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下町の空き地で始める、建てない場づくり

大家の仕事を継いでから、荒川区の町づくりをぼんやり考えることも増えました。

そんな最近、ぽっと出現したのが「うちの小さい空き地どうするか問題」

生まれ育った荒川区の路地裏にある、15坪(畳30枚くらい)ほどの小さな空き地。今まで借地としてお貸ししていましたが、住人さんが退去し、更地になって手元に戻ってきました。

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この空き地、いかがしたものか。
常套手段は仲介会社さんなどに依頼して売る/貸す。楽だし収支も見通しが立ちます。

いっぱい悩んだけど、それはやめました。
何故なら、私が生まれ育ったこの町のためにならないと思ったから。

そう思った経緯は後半に書くとして、
令和元年、この空き地でチャレンジすること。
それは、

“地域に根付いた暮らしができる場”を作る
「想像建築」プロジェクト

です。

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いきなり物件を建てるのではなく、一年間、広場としてイベントなどに暫定利用します。

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荒川区の人やお店と出会えるイベントを通して
町の人にも愛される場を作り
住人候補さんを集め
叶えたい暮らしが叶う物件を一緒に想像し
作りたい

と思っています。この町いいなと思ってくれた人に住んでもらいたい!

・ご近所さんも集うカフェ付き住宅がいいかな
・それなら下町でカフェを開いてみたいオーナーさんが起業するキッカケにもなりそう
・起業支援の手厚い荒川区。シェアオフィス機能が付いていると地域の起業家の輪が広がるかも
・もしかして住宅ではなく介護や子育てに便利な物件が、この町に必要かも...

そんな想像を一緒に広げられる人と出会いたいです。

住みたくなる個性ある町であり続けて欲しい

このプロジェクトを始める経緯を少し詳しく。
この空き地の使い方決めた理由は、最近この町の風景が変わってきたから。

荒川区東尾久〜町屋エリアには、サザエさんの家のような軒先で植木鉢を楽しむ瓦屋根の一軒家、賑わう商店街、猫が行き交う路地裏があります。そして下町らしい人情味のある人たちが住んでいます。

もうすぐ令和になるというのに、まだ昭和な荒川区の景色、たまらんです。

この点に惹かれて荒川区に住んでいるという人を、私は何人も知っています。

しかしここ数年、この町らしい風景を壊し、駐車場や画一的なマンション、チェーン店が乱立し始めました。
隣の人の顔も知らないマンションが建ち、今まで民家の前で井戸端会議をしていた人たちがいなくなりました。商店街が住宅街のようになりつつあります。

オーナーさんの高齢化や町の防災面など、それぞれに事情やメリットがあるのでこのように景色が変わるのも分かります。

だけどこの町が好きで住んでいる身としては、町の良さが削られ、賑わいが消え衰退していくのは寂しくもどかしいです。

この町で隠居したいのに、私が隠居するときに面影のないタウンになってたらやるせない...

どこにでもあるような無個性な景観の町に「絶対にここが良い!」と思って人が住むとは思えません

都内のほとんどの区がそうであるように、荒川区の人口は年々増加していますが、25~34歳の若者の転出入が多く定住していません。

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住まいに選ばれない無個性な町は、長期的に考えると価値が下がります。これはいずれ大家にとっても大打撃になります。

物件は景観を作るし、住人は町を作ります。

せっかく生まれ育って愛着のある荒川区で大家をやるなら、人任せにせず自分で
町と人に愛される場を育て
町を愛し住む人を呼びたい

と思っています。

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すでに私が大家をしている築40年物件・トダビューハイツには、町を彩る素敵な住人さんがいます。一緒に町歩きをしたり、今回のプロジェクトを手助けいただいたり。

トダビューハイツの住人さんのような人を、もっともっと町に呼びたいです。

この空き地がどんな形になるか(もしかしたら頓挫してふつーのマンションが建ってるかも...泣くわ...)。
ワクワクそしてちょっと胃を痛めながら、私の令和元年のチャレンジが始まります。

プレオープンイベントは4月28日(日)開催!

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この空き地のプレオープンイベントを、平成最後の日曜日4月28日(日)に開催します。

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町の大好きなお店にお声がけしました。このお店たちのおかげで、私は荒川区暮らしが楽しくなりました。おいしい上にオーナーさんがめっちゃ優しいんです。もはや私のお国自慢です。

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トークは私と、このプロジェクトを手伝ってくれている町のプレイヤー、行政職員、さらにトダビューハイツの住人さんが登壇します。

トークはフード&ドリンク付きの予約チケット制→ご購入はこちら!

みなさんには、

・ヨソモノが思い立って荒川区に転居してトークイベントを企画したら生活が変わった話
・空き地・空き家問題から考える町づくり
・スペック以外の条件で決めた荒川区暮らし

など、あーもう私が普通に聞きたいわっていうお話をしてもらいます。

住むつもりのない人ももちろん大歓迎。ふらっと遊びに来てくれると嬉しいです!!

イベント詳細:https://souzou-kenchiku.com/2019/04/20/vol1/

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このプロジェクトを始めるにあたって、空き地の近隣にご挨拶にうかがいました。

そしたら後日、お隣さんが「空き地の脇にお花植えてもいいですか?」とのことで...

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華やかになりました!わーい!

近隣にご挨拶に伺った日はすっっっっっごく緊張しました。変わった土地の使い方をするから怒られたらどうしようと。でもみなさん、あたたかく了承してくださいました。

荒川区でイベントをしたりお店を開いた人にお話を伺うと、口を揃えて「この町の人は新しいことに好奇心を持って関わってくれる。頭ごなしに反対してくる人がいない」とおっしゃいます。
これぞ下町・荒川区!あったけえ...!!

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