もうひとつのラブストーリー(22)「偏頭痛」
「ちえ」とアパートで、まったりしている時に突然、目がチカチカしたと思ったら、激しい頭痛に襲われました。
それに吐き気も凄くて動くと吐きそうになります。
こんなに激しい頭痛は生まれて初めてでした。
後から偏頭痛と分かったのですが、この時は、ただの頭痛だと思っていました。
「「ちえ」頭が痛くなっちゃったから、少し横になっても良い?」
「うん、それは良いけど大丈夫?」
「う~ん、大丈夫じゃないかも···」
「痛みが、どんどん酷くなる···、気持ち悪い···」
「手を握っててくれる?」
「うん、私、薬買って来ようか?」
「うん、そうしてくれると助かる」
「ちえ」が薬局で薬を買って来てくれました。
「薬局でね、頭痛と吐き気に効く薬くださいって言ったらね、「まずは吐き気止め飲んで、それから頭痛薬飲んでください」だって」
「ありがとう、それじゃあ吐き気止めから飲むよ」
「う~ん、全然良くならん···、気持ち悪い···、頭痛い···、吐きそう」
「大丈夫?」
「今日は、遅くなっちゃったから、もう帰ったほうが良いよ」
「俺、送って行けないからタクシー呼ぶよ」
「でも···、「トクちゃん」一人にして帰れないよ~」
「俺は大丈夫だから、「ちえ」が買ってきてくれた薬が効いてくると思うからさ」
「でも、凄い苦しそうじゃん···」
「う~ん···」
「でも、帰らないとダメだって···」
「ダメ、私帰らない、「トクちゃん」が良くなるまで、ここにいるから」
「ゴメンな···、手を握ってても良い?」
「うん、私は、ずっとここにいるからね」
しかし、薬は一向に効きません···。
とうとう11時を過ぎてしまいました。
「「ちえ」やっぱり帰らないとダメだ。明日も仕事あるだろう」
「仕事なんて休んでも良いよ、有給いっぱい残ってるんだから」
「お母さんに遅くなるって電話するね」
なんだかんだで「ちえ」は12時過ぎまでアパートに居てくれました。
「「ちえ」さすがにこの時間じゃあ帰らないとダメだぞ」
「私帰らないから、お母さんに「トクちゃん」が調子悪くなっちゃったから泊まるって電話するよ」
「そんなことして大丈夫か?」
「大丈夫だよ、お母さんは「トクちゃん」と婚約してるって知ってるんだから」
「じゃあ電話だけしてみて。お母さんダメだって言ったら帰れよ」
「うん」
「やっぱりね、お母さんも泊まってってあげなさいって言ってた」
「だから、私、朝までここにいるから安心して、眠っちゃっても良いよ」
「ゴメンな、ホントにゴメンな」
そんなことを言っているうちに、いつの間にか眠ってしまいました。
ハッと目が覚めると午前4時でした。
頭痛と吐き気は、だいぶ良くなっていました。
「ちえ」が私の頭の上に手を置きながら、うつらうつらしていました。
「「ちえ」ありがとう。だいぶ楽になったよ、一緒に布団で寝よう」
「うん、「トクちゃん」良くなって良かった」
「私、仕事休むよ、どうせ有給いっぱい残ってるから」
「悪いなあ···。じゃあ俺も有給使って休むよ」
「職場に電話するから7時半頃まで寝ようか」
「うん」
生まれて初めての偏頭痛で、苦しかったのですが、これで「ちえ」との絆がいっそう深まった気がしました。
つづく
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