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フィンランドのストライキ情報とその背景

現時点で発表されているストライキ情報を記載するのと、ここまで規模の大きいものがなぜ連続して起きているのかの背景をさらっと書いてみようと思います。



現時点で発表されているストライキ


今回のストライキについて

今回は政治的ストライキであるものの、日程が事前に告知されています。
そのため「明日も引き続きストライキを続行します」と急に日程が延びる可能性は少ないでしょう。

事前に告知された日が過ぎたら解除されるはずです。ただ「先週やったけどまた来週やる」といったケースは十分可能性があります。

現在政治的ストライキはいつでも自由に事前告知なしで実施できます。
※現政権(オルポ政権)はこれに制限をかける予定なので今後どうなるかはわかりません。ちなみにこの制限法案もストライキ理由の一つです。

もう一つの一般的なストライキ、労働協約に対するストライキは2週間前(14日前)の事前告知が義務付けられています。

以下、旅行者や留学生に影響がありそうなものを抜粋しています。


2/12 月曜日

電車が終日運行停止です。対象は全国、フィンランド全域です。


2/13 火曜日

2/13の火曜日は電車は運行されますが午前のダイヤの一部に影響があるかもしれません。またVR(鉄道会社)の一部サービスは火曜日に稼働していない可能性があります。
(他、旅行者や留学生に大きく関係するストライキはないと思います。)


2/14 水曜日

ヘルシンキ、タンペレ、トゥルクにて、メトロと路面電車が終日運行停止です。バスは一部運行されますがダイヤが大幅に減ります。つまり仮にバスが来ても満員状態で乗れないこともあるでしょう。

店舗の物流もストライキになるため通常とは異なる品揃えになる可能性があります。ただし労働組合によると「スーパーから食料品や日用品が無くなるわけではありません。」とのことなので過度に心配しなくてもいいでしょう。絶対に必要なものがある場合は事前に買っておきましょう。


2/15 木曜日

引き続きヘルシンキ、タンペレ、トゥルクの3都市におけるメトロと路面電車の全ダイヤが終日運行停止、バスの大半が運休になります。

店舗の物流も二日目のストライキです。


2/16 金曜日

店舗の物流ストライキの最終日です。土曜日の朝には解除される予定です。



なぜこんなにストライキが起きているのか

政府側にも労働組合側にも引けない理由があり長期化が予想されます。


現政権「この機を逃してはいけない」

2023年夏に発足したオルポ政権

2023年6月に選挙により第一党に選ばれた国民連合党(Kokoomus)ですが、今何十年に一度のチャンスの時が来ています。

過去(直近)の政権と政党の勢力一覧です。
青がKokoomus(国民連合党)です。彼らは今まで思い描いた政策が出来なかったことでしょう。

・Kokoomusと方針が異なりよく対立しているSDP(赤色、社会民主党)
・国民連合党の政策にそこまで興味がなく、ストライキに影響されやすいKeskusta(緑、中央党)

上記のような政党と共に政権を担当していたためです。

しかし今は大きな足枷となる政党は現政権にいません。今こそやりたいようにできるのです。


労働組合「権威を示すとき」

フィンランドには80の労働組合と、それらを取りまとめる3つの労働組合中央組織が存在します。

しかし昨今は組合の人数は減り続け影響力が減少してきています。
今回のストライキは影響力は弱まっているが、それを感じさせないよう必死になっている印象に思えます。

今ここで影響力を見せないと、支持者から「なんだ、労働組合は大したことないな」と思われ求心力がより下がることを危惧してそうです。

最近の組合員数推移グラフ出典元:Iltasanomat

影響力が弱まっているのはフィンランドに限った話ではありません。
様々な理由が考えられ研究もされていることでしょう。いつかこれも記事にしたいです。

【ただの一般人である自分の考察】
なぜ組合の人数は減り続けているのでしょうか。
労働組合に所属しない外国人労働者(移民)人口が増えたのも理由としてあるでしょう。しかし一番の大きな理由は「時代による人の価値観の変化」ではないかと自分は考えています。

親から子への家業を受け継ぐ人は現代にどの程度いるのでしょうか。
また日本でも終身雇用制度は過去の言葉となりましたよね。
職業選択が自由で転職がごく当たり前の今、仕事を自分のアイデンティティーとする考えは少なくなってきている気がします。

社会が豊かになり仕事だけが人生の全てではないワークライフバランスの考えが一般的になったことで時代が変わってきていると感じます。

そのため労働組合も「型にはまった古いもの」として捉えられているのではないのかなと思います。

今回の第二波ストライキ後、何も起こらなければ恐らく第三のストライキが来ると思います。

フィンランドに住む方は生活に影響がないよう引き続き注視する必要があるでしょう。また今月から春にかけてフィンランドに旅行に来られる方は注意してください。