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非製造業の堅調、いつまで?

 本日公表された日銀短観の2019年9月調査において、大企業製造業の業況判断DIが3四半期連続悪化していることが明らかになりました。

 より幅広い全規模ベースでみると、製造業の業況判断DIはマイナスに転じています。業況が「悪い」と答えた企業の割合が、「良い」と答えた企業の割合を上回ったのです。これは2013年6月調査以来のことです。前回、消費税率を8%に引き上げた2014年4月以降でも、製造業の業況判断DIはかろうじてマイナスは回避してました(最低だったのは、2016年6月調査のプラスマイナス0)。

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 ただし、この悪化も、まだ想定の範囲内だったようです。前回の2019年6月調査において、製造業の先行き見通しはマイナス1だったのです。一方、非製造業は前回調査でプラス8まで悪化する見通しだったのが、横ばいのプラス14を維持しました。業種別では、建設、不動産が堅調です。この結果、私が注目しているサプライズ指標(前回の先行き見通しと今回の実績の差)はプラスを維持しています。

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 建設、不動産の堅調は、9月29日の以下の記事で報じられているように、「非居住用」(つまり住宅以外)の建設投資の拡大などを反映していると思われます。記事では、工場の建設需要や訪日外国人増を受けたホテルや商業施設の整備の動きを反映したと書いています。製造業の業況判断が悪化を続ける中、前者の工場の建設需要がいつまで続くかは不透明ですし、後者の需要も五輪特需で、長続きしないと考える方が良いのではないでしょうか?

 こうした中で、今日から消費税率が10%に引き上げられました。大したことはないと言われていた駆け込み消費は、「それなりに出ていた」という見方も少しずつ出ています。その反動減や、消費税率引き上げによる購買力の低下が非製造業の業況悪化につながっていくかどうか、次の12月調査を注意深く見る必要がありそうです。

 ちなみに、前回の消費税率引き上げ時も、直前の2014年3月調査で業況判断DIは製造業、非製造業ともにピークをつけました。今回は、製造業が先に悪化しており、非製造業の動向は前回以上に重要だと考えられますね。

#COMEMO #NIKKEI

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