転職で収入増、本当か?

 今朝の日経朝刊1面に下記の記事が出てました。21日に公表された雇用動向調査の表6「転職入職者の賃金変動状況別割合」のデータに基づくものですね。

 一方、同じ雇用動向調査の付属統計表4「転職入職者の賃金変動状況(就業形態別)」における賃金変動状況は以下の通りとなっています。一般労働者は、いわゆるフルタイム労働者(ただし、正規、非正規が混在)です。そのうちの「雇用期間の定めなし」はいわゆる正社員に近いのではないかと推察されます。賃金が増加した人の割合34.8%と前年に比べてむしろ低下してますね。

 一方、増加の比率が急激に上昇しているのは、労働時間が短い「パートタイム労働者」です。パート・アルバイトの確保が厳しくなっている中、時給の上昇傾向が続いていますが、そうした中でパート・アルバイト先を変更した人々の賃金が上がっているのが収入増の中心ではないでしょうか?

 ちなみに記事中の「正社員などを含むフルタイム労働者の転職の場合も、賃金が増加した割合は39.7%となった。」とあるのは、下の表の下から2段目のデータを拾っていると思いますが、この欄のデータは雇用期間の定めがないだけで、フルタイムとパートタイムの両方が含まれています。事実誤認といえますね。

文脈に合わせるなら、表の1番目の34%もしくは2番目の34.8%を引用すべきでしょう。ともに、前年から低下しているので、記事のストーリーには合いませんが(笑)。



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