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企業の人事部門でコミュニケ―ション推進を担当しているアラフィフの男性です。趣味は登山、ランニング、バードウォッチング。美しい景色を見ることが好きです。趣味や仕事を通じて感じたことを気の向くままに書き綴ります。

マガジン

  • ドキュメンタリー

    経験したことや、身の回りで起こったことを様々な視点でリアルに書きつづる記事です。

  • レポート

    あるテーマについて自身の経験や読書などで得た知見をもとに考えたことをまとめた記事です。

最近の記事

50代ランナーの伸びしろ

「あと2km」の標識が見えた。沿道の声援が大きくなる。もう手を振る力は残っておらず、前を向いたまま口角を広げて笑顔をつくった。 ほんの少し前までは早く終わりたいと思っていた。右足の腿裏の筋肉は今にもピキピキと痙攣を始めそうだ。 でも声援は気持ちを高ぶらせてくれる。ゴールは近い。万一足がつっても何とか足を動かせるはずだ。ラストスパートに向けて再び身体を前に傾けた。 ネガティブスプリット 2024年3月10日。びわ湖マラソンには6,600人を越えるランナーが参加している。

    • 自分の軸を外さない 〜ランニングとキャリアの共通点〜

      いつもの河川敷を走り始めて90分。ようやく20km地点まできた。今のところ4分40秒/kmのペースを維持している。目標のレースペースだ。 今回の30km走で少し余裕を持って走り終えることができたら、フルマラソンでもこのペースでゴールできるだろう。でも、先ほど中間地点で折り返して感じたのは強い向かい風だ。その時初めて、往路は追い風に背中を押してもらっていたことに気づいた。後半のことを考えて、もう少しペースを上げておけばよかったと反省しながら、人生にはよくそんなことがあるなと思

      • 海を渡る小さな身体に

        ナンキンハゼの白い実がなる枝に小鳥が止まった。11月の中旬、夕暮れ時の柔らかい陽射しを浴びてその小さな身体は淡い金色に染まっている。「ヒッ、ヒッ、ヒッ」と高い声で鳴いてしっぽを上げた。 一瞬、カメラ越しに私と目が合った気がする。小鳥はちょいと首をかしげた。その仕草が数年前に亡くなったセキセイインコに似ていてどきっとする。懐かしさを覚えながら何度もシャッターを切った。 冬鳥 冬、大阪府内を京都方面から大阪湾に流れ出る淀川の河川敷には、さまざまな野鳥が集まる。 ナンキンハ

        • 笑顔のチカラで走る

          頭上で大きな声が聞こえた。私の名前が呼ばれている。 「〇〇さん、頑張ってー!」 見上げると歩道橋の上から、赤いマリオの帽子を被った人が私に大きく手を振っている。私は右手を挙げた。 スタートして1時間半。18km地点のJR舞子駅を過ぎたあたり。歩道橋の下を一瞬で走り抜けた。声を掛けてくれた人の視線を背中に感じながら、自分はきちんと笑顔を返せただろうかと気になった。 神戸マラソン 2万人が参加する神戸マラソン。三ノ宮の神戸市役所をスタートして一路西へ進む。須磨海岸を左手

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          未来の稜線

          振り返ると、歩いてきた山々が広がっている。 足元の赤い屋根の白馬山荘から、ところどころに雪渓が残る緑の稜線に沿って白い道が延び、山と山をつないでいる。手前は昨日歩いた杓子岳と鑓ヶ岳。その次にあるはずの唐松岳は隠れて見えなくなってしまった。 ここは北アルプスの白馬岳。標高2,932mの山頂だ。奥には猫耳の形をした鹿島槍ヶ岳の双耳峰。さらに遠くには北アルプスの盟主、槍ヶ岳から穂高連峰。左に目を移すと雲に浮かんでいるような南アルプスの間ノ岳、北岳、甲斐駒ヶ岳。そして、右手に目を

          未来の稜線

          ダイバーシティとは自分のことだった

          「ダイバーシティ(多様性)の推進」、「誰もが個性を発揮してイキイキと活躍できる社会」。日々の生活の中でこのような言葉を目にする機会が増えました。VUCA*と言われる時代、より一層多様性の重要性が高まることは感覚的には分かるという人は多いのではないでしょうか。 でも、それを実現するために何をしたらよいのか。明確に答えを持って行動していると言える人はあまり多くないように思います。「で、どうするの?」とか「ダイバーシティ、やってください。反対しません」そんな声もあるかもしれません

          ダイバーシティとは自分のことだった

          雪の稜線で人生を眺める

          雪山を歩くとその雄大な景色に圧倒される。 紺碧の空を背に、白い稜線が太陽の光を浴びて輝く。稜線は目指す場所に向かってうねうねと続いている。一歩づつ進むうちに自分は風景の一部になる。 人生というものを少し遠くから眺めることができたら、こんな感じなのかもしれない。 夜明け前 6:00。12本爪のアイゼン、ピッケル、ヘルメットなど、身につけた装備を確かめてテントを出た。今日の日の出時刻は6:57。ここは樹林帯なので周囲はまだまだ暗い。見上げると満点の星空が広がっている。

          雪の稜線で人生を眺める

          走ることは旅に似ている

          明日はどんな旅になるだろう。 不意にそんな言葉が頭に浮かんだのは昨夜のこと。何かわくわくするような気持ち。 フルマラソンの前夜にそんな気分になるのは初めてだ。いつもなら複数の不安が心の隙間に入り込んで、そわそわして落ち着かなくなる。 でも昨日は違った。 右足のかかとの痛みはランニングフォームの改善で気にならなくなった。(関連記事:走りながら、ととのえる|tomo|note) 左ひざの内側の痛みはハムストリングス(ふとももの裏の筋肉)の張りが原因と分かり、マッサージで

          走ることは旅に似ている

          理想のチームになるために ~アンコンシャス・バイアスの視点から

          一緒に仕事をする人とのコミュニケーションをもっと円滑にして、よりよいチームをつくりたい。自分の組織をもっと理想的なチームにしたい。 企業や団体などの組織で働いていると、そんな思いを持つことはありませんか? 理想のチームといっても色々な定義がありそうですが、私はこのように考えています。 目的とゴールを共有しているリーダーとメンバーが、多様な意見を集めてよりよい意思決定を行い、トライ&エラーを通じて学んでいくチーム チームとは単なる集団とは異なり、組織として存在する目的と

          理想のチームになるために ~アンコンシャス・バイアスの視点から

          走りながら、ととのえる

          「走りながら、治していきましょう」 毎日のランニングの影響で右足のかかとの痛みがひどくなり、整骨院に行った時の先生の言葉です。 それから一ヶ月が過ぎた今、これはなかなか奥の深い言葉だと感じています。 痛い時は休む? ランナーにとって故障はつきもの。走ることを趣味にしていると、かかと、膝、腰などいつもどこかに痛みやその予兆を抱えているものです。 そんな時に一般的に推奨される対処法があります。 「休む」ことです。酷使して負荷がかかり過ぎた身体をまずは休めること。痛みを

          走りながら、ととのえる

          思い込みに気づくと社会はよくなる

          相手のふとした言葉で自分の思い込みに気づくことがあります。 「年寄り扱いしないで」 夏の日の母の一言も、そんな気づきを与えてくれました。 コロナ禍 2年前、新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言が発出され、それを機に多くの人の日常生活は一変しました。人とリアルに会うことはリスクとなり距離を求められます。オンラインでのコミュニケーションツールが苦手な人ほど孤独や先行きの不安をより強く感じたのではないでしょうか。 母の年齢は70代。同じ年頃の父と暮らしています。少し前ま

          思い込みに気づくと社会はよくなる

          人生の交差点 涸沢カール

          山小屋の売店で缶ビールを買ってテラスのテーブルについた。タブを開けると心地よい音が鳴った。炭酸の刺激が喉を通り過ぎる。私は大きく息を吐いた。 山を見つめる人 5月の涸沢。雲一つない青空と、真っ白な雪面。サングラスなしでは目も開けていられないまぶしさだ。 見上げると、登ってきたばかりの山が見える。疲労と高揚感が身体に残っている。今日のうちにテントを片付けて上高地まで下山し帰路につく予定だったが、その体力は残っていない。もう一泊することに決めた。 ふと隣の男性が気になった

          人生の交差点 涸沢カール

          あいつは37km地点にやってきた

          あいつはいつも突然やってくる。 足の筋力と思考能力をおとろえさせ、走る意欲をまる切りそいでしまうやつ。 今回は来ないのではないか。ちらりとそんな期待がよぎったのは30km地点。そこまで順調だったからだ。 「甘かった」と気づいたのは 37km地点だ。 スタート 3月27日(日)。快晴。予報では最高気温は 20℃を上回るらしい。風は少し強めで 4m/秒くらいだが間もなく落ち着くはず。今日のポイントは暑さへの対処だろう。この冬は寒かったので身体はまだ 20℃の気温に慣れてい

          あいつは37km地点にやってきた

          虹の橋からの手紙

          僕の名前はぴぴ。 生まれたのは今から5年前。ペットショップの小さな鳥かごで同じセキセイインコの友達と一緒にいたのを覚えています。僕より少し遅く生まれた子が泣いてばかりいたので、身体を寄せて温めてあげたりしていました。鳥かごはヒーターがついていて暖かいのですが、生まれたばかりの子は「人肌」があるととても気持ちが落ち着くのです。 その頃、毎日のように鳥かごをのぞきに来る女の子と男の子がいました。僕と目が合うと嬉しそうに笑ってくれました。4月になって僕はその子たちの家族になりまし

          虹の橋からの手紙

          山に登ることは意思決定の積み重ねだ

          独りで雪山に登るという行為は判断の連続だ。 自然条件、装備、自分の力量と意欲を客観的に眺めてみて、進むのか、引き返すのか、右か左か。次の一歩の意思決定を積み重ねていく。 山に登る目的は人それぞれだと思うけれど、自分にとっては「達成感を得る」ことだと思っている。目標は「無事に還ってくること」。達成感は大きい方がよいが、自分の身の丈を越えてリスクテイクすると還ってくることが難しくなる。だから意思決定が必要だ。 昨夜20:00 就寝したのは18:00だったが、わずか2時間で目

          山に登ることは意思決定の積み重ねだ