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一人でいたくない夜を受けとめることと、僕らの「好き」がお金に負けないようにすることについて

想いの強さと成果は比例しない。この世界でそれは当たり前らしい。

今日だけの特別な何か、あるいはイベント。「この日のために」を込めて人は何かをつくるのに、届かなくて、叶わない。

想いはよく、非対称だって思う。片想い。

この日のためにつくったものが、人の手に渡らず、閉店した夜に一人、自分で処分する。

折れそうな自分を奮い立たせて臨む一回で、ふとした出来事に打ちのめされて、あなたに伝えたいと用意した言葉をしまいこむ。

それが、世界にありふれている。この人は、きっと今、想いをのみ込んだんだろうなあって思うと泣けてくる。

そんな、一人でいたくない夜がきっと誰にもあるから、僕はいつか夜カフェをつくろう。

夜だけ開いているお店。5席くらいしかない、小さなお店。僕がよくするように、スケッチブックに気持ちを吐き出すとすっきりするから、置いておく。ずっとペンを動かす人、ぽつぽつ書く人、静かなジャズを聞きながら窓越しにただ外を見る人、いるんだろうな。

一人でいたくない夜、僕はそんな場所にいたいから、僕がつくるのもきっと、そんな場所。

あなたに起きたその出来事は、世間的にありふれているとしても、あなたはちゃんと感じていいんだって思う。ありふれているは、軽いってことじゃないから。

「三年間がんばってきたんです」なら、三年間はただの三文字でも一瞬でもない。揺れた気持ち、諦めそうになったこと、自分を奮い起たせたこと、そんな分厚さでできているってこと。

疲れて帰ってきた夜に、「おかえり」って、「がんばったよね」って言ってほしい。それで、なんとか生きていけるって気持ちになれるから。

今日、あなたは一人でいたくないかもしれない。僕の勘違いならそれでいい。その人が本当は辛くないならその方がいい。もし僕の見方があっているなら、今日はいっしょにいるよって思っている。

だって「この人を、今このまま一人にしたくない」って思うんですもん。僕はそう感じてしまうから、この僕のまま行くしかないんです。感情こそが運命ですから。


一人でいたくない夜を受けとめる、言い方を変えると、僕らの「好き」がお金に負けないようにするということ。

収支がマイナスだから、人が集まらないから。そんな数字で僕らの好きは潰れてしまう。確かに伴わないと続けていけないけど、それだから順位が変わってしまう。

収支がマイナス「だからダメ」、人が集まらない「だから止めよう」の、「」はお金が発生させる。収支がマイナス「でもいいよね」、人が集まらない「だからこそ楽しいよね」の道だってあるはずなのに。

僕らの好きを守るには、小さく無理のない範囲を守ること。小さく無理のない範囲であれば、僕らの好きがお金に負けずにやっていける。僕は今、そう思っている。
(人を雇わない立場だから言えることで、売上を出す経営をされている方が雇ってくれるから僕は生きているのだけれど)

基準の設定がきっとカギだ。大金を稼ごう、大きくしよう、あれもこれもとなると拡大の方向で、そのためにはお金というトランポリンに乗ってジャンプする必要がある。いいものをつくっても「収支がマイナスだからダメだ」、「原価が回収できないからダメだ」、「人が集まらないからダメだ」って、好き・いいと別の基準に潰されてしまう。

好きなものをつくれたか、いいものができたか、いい自分であれたか。基準は一番大切なそれだけでいたい。だからお金はかけない。利益が出なくていい形。シンプルにミニマルに。

収支はプラマイゼロなら続けていけるってこと。続けていけるならお金以外の何かはたまっているってこと。無理ないってことは自然ってこと。自然なら続けていけるってこと。

そんな状況を、自分につくろう。


一人でいたくない夜を受けとめる僕の夜カフェを、お金に負けないでやっていく。僕の中に今あるイメージは

・自宅の一階をカフェとして使う。だから売上がゼロでも大丈夫。
・家あまりの時代になっていくので古民家とかを借金せず買い取る。テーブルも椅子もキッチン周りも、借金せずに整える。その範囲にする。
・メニューは「自家製ハーブティーとゆったり自分に還れる時間」一種類。価格は1000円、ただそれだけ。
・庭に畑があって、ハーブと野菜を育てている。
・20時~23時の営業で、開くのは火水金など週3日。
・誰もお客さんがいないなら自分が使う。自分のための場所で、まず自分が使いたい場所。お客さんが来なくてもOK、来ればラッキーくらいの感じ。
・僕は他に仕事をしていて、生活費はそこで十分得られている。夜カフェの売上はゼロでも大丈夫。
・席数は5席くらいで、窓に面したカウンター状。街の灯りが静かに見えて、きっと雨によく映える。お互いの顔がちょうど見えないくらいの、ちょっと斜めにした配置。
・2席は予約可能。売上が無くても大丈夫だから、お店が回転しなくてもいい=同じお客さんが3時間ずっといてもいい。
・透明なティーポットでハーブティーを出す。色の変化を楽しんだり、コップに注ぐコポコポの音で癒されたり。ポラロイドカメラや砂時計も似合うだろうな。ティーポットは7個あれば十分。
・吉祥寺ヒトクサのように、その人に合う花をそっと添えて出すのも楽しそうだ。
・住宅地の中だから、きっと駅から少し離れている。訪れる人はわざわざ足を運ぶのだろう。歩くその時間が、僕の思い描く空間とその人のチャンネルを合わせてくれるのだろう。
・照明は落として、BGMは静かなピアノジャズ。心の時間がゆっくり流れる場所。僕らの心の、本来のスピード。
・スケッチブックがあって、気持ちを吐き出すのに使える。自分宛に書けるメッセージカードも置いてある。
・あの人がつくるお菓子だけ、販売しよう。時々ハーブティーには季節の果物を入れてみる。僕の好きなあのカフェみたいに、くるみを置くのもいいかもしれない。
・スマホより本が似合う場所、パソコンよりノートが似合う場所、速いよりゆったりな場所、大きな声より落ち着いた声、車通りに面していないから聞こえるのはBGMか周りの家の微かな生活音、温かい薄明るさ、切り替えるより味わう、ボーっとするようで言葉をさがすような、あわただしく過ごした自分を本来のはやさで再生しなおすような。自然とそうしてしまう場所。
・(追記)育てるのは月桃がいい。葉をちぎった瞬間ふわと鼻に届く、あの甘い香りがとても好き。「爽やかな愛」という花言葉も。カフェの名前も「月桃」にしよう。僕は金木犀も好きだから金木犀ジャムと混ぜてもよさそう。
・(追記)本を置くなら画集や詩集。思考よりも余韻をくれるもの。その場に留まらせてくれる雰囲気をもった空間にする。
・(追記)まず小さなお茶をお出ししたい。たとえば自宅に帰ってきた時、すぐご飯にするのでなくお茶の時間があると落ち着ける。「着地」ができる。僕の夜カフェも同じ。着地ができるためのお茶。ハーブ水を2~3種類用意して「今日の自分に合うフレーバー」を選んでもらうのも良いな。

これが今の僕なりの、小さく無理のない範囲。


一人でいたくない夜は、あなたが込めた想いの証だから、哀しいで終わらせたくないのです。

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