【邦画】「ツィゴイネルワイゼン」

鈴木清順監督の、1980年の作品「ツィゴイネルワイゼン」。

前衛というのとは違う、なんとも奇怪な映画だ。と思ったら、やっぱり日本アート・シアター・ギルド(ATG)公開だった。

単純に難解(アヴァンギャルド)というよりも、鈴木監督の意図することを認識することがちっと難しいと思うが、何故か興味を惹かれてしまう、小劇場での小劇団の演劇を見てるような映画である。

そうそう、寺山修司の作品みたいだ。2時間半超えと長くはある。原作は内田百閒なのか。

旅をして彷徨う男とその友達の学校の教授が、ある芸者と出会う。
彷徨う男は、名家の娘と結婚するが、彼女は芸者と瓜二つ。
そのうち男と名家の娘の間に女の子が産まれるが、娘は悪性のスペイン風邪に倒れて死ぬ。
女の子の乳母となったのが芸者で、今度は男が旅先で麻酔薬を大量使用して死ぬ…。

基本、ヘンチクリンな男女4人の、ヴァイオリン曲「ツィゴイネルワイゼン」のレコードを取り巻く、幻想と怪奇と狂気とエロスの夢模様といった感じだ。

脇役で盲目(奇形)の旅芸人3人が登場したり、まさに寺山修司の世界と一緒だなぁ。

女の子が死んだ男の霊と会話し、「生きている者は本当は死んでいて、死んでいる者が生きているのだ」なんて、夢と現実、現生と死後の世界を対比させて、人間の世界のあやふやさ、不確かな様を表しているようだ。

ムシャムシャクチャクチャと音を出して食べるシーンもいっぱいあるから、コレはエロスを表しているのだろう。

まあ、確かに難しいかもしれないが、なぜか目が離せなくなるのは、鈴木監督の力量だろうか。

流浪の男を演じたのは原田芳雄で、ヒッピーのようなワイルドなスタイルがピッタリ。学校の教授が映画監督の藤田敏八で、流れに逆らうことができなくなる真面目な理論派といった役が身についてると思う。

アナーキーで訳がわからなくても面白かった。アートなど高尚なものではなく、もっと庶民目線のヘンテコな映画だね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。