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【読書感想文】ル・シュクレクールのパン

この本は一気読みでした。

そう「読み」なんですよね 。

パンの作り方を解説した本、いわゆるレシピ、ではなく読み物としての本。

もちろんレシピもあるし作り方もかなり詳しく書いてあるけど、すぐに想像がつくのは同じようには作れないんじゃないかってこと。

それは読み物として導入部分にある著者岩永さんのエッセイを読んでしまっているからなんです。

裏表紙の帯に「「パンの作り方」だけでなく、「パンを作る人を作る」本になれたらと願ってます。」
とあります、ぼくの感想として付け加えるなら「これから」のひと、これから何かに挑戦しようというひとは一読の価値ありです。

エッセイ部分の読み応えは抜群で、共感も発見もある同業者としての感想もありますが、その間にあるちょっとしたエピソード、個人的にはMr.Childrenのくだりとか好きでちょこちょこニヤッとさせてくれます。

レシピ部分もぼくが顔見知りだからという理由だけじゃなく、岩永さんと話をしているような、横で教えてもらっているような、読んでいてそんな錯覚にはまってしまう本でした。

柴田書店という料理や飲食業界を専門に扱う、どちらかというとおかたいイメージの出版社さんからこういうスタイルの本が出たことも、同社の専門料理の愛読者としては書いておきたい事実です。

ぼくがル・シュクレクールを知ったのはパン好きのお客さんに「市内からはちょっと遠いけど、ハヤマさんの好きそうなフランスっぽいパン屋があるよ」と教えてもらってでした、気になったぼくはネットでこの店のホームページでもある、というか僕的には岩永さんのブログ「なないろめがね」にたどり着きます。

このブログが強烈に面白く、更新されるのを毎回楽しみにしていたぼくは、勝手にご本人と会った気になり、結局足を運んだのはパティスリーも出来た大分あとになってしまったけれど、そのブログのあの時この時の感情や状態がこの本には登場していて、なんだかなないろめがねの解説書といった印象ももってしまいますので、この本とブログはセットで読むのがぼくのおすすめです。

もうひとつ、巻末の「別冊」も必読。

ぼくが参加させてもらってるマーケットのことも紹介されていますし、スタッフ横田くんの独特の言い回しがニヤニヤさせてくれる、お店や活動の紹介が読んでいて楽しい。

そしてさらに巻末には「深夜のブーランジュリ」という比喩が多めの特徴のある小説?が掲載されているけど、これは「対面販売サービスにおける大切なこと」を表現している。

横田くん本人からそう聞いて読み直すと、その彼が書く多めの例えの中や主人公の行動や発言に大切なヒントが散りばめられていて、意識して読むと「そうそうそれだよな」とたしかに納得するもので、それは最後に適切な言葉で締めくくられています、それはご自身で確認を。

この本はパンの本ですが、それをめぐる人の本でもありレシピを確認すると同時に是非「読書」するのがおすすめです、ぼくは手元に届いてからもう何回も読みましたからね。

ちなみにレシピを参考にしてパンにもチャレンジしてみたのですが、ぼくのオーブンとウデでは思ったように仕上がらず。。。でもそこからヒントを得て自分なりのパンを焼けるようになりました。

文字のレシピを自分のやり方に落とし込む方法が身につくと、また料理本の見方も変わってきます。

そしてこの本には【「ル・シュクレクールのパン」ペルデュ】という別冊小冊子が存在します。

確か現地店舗でしか手に入らなかったと思いますが、本編に入り切らなかった部分がまとめてあり、「人について」「パン作りの3要素」「編集後記」という章があります。

スピンオフというより本質なんじゃないかっていう内容なので、これがなぜ別冊なんだっていうね。

手に入れば是非。

(ブログ「ハヤマノート」からのリライトです。)

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