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【起業戦略】第16講 TAM、 SAM、SOM

TAM、SAM、SOMってあるじゃん。

これ、説明できる?

「TAMは、Total Addressable Market。SAMは、Serviceable Available Market、SOMは、Serviceable Obtainable Marketでしょ?」
なんて、ドヤ顔する人。それは、何の略かの説明だけですよ。

みんな何なのかよく分かってないのに、pitchデックに盛り込んだりしてるよね。

VC(ベンチャーキャピタル)と話すと、「TAMはせめて1,000億円くらいないとねー」とかいわれるんだけど、実際、TAMやSAM、SOMがどう目の前の事業計画に結びつくのか分かっていて、説明できる人は、まあほとんどいない。

TAMが1000億だろうと200億だろうと、1兆だろうと、そんなの鉛筆舐めていくらでも数字を盛ることが出来るし、TAMが10億だろうと10兆だろうと今期の売上にはなんの関係もない。なんのために、そんなのつくるの?って思ってる人も少なくないはず。

でもね、やっぱりTAM、SAM、SOMって、特に新規事業を考える上では、大事なんだ。

という訳で、今回は、このタム・サム・ソムについて、世界一分かりやすく話していくよ!


TAM、SAM、SOMの定義

TAM(タム):Total Addressable Market

まずは、Addressable Marketっていうのは、自分たちがアドレサブルな(=対象とできる)課題をもつ会社や人たちのこと。その規模は、その課題を解消するのにかけられている費用(予算)の総額と考えればいい。

たとえば、自社のサービスが「ダイエットを目的とした食事制限のための隔離施設」だったとしよう。

ダイエットという目的に対して「摂取カロリーをコントロールできない」という課題が、自分たちがアドレサブルな課題になる

さて「摂取カロリーをコントロールする」ための手段は、当然「食事制限のための隔離施設」だけじゃない。

ロー・カロリーな食品に既存の食品を置き換える、日常で摂取カロリー制限する支援をする、ローカロリーなレシピを提供する、吸収するカロリーをブロックするとか、いっぱいあるよね。

こういうのを全部あわせたのが、「摂取カロリーをコントロールできない」という課題を解決したい市場であり、そこにかけられている費用の総額が、その市場規模ということになる。これが、TAMだ。

ちなみに、英語の発音は、タムよりもテァムやテムが近い。

SAM(サム): Serviceable Available Market

Servicable(サービサブル、サービス提供可能)とはなにか。

TAMを構成する顧客は、様々なMust条(=必須)件を持っている。「Servicable」とは、「その中で自社が満たせるMust条件」と言い換えることが出来る。

自社のサービスが「食事制限のための隔離施設」だった場合「摂取カロリーをコントロールしたい」顧客のうち、「摂取カロリーを誰かに完全にコントロールしてもらう」というMust条件を持つ顧客が、「サービサブル」なんだ。

反対にこのサービスは、「日常生活からは離れない」というMUST条件は満たせない。つまりそういうMUSTを持つ顧客はサービサブルではないってこと。

Available(アベイラブル、対応可能)は、そのうち自社が提供可能な領域だ。もっぱら地域(東京のみ、国内のみ、アジアのみなど)などで、Availableは変わるのだが、場合によっては許認可的な制約や、商流的な制約によってAvailableが変わるということもある。たとえば、自社が◯◯グループの社内ベンチャーだった場合、競合する□□グループとは取引出来ないみたいな話だね。

ちなみに、英語の発音、サムよりもセァムやセムが近い。

SOM(ソム): Serviceable Obtainable Market

SOMとは、SAMのうち、自社が最大で獲得できる市場のこと。これは、SAMのうち、自社で満たせるWant(あったら嬉しい)条件をもつ顧客の集合といえる。

上記の例、「食事制限のための隔離施設」でいえば、「個室がある」「都心から1時間以内」「Wifiが完備している」などがWant条件ということになり、そのうち自社が満たせるもの(を持つ顧客の集合)が、SOMになる。

自社が満たせないWant条件、たとえば「川のそば」みたいなものがあれば、それはSOMの外ということになる。

ちなみに、英語の発音は、ソムよりもサムに近い。

規模感

TAMを100としたとき、TAMの絶対額にもよるけど大雑把にいえば最大でSAMは40前後、SOMは10前後になるのが妥当だろうと思う。さらに、SOMは10前後でも、実際には競合がいたりして、本当に獲得できるのは、上手くいっても4~5くらいだと思うけど。

IPOを目指す場合は、妥当性はともかくTAMがせめて1000億円くらいないと、かなり小さいマーケットを見ているというような印象を受けてしまう。上の比率で言えば、SAMで400億円、SOMで100億円、そのくらいじゃないかな。実際に取れるマーケットは40億円。

ほんとに40億円の売上が作れれば、別にIPOは難しくないだろうけど、そもそも出資を受けたあと上場できるスタートアップは、恐らく2%程度。その確率を考えるとそもそも全てが完璧に進んでも40億円のビジネスに出資するのは、ちょっと躊躇するよね。

そんな訳で、とりわけアーリーステージの出資をする立場になるとほとんどの人はTAMは5,000億円以上、出来れば1兆円くらいの目線は欲しいと思うんじゃないかな。

TAMは会社のビジョンやミッションをぶらさずにピボットできる余地とも言い換えることができる。

想定通りに行かなかったりすれば、ピボットをせざるを得ないし、起業からビジネスとして回るようになるまで、数回のピボットは当たり前だから、その余地が少ないと厳しいという見方もあるんだ。

TAM、SAM、SOMがそれぞれ小さすぎる場合は、そもそものビジョンやミッションに立ち返って考え直す必要があるかもしれない。

というわけで、今回はTAM、SAM、SOMについて話したよ。次回は、ビジョン、ミッション、バリューについて話す予定です。今のところ笑


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