水精

水を切るあなたは

遠くで手を振る

私は岩に腰掛け

それを見ている

この日が来ることを

心の底では分かっていた

私の涙を魚たちが運んでゆく

お互いに同じ場所には生きられない

それが二人の運命

あなたの姿が水面から消えた

揺らめく水の中で

私はヒレを少しだけ動かした

それが私たち人魚の

さよならの挨拶

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