もはや市松模様と言えば”あのアニメ”ではない! チェス盤こそが最新の話題作! Netflixオリジナルドラマ『クイーンズ・ギャンビット』レビュー

母親の交通事故により孤児になってしまった少女ベスは(ここにもちゃんと謎がある)、養護施設に引き取らる。そこで働く用務員が地下でプレイしているチェスに興味を持ち、駒の動きを勝手に覚えいつしか天才チェスプレイヤーになっていくというストーリー。もともとは、1983年に発売された小説が原作である


◆主人公のベスがとにかくかわいい!

アニャ・テイラー=ジョイが演じる主人公、エリザベス・ハーモン(通称、ベス)は、ぱっちりとした大きな目、細めのスタイルに綺麗な肌ととにかく透明感がある女の子。

キービジュアルからも感じられるとおり、ドラマでも数多ある盤面越しにじっと相手を見つめる姿は、「すべてを見透かされている」というような表情であり、視聴者の心も掴まされる。

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儚げさと冷徹さの表情も見せるベスだが、実は薬(抗不安剤)・酒・タバコに依存している、という「心の闇」の部分もしっかり描いているのもこのドラマの特徴の一つだ。

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◆1960年代のファッションもとにかくカワイイ!

ファッションに関して超絶疎くダサい自分でもこれだけはしっかりわかる。このドラマは、ファッションにめちゃくちゃこだわっている。

1960年代のアメリカの話なので、当然その時代のファッションなのだが、ベスの着こなしが様になっていることもあってか、とにかく着る服すべてがカワイイ。

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ツイッターや他媒体などで感想を読むにも、ファッションやインテリアがオシャレという感想も目立つ。時代考証もしっかりと行ってそうなので、当時の流行も参考にしつつ、モダンなアレンジを加えているはずだ。女性を中心に、ファッション観点からこのドラマを見てる人もたくさんいるはずだ。

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◆チェスのルールがわからなくても大丈夫!

駒の名前やルールはもちろんのこと、チェスの定石の名称を知っているほうが面白も倍増するのだろうけど(自分は、駒の動かし方しかしか知らず、"シシリアン"など初めて聞く用語もたくさんあった)、チェスが強い女の子という設定さえ知ってれば何も問題ない。

とは言いつつも、対局のシーンはしっかりと濃密に描かれているし、チェス好きが見ても納得の出来だと思う。演出やBGMも相まってしっかりと白熱した戦いであることがよくわかる。各種大会もそうだが、どちらかというと仲間内で対局した早指しのシーンがとくに迫力があった。

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また、最終回でソ連の最強チェスプレイヤーと対戦するのだが、「覚醒モード」とも言えるシーンがあった。なんとなく、この演出は日本のマンガ・アニメ的だな、と感じた。まぁ日本のマンガ・アニメが、ハリウッド映画にありがちだった演出を真似た可能性もあるけれども。


◆これぞ本当の意味の男女平等!

ここでは、最近何かと気にされているポリティカル・コレクトネスやフェミニズムに関してに論じたくないが、若い女性が威張っているおじさん・お兄さんたちをチェスで屈服していく過程は爽快でもある。

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しかし、その男性が敗北を受け入れる姿を全く嫌味なく描いている演出も見事。チェスは紳士の嗜みなのか、男性がリザイン(投了)したときは、しっかり敗北を認めてベスに握手を求める。そして、ベスも見下した感じを出してないのが、本当に好感が高い。負けた男性達はベスにアドバイスしていくし、これが本当の男女平等・対等ではないか、というように思える。

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これは個人的な推測でしかなく、実際には描かれてないけれども、裏設定として、1960年代という冷戦の最中なので、アメリカ国内での男女の能力差がどうのこうのよりも、対ソ連という気持ちのほうが強くて、ベスに協力したのかもしれない。


◆とにかく1週間のうち7時間だけくれ!

面白くて有名な海外ドラマは、だいたい1シリーズが長く、しかも複数のシーズンがある。1シリーズ約20話×5シーズンなんてもはや辟易とするレベルだが(面白いドラマはずっと面白いけれども)、このドラマは現在、1シーズン7話だけで完結している。

ということは、視聴時間は約7時間だ(1話につき1時間前後)。たとえば休日の午前10時に見始めて、途中に食事・休憩を入れても19時くらいには見終えているはずだ。

週末一気視聴ということで土日で3~4話にわけて見ても良いし、毎日1話ずつ見れば1週間で終わる。しかも、後味も良く、ちゃんと綺麗なエンディングを迎えている。

つまり、「今から見ても余裕で間に合う」のだ。2020年大ヒットしているあの某アニメも約30分×26話であり、今から見るというのもな…と話題に乗り遅れても(ちなみに自分は見てない)、10月に配信されたばかりのこのドラマなら、もはや流行の最先端を追っていると言っても過言ではない。

これからの年末年始休みに予定がない人も、1日で見られるので(いっそ12月のどこか土日でもいいぞ)、Netflixに契約したら真っ先に見てほしいドラマである。


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