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ダイバーシティとは自分のことだった

「ダイバーシティ(多様性)の推進」、「誰もが個性を発揮してイキイキと活躍できる社会」。日々の生活の中でこのような言葉を目にする機会が増えました。VUCA*と言われる時代、より一層多様性の重要性が高まることは感覚的には分かるという人は多いのではないでしょうか。

*VUCA:Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、 Complexity(複雑性)、 Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の略語

でも、それを実現するために何をしたらよいのか。明確に答えを持って行動していると言える人はあまり多くないように思います。「で、どうするの?」とか「ダイバーシティ、やってください。反対しません」そんな声もあるかもしれません。

2020東京オリンピック・パラリンピックでは、ビジョンの一つとして「多様性と調和」が掲げられました。そこに込められた意味は次のように表現されていました。「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩」

とても美しい言葉です。でもそれゆえに、理想の姿として「気持ちよく」語られるだけで留まってしまったように思います。

その言葉を現実のものにしていくには何をしたらよいのか。今日、明日の行動をどう変えたらよいのか・・・。こうした問いに一人ひとりが答えを持てるようになるには、少しマインドセットを変えてみることが必要なのかもしれません。

私自身、最近まで「誰もが個性を発揮できる社会づくり」とは「自分ではない誰かマイノリティと言われる方々を支援すること」。そんな風にとらえていたように思います。でも「個性」とは何か特定の属性のことではありません。人の内面や外面、つまり価値観や性格、国籍や言語、性、年齢、障がい、健康など一人ひとりのあらゆる違いのこと。そう考えると、個性とは「私自身のこと」でもあります。

振り返ってみると、自分には苦手なことだらけです。人と話すこと、交渉すること、様々な意見がある中で一つの判断を行うこと、人に依頼すること・・・。今まで長い間、苦手なことは克服することに時間を費やしてきたように思います。でもそうした時間は人をとても疲れさせる。ネガティブ思考に陥っていきます。

一方で私には得意なこと、もしくは比較的好きなこともあります。人の話を聞くこと、複雑な状況を簡潔にまとめてみること、文章で表現すること・・・

多様性推進といったテーマの仕事に関わる中で考えるようになったのは、得意なことや好きなことに時間を費やし、苦手なことはオープンにして助けを求めるほうが、結果として社会や組織に貢献できそうだということです。

誰にでも得意なことと苦手なことがあります。

自分は社会(大きくとらえなくても、それは家族や職場、地域のコミュニティなどでいいと思います)をどんな風にしたいかを考える。それをシェアして一緒に動いてくれそうな人を見つける。そうして集まったメンバーの得意なことや好きなことを活かし、苦手なことはフォローしあう。多様な人の凸凹がうまくかみ合わせることで社会をよりよく変えていけるように思うのです。

ダイバーシティとは自分のことである。

そんなマインドセットをもてると明日やることが少し見えてきませんか?


夕焼けの色も多様。活かしあってより一層美しくなる

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