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文脈で分かって、理解した気になる〜WAISで人生の答え合わせ②

先日受けたWAIS-Ⅲの結果を受けての、人生を振り返るシリーズ。
2回目は「言語理解」が一番低く、「言葉の意味より文脈で解釈する」という特性に関わるエピソード。


「言語理解」の数値が低いというのはつまり、インプットもアウトプットも内面の考えでさえ、言葉を使うのが苦手ということだ。だが今まで人との言葉のやり取りで意味がわからなかったとか、意図を読み取れなかったとか、そういうことは一切なく、むしろ大抵のことは、いち早く理解していた側だった。一度説明されれば分かるし、覚えることもできた。だがそれは知覚統合のスキルで補っていただけで、そういった周辺情報がない中では、私の世界はぼんやりしていたのだろう、と振り返って思う。

「文脈で解釈する」という言葉を聞いて、まず思い出したのは国語や英語のテストだった。進学校に通っていた私だが、とにかく勉強をせず、授業も聞いていなかったので落ちこぼれまくっていた。暗記が苦手で、社会もだめ、積み重ねがないので数学や理科、英語もだめ、唯一点数が取れるのは国語だけだった。
得意な国語でさえ、古典の文法が分かっている、言葉の意味を覚えているというよりは、話の流れで理解して解いていた。英語も同じ解き方で、他の教科よりはまだマシだったと思うが、雰囲気で理解していた。なので、テストで意外にいい点数が取れても、「理解している」というのとは少しズレていた。応用のきく知識を積み重ねているというよりは、その場凌ぎを繰り返していた状態だった。
唯一得意だったのは、「要約」だ。これに関しては細かい言葉の意味より、全体の意図が重視される。私のスキルが最大限発揮されるところだった。

もう一つ思い出したのは、留学中のコミュニケーション。私は単語を覚えるのが苦手で、うまく話せない割には、相手の言っていることが理解できていたと思う。それはきっと、言葉の中から知っている単語を抜き取って繋ぎ合わせ、表情やジェスチャーから読み取って、大まかなことを理解していたからだろう。(あくまでレベルの低い範囲内で)
その上で単語を覚えればよかったのだろうが、どうも苦手だった。高校まで英語だったのに、大学での留学はフランスだったので、言語の違いが原因・・・特に、少し似ているところがあるのに違うっていうのは苦労するよね〜と言い訳していたが、単純に言語理解の能力が低かっただけ。切ない戦いだったのだ。

調べたところによると、「言語理解」を含む言語性IQは、「知覚統合」などの動作性IQに比べて後天的に伸ばすことができるものなのだそうだ。
私の生育歴に照らし合わせると、言語性IQが伸びやすい環境だったと思う。両親ともに高学歴、母と兄は言語性IQが間違いなく高く(予想だけど)、家には様々な本があり、子どもの頃から難しい言葉、高尚な話題に囲まれて生きてきた。
その中での今回の結果が「平均〜平均の上」。伸ばしてこの程度・・・。生まれ持った能力としては相当低いのでは?と思ってしまう。

最後に、今回医者から言われて気づいたこと。私は人の話を聞きながらよくメモを取る。最近は落ち着いてきたものの、昔はメモ魔だった。医者からは「でも、聞いただけでも理解できるし覚えているでしょう?」と言われた。「はい覚えてます」。「でも、大筋だったり要約はわかるんですけど、誰かに話そうと思ったときに、再現できないんです。だから、その言葉通りにメモしています」。そう、ここでも誰かに報告するために言語化していたのだった。私自身のためには、きっと言語はそこまで必要じゃない。でも、人に話す、正確に理解するために、言葉にしないといけないと思い込んでいる。

医者からは、「メモするにしても単語でいい」とアドバイスをもらった。たくさん書いてても、なんのことだっけ?と思い出せないのでは?とも。実はそんなことはない。私は高校の反省を生かし、大学では授業をめちゃくちゃ頑張って聞いた。(普通逆だろって感じだが、興味があったことだから楽しかった)
試験の前には、私のノートは役に立った。先生の発言も細かくメモしてあるし、その際にどのような流れで授業が行われ、どういう文脈で先生が発言したかまで、細かく覚えていたのだ。友達に「これってどういうこと?」と聞かれれば、「先生はこのとき〇〇と言っていたよ」と再現できた。
こういった体験から、メモさえしていれば、状況は再現できる、と思うようになった。仕事でも活きるし、すごいスキルだ。でもとても疲れる。かなり集中力を必要とする。

検査をして自分を知ったからには、自分が楽になれるような対応をしていきたい。細かいメモや過度の集中は、「そこまでして再現する必要があるのか?もっとざっくり捉えていても自分のためなら問題はないのではないか?」というツッコミで少しほぐれた。耳からの情報だけで大まか理解できて実行もできるのだから、少し緊張を緩めよう。そんなに頑張らなくても、すでに結構できてるはずだ。

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