運命のボタン ある患者の独り言

私は病院のトイレで

用を足している

無論、大っきい方だ

心臓の病気で入院中の私は

こんど発作が起きたら危ないと言われている

そしてその発作が起こった

苦しい息の下

壁のボタンに手を伸ばす

壁には二つのボタン

ひとつはナースコール

これを押せば看護師さんが

すぐに駆けつけてくれる

もしかしたら命を永らえる事が出来るかも知れない

そしてもうひとつは流すのボタン

これを押さないと大変な事になる

どうやら両方のボタンを押すことは

今の私には出来そうもない

もしかしたらこれが人生最後の選択になるのか

私は意を決し運命のボタンを押した

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