「どんな富も失われることがありえます。けれども、心の幸福は、いっときおおいかくされることはあっても、いつかはきっとよみがえってくるはずです。」

10代前半の子が書いたとは思えない、生命への洞察。

連合軍の進撃が、唯一の希望だったアンネたちのように、

今も世界の何処かで、戦争が終わる日を待ちわびて、静かに耐えている人たちがいると思うと、
戦争はいけないし、戦争を始めた時点で大罪なんだと思う。

「わたしはぜひとも何かを得たい。夫や子供たちのほかに、この一身をささげても悔いないような何かを。
ええ、そうなんです。わたしは世間の大多数の人たちのように、ただ無目的に、惰性で生きたくはありません。周囲のみんなの役に立つ、あるいはみんなに喜びを与える存在でありたいのです。わたしの周囲にいながら、実際にはわたしを知らない人たちに対しても。わたしの望みは死んでからもなお生きつづけること!その意味で、神様がこの才能を与えてくださったことに感謝しています。このように自分を開花させ、文章を書き、自分のなかにあるすべてを、それによって表現できるだけの才能を!」

彼女は読書熱心だった。きっと彼女の胸の内には、自分が読んでいる本の作者のように、という思いがあったのではないか。

「わたしは思うのですが、戦争の責任は、偉い人や政治家、資本家にだけあるのではありません。そうですとも、責任は名もない一般の人たちにもあるのです。そうでなかったら、世界中の人びとはとうに立ち上がって、革命を起こしていたでしょうから。もともと人間には、破壊本能が、殺戮の本能があります。殺したい、暴力をふるいたいという本能があります。ですから、全人類がひとりの例外もなく、心を入れかえるまでは、けっして戦争の絶えることはなく、それまでに築かれ、つちかわれ、はぐくまれてきたものは、ことごとく打ち倒され、傷つけられ、破壊されて、すべては一から新規まきなおしに始めなくちゃならないでしょう。」

その通りだ。
なんで戦争がなくならないのか。
あの国が悪い、政治家が悪いと言ってもなくならない。
ひとりも例外なく、
自分の心から、戦争に通じる暴力的本能をねじ伏せる。
自分がよければそれでよい、という利己主義を叩き直す。
身近に平和を、心に平和の砦を築くことが、
いま関心をもつべきことなのかもしれない。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?