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「地獄の花園」- ゴッドタンに"なった"つもりで観る映画 -|Webディレクターの映画鑑賞備忘録(ネタバレなし)

ラーメンは情報で食うがモットーのdevディレクターです。devはdevelopmentじゃなくて太ってるという意味です。

いやまあそれは冗談で(太ってるのはほんとだけど)、ラーメンなんてものは単純に、うまいかおいしいか"もしかしたらおいしいのかもしれない"のどれかで良いんすよ。ラーメンなんてもんは。素人が余計なこと言わずにね。やれ加水率とか、どこどこ製麺だとか、そういうことじゃなくね。

しかし映画には、観方ってもんがあると思うんですよ。

それはラーメンのそれのように、やれこの監督のデビュー作はどうだとか、これはあの映画のオマージュだとか、そういう事前情報集めましょうということではなく。角度と言えば良いのかな。

たとえば、映画そのものじゃないけどわかりやすい例としては、女優さんの話とかね。

先日、ロースペック男子に擬態することで"あれぐらいだったら普通にいるかも"と全国の女性を混乱に陥れる、通称"いるいる詐欺"で有名な星野源さんとご結婚された、新垣結衣さんという方がいます。

ね。
そのガッキーこと新垣結衣さんに対してですね、ときどきこんなふざけたことを言う輩がおるのです。

でも、胸は小さいよね、とか。
でも、背たかいよね、とか。

バカヤロウがと。
いや、そのむかし桜井ナントカさんという人も「顔のわりに小さな胸」なんて失礼なことをぬかしていたこともあるほどで、僕も含め男性というものが胸に目が行くのはある種しょうがないのだけれども。まあ、ナントカ和寿さんは少し鼻に掛かるその声も含めて愛していたということなので、許してあげて欲しいのですけれども。

いやいや、だから、ガッキーはそうじゃないでしょう?
まったく、ガッキーの何を見たらそういうことになるのかと、憤慨しておるわけです。ガッキーなんてもう姿カタチが見えなくても「ガ」の時点でかわいいだろうがと。「ッ」「キー」まで待つ必要もないわけです。もう「ガ」でかわいい。ガダルカナル・タカさんも「ガ」だけど、それはもう気にしない。もしくはもうガダルカナル・タカさんもかわいいと思い込めば良い。ラーメンと同じ。もしかしたらおいしいのかもしれない。

どの部分をかわいいと思うのか、なのです。
つまり、「どの部分を面白いと思うのか」なのです。映画はね。

ゴジラ映画に緻密な謎解きを求めるのはおかしいじゃないですか。それで「幼稚だ」とか「つまらない」とかいうのは、むしろちょっと残念だなってなってしまう。ゴジラ映画なんてのは謎解きどころかシナリオ自体どうでもいいのに(言い過ぎ)。あれはね、プロレスでいうところの「ぁああ青コーナーァアアア」が100分のうち80分ぐらいあると思えば良いのです。残りの20分で赤コーナーのゴジラがぶっ倒すから、もうそういう素晴らしい映画なのですよ。

いや、ゴジラ映画はわかりやすいとして。
先日感想を書いた「花束みたいな恋をした」などはわかりにくい映画の典型で。

記事にも書いたけど

「たんたんと普通の恋愛みせられてるだけで退屈だった」

みたいなネットレビューが結構たくさんあるんだけど、そうじゃないんですよ。ちがうの、その、スターダスト所属の誰々さんと、ジャニーズか劇団EXILEの誰々さんが出会って、お、おまえはぁ!、朝の電車のぉ!みたいな、くっつくのかくっつかないのかっていったらくっつくのはわかりきってるんだけど一応ドキドキしちゃうっていう、そういう「いわゆるな恋愛映画」じゃないんですよ。
どっちかっていうとドキュメンタリーをみる感覚の方が近い。もういっそ「だいぶおしゃれなザ・ノンフィクションを観ているつもり」の方が良い。

このように、観方をまちがえてしまうと素晴らしい映画も「何の起伏もない退屈な映画」になってしまう。それはとても切ない。

今作「地獄の花園」も、そこまで難しくはないんだけど、でも多少そのスタンスを求めらる映画だなと、思うわけです。めっちゃ面白かったけど。

バカリズム脚本ということでコメディなんだけど、そうですね、近いところでいうと福田雄一作品に近いところがあるでしょうか。

いや、だいぶ違います。面白さもだいぶ違う。
けれども、面白さの一番大きな土台になる部分は同じで、要するに「ワイは1,900円も払っていったい何を見せられているんだ」という若干の自虐的なあれがあるのですよ。あれってなんだ。わからんけど。

いやほんとにね(笑)
OLがガチガチのヤンキーみたいなことして、なぜか最強を競うという意味のわからんことをしてる、それを延々と2時間弱もみせられるんですよ。休日に金払って何をしとるんだとw

ただ、この映画はこのベースを絶対に忘れてはならんのですね。

もうね、これありきだから。
これありきだと、もうほんとバカバカしくて、とっても幸せな気持ちになります。

もう少し具体的に説明すると、そうですね、前述の福田雄一作品との対比がわかりやすいかもしれない。
福田雄一さんといえばやはり「勇者ヨシヒコ」であり、映画なら「女子ーズ」や「新解釈・三国志」だけど、僕はこれぜんぶ、ドラマじゃないと思ってるんですよ。なんでかっていうと、笑いどころをはっきり提示してくるから。ここ!ここ笑うとこだよ!ってわかりやすく表現してくれる。これはね、ドラマというよりコントだと思うんですよ。

だから、福田雄一さんの作品というのは
「ドラマのプロが、限りなくドラマ寄りの"コント"を撮った」
というのが、適切な表現かなと思っていて。

そうした場合、この「地獄の花園」は
「笑いのプロが、限りなくコント寄りの"ドラマ"を撮った」
という作品になる。

だから、ぼーっと観てると忘れてしまう。きちんとドラマとして成立するクオリティでつくられているので、うっかりすると美しい女優さんたち(一部オッサンもいるけど)の全力演技に魅了されてしまい「バカリズムが書いたバカバカし過ぎる脚本の映画だ」ということを忘れてしまう。

でも、違うんです。「ちゃんとしたドラマ」で観ちゃうとアラはあるし、そもそもそれが観たけりゃ他の脚本の方が良くて。当たり前なんだけど。だってもともとクソばかばかしいこと見せてるんだからw

で、実はこの映画が面白くて僕は2回観に行ったんだけど、その僕が思ったんですわ。「あれ・・・?何だっけなこの感じ。何か体験したことがある感覚なんだよなぁ・・・」と。
で、思い出しました。

「ああ!これ、ゴッドタンだ!」

そう、ゴッドタン。
の、なかでも、あれです。
「キス我慢選手権」
劇団ひとりの、あれですよ。
芸人が何の説明もなくスタジオに呼び出され、そこでセクシー女優とアドリブ寸劇を行うなかで、セクシー女優が繰り出すあの手この手の「キス誘惑」を我慢し続けた者が勝ち、というコーナー。

「ねぇ〜え〜、キスしようよぅ〜」みたいなセクシー女優の誘惑を我慢する芸人をひたすら見せられるという。

ただの1コーナーだったそれが、劇団ひとりのアドリブが凄まじすぎて、なんと映画化までしてしまったという伝説のゴッドタン人気企画ですやね。

知ってる人はわかると思うんだけど、あれ、そうじゃないですか。

ただ単に芸人がセクシー女優のキスを我慢し続けるなんて、どんだけくだらないもん見せられてるんだと思いながら、次々に起こる展開とそこで表現する演者達の演技力にどんどんと吸い込まれていくという。

でも、都度都度思い出すわけですやね。
「( ゚д゚)ハッ いやいやこれ、ただのキス我慢ゲームだからw」
と。

それ、それです。
ただ、当たり前だけどこの「地獄の花園」にモニタリングしている矢作タンや設楽タンがいるわけじゃない。
逆に言えば、彼らになったつもりで観るとちょうど良い映画なんですよ

つまり、この人たち。

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※"映画『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』予告"より

あるじゃないですか。

設楽「いったい何を見せられているの?w」
矢作「うっわ、かっこい!え?マジじゃんこれ!」
日村「えええええ!マジで!えー!」

みたいな。
自分がいま、矢作タンたちと一緒に「OLヤンキー選手権」を見せられてるという感覚でいくと、とっても楽しい映画なのです。

だってもー、広瀬アリスがかっこいいのなんのって。
マジで惚れる。

「ああ?お前らが呼ぶからルミネ行く前に寄ってやったんだよ」

OLさんだからね。そりゃルミネ行きますよ。
でもほら、ヤンキーだから。
しかも広瀬アリスめっちゃ強いから。もう惚れるほど強いから。
だから、これから楽しくルミネでお買い物♪と思ってるのに、街中で声かけられちゃうからさ。「ウチの、A子がぁ!◯◯商事の奴らにカラまれて エグッ、エグッ・・・蘭(広瀬アリス)頼むよ!あいつらとっちめてくれよ!」とか声かけられちゃうから。そりゃもういくしかない。いやOLなんだけども。でもいくしかない。蘭は強いから。カリスマだから。

もちろん広瀬アリスだけじゃなくて、他の女優さんたちもみんなかっこいい。もともと美しくてカワイイのに、かっこいい。カワかっこいい。

菜々緒なんか、コーンロウなんかしちゃって。

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この顔で食堂で蘭(広瀬アリス)と直子(永野芽郁)に話しかけたあと、なんて言ったと思う?

「邪魔して悪かったね」

いやあんたナニモンだよw
かっこよすぎんだろwww

ゴッドタンだったらぜったい

設楽「いんや、菜々緒ちゃんかっこいいねぇ」
日村「ねぇ・・・いやOLの話だよねこれ?」

とか言ってるじゃないですか。
でもね、かっこいいんだけど、OLさんだから。
ちゃんと仕事はします。
せっせと電話応対して、せっせとコピーとってっていう。
ちゃんと制服もあるようなので、ちょっと古い気質の大企業なのでしょうね。

川栄李奈演じる「佐竹紫織」なんか、キレると手が付けられない事から“狂犬“って言われてるのに、ゴミの分別はめちゃくちゃ気にするわけ。狂犬なのに。でもOLだからしょうがない。仕事はちゃんとしないと。ケンカばっかしてるんだけどw 

きわめつけは、この人たちですよ。

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いや、男だろw

一番左、FOOT×BRAINの勝村さんじゃねぇかよw
でも、この世界では疑いもなく女性なんですよ。女性っていうかOL。ね、おかしいじゃん。男だってばw 丸山智己さんとか、「早苗」じゃねーんだよ早苗じゃw

でも、これをね、ふつーに、バカリズムが書いた質の良いドラマだと思って見ちゃダメなんですよ。「どう考えても男にしか見えないのに、OLとして扱われてて一気にさめました」じゃないのですね。我々はいまゴッドタンですから。モニタリングしてるおれタンとあなたタンですから。

おれタン「いや、男じゃんw これ勝村さんでしょ?w」
あなたタン「女?オネエとかじゃなくて、もう完全に女ってことみたいよ?w」
友達タン「エンケンさんとか、どこに金かけてんだよww こんなことやらせんなよw」

みたいな、そんな感覚で観に行きましょう。
けっして真面目に、しっかり観に行っちゃダメですよ。
そもそもすんげーくっだらねぇもん見せられるんだから(笑)

でもね、"その割には"ドラマ部分もよくできてるし、何よりバトルシーンがめちゃくちゃかっこいいです。もうほんと、(おそらく本当は慣れてない)見目麗しい女優さんたち(と一部のオッサン達が)が、それはそれはドーン!バーン!激しいバトルアクションやってくれてます。広瀬アリスはとくにかっこいい。もうパンチのフォームから違う。あれはおそらくもともとヤンキーだっt・・・こら!そんなこといっちゃダメでしょ!

主要メンバーにはそれぞれ少なくとも1シーンはかっこええシーンが用意されていて、僕はなかでも紫織(川栄李奈)の駆け上がってぶっこんでいくシーンが一番好きです。ほんのちょっとの、ワンシーンなんだけどね。

このバトルシーンがあるから、映画館で観ることをオススメしたいのです。ただの「ゴッドタンになったつもりで観る映画」なだけなら、DVDでじゅうぶん。でも、あの迫力満点のバトルシーンがあってこそのこの映画なので。

だから、ぜひ。
いまほんの少しでも「おもしろそうかも?」って思ってくれた人は、映画館に行きましょう。あとでDVDでみたら絶対後悔するから。

ぜひぜひ!

あ、そうそう。
最後に。

小池栄子がもう、ほんと小池栄子で、小池栄子過ぎて最高です。

脱毛キャンセルして、戦いに参戦したらしいですよ(OLだからね)

※本文中の今作に関する画像は全て公式サイトから引用しました。
※「本編冒頭ノーカット8分動画」が公開されてますが、あなたがもう観に行くつもりなら、この動画は見ない方が良いと思います。

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この記事は、むめいWebディレクターが暇つぶしに観た映画について、忘れないように感想を残しておこう、どうせなら誰かに読まれるつもりで書いておくか、というものです。なので独断と偏見に満ちた、そんな駄文です。



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