禁猟区

この森は禁猟区

ここで狩りをすれば

厳しく罰せられる

だが、どこの世界にも

法に従わない者は存在する

「シッ!見つけたぞ。今度は逃がすなよ」

冷酷そうな男が

その薄い唇を歪めた

男の近くに潜んでいた

二人の男が静かに頷く

ビュン

男の放った銃弾が

俺の右頬をかすめた

灼けるような熱さに弾かれ

俺は斜面を半ば転がるように

駆け下りる

「キロ、お前は右へ回れ!」

背中で男の叫び声が聞こえた

昔から

俺の悪い予感はよく当たる

俺は切り立った崖を見下ろし

呆然と立ち尽くす

だが、こんな事をしている暇はない

男たちが森を突っ切り

近づいてくる音が聞こえる

右へ下れば少しだけ開けた獣道

左手は鬱蒼と茂る木々が

行く手を遮っている

右へ!

いや、俺の本能がそれを拒んだ

男たちの気配が近づく

俺は意を決し虚空へと身を委ねた

どんな事になろうと

奴らに捕らえられる訳にはいかない

この星では

地球人の肉は高く売れる

俺は加速度を感じながら

遠い地球を想った

続く・・・かも

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