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#エッセイ
Words of Innocence and of Experience 11
もっとも聖遺物の現世利益として期待されていたのは、病気や怪我からの治癒だけではない。聖遺物は、邪なものを寄せ付けないお守りのような効果も持つと考えられ、共同体の安全を保証するものとみなされたり、戦争や旅行に携行された。また教会の柱頭や壁面に聖遺物が仕込まれることもしばしばあり、鐘に鋳込まれることも珍しくはなかった。領土や支配権をめぐる争いに聖遺物を奉じた行列が行われ、己の権利を示威するのに役立て
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世界の大部分の宗教は、行列のようなものであり、ひとりの人間が導いて、多数の者がそれに従う。半神の足跡に従って人間が続き、真理と啓示を探し求める。キリスト教とは、優しいナザレ人に従って、カルバリの丘の曲がりくねった道を登っていく。仏教徒は、偉大な解放者に従って、荒野を放浪する。回教徒は、砂漠を横切って巡礼の旅をし、メッカにある黒い幕屋を目指す。真理が先頭に立ち、無知がそのあとに従う。霊が道を照らし
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これが読者がなしうる最悪のことだが、作品中のある人物と一体になったような気持ちになること。このような低い想像力は、私が読者に使ってもらいたくないものである。
ナボコフ『ナボコフの文学講義』
『考える読書 第63回青少年読書感想文全国コンクール入賞作品集』を熟読したので、読書感想文の書きかたのパターンは分かった。まず、簡単に(簡単でなくてもいい)あらすじを書く。次に、発見を書く。主人公に共感しつ
Words of Innocence and of Experience 8
「難破して、自分の身が怒濤に巻き込まれ、海岸にたたきつけられ、必死にしがみついた所は、燈台の窓縁。やれ、嬉しや、と助けを求めて叫ぼうとして、窓の内を見ると、今しも燈台守の夫婦とその幼い女児とが、つつましくも仕合せな夕食の最中だったのですね。ああ、いけない、と男は一瞬戸惑った。遠慮しちゃったのですね。たちまち、どぶんと大波が押し寄せ、その内気な遭難者のからだを一呑みにして、沖遠く拉し去った、とまあ、
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素晴らしい探偵小説が書きたい。
ピカピカ光る太陽の下を傲華な流線スターがスウーと横切る。その中に色眼鏡をかけて済まし返っているスゴイような丸髷美人の横顔が、ハッキリと網膜に焼付いたまま遠ざかる。アトからガソリンの臭いと、たまらない屍臭とがゴッチャになってムウとするほど鼻を撲つ。
……ハテナ……今のは、お化粧をした死骸じゃなかったか知らん……。
と思うトタンに胸がドキンドキンとする。背中一面
Words of Innocence and of Experience 6
ゲシュタルト崩壊(ゲシュタルトほうかい、独: Gestaltzerfall)とは、知覚における現象のひとつ。 全体性を持ったまとまりのある構造(Gestalt, 形態)から全体性が失われてしまい、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象をいう。幾何学図形、文字、顔など、視覚的なものがよく知られているが、聴覚や皮膚感覚、味覚、嗅覚においても生じうる。
一九四七年、C・ファウス
Words of Innocence and of Experience 5
大正五年八月廿五日朝 一の宮町海岸一宮館にて
文ちゃん。
僕は、まだこの海岸で、本を読んだり原稿を書いたりして 暮らしてゐます。何時頃 うちへかへるか それはまだ はっきりわかりません。が、うちへ帰ってからは 文ちゃんに かう云う手紙を書く機会がなくなると思ひますから 奮発して 一つ長いのを書きます ひるまは 仕事をしたり泳いだりしてゐるので、忘れてゐますが 夕方や夜は 東京がこひしくなります
Words of Innocence and of Experience 4
はいって見るともう芝居は始まって居た。看板通りの異国情調に富んだ舞台面で、出て来る人物も、皆西洋人臭いふん装をしていた。僕は思った、「これは素敵だ、流石にRはいいものを見せて呉れた」とね。なぜといって、それは当時の僕達の趣味にピッタリ当てはまる様な代物なんだから。……僕は単にそう考えていた。ところが、後になってわかったのだが、Rの真意はもっともっと深い所にあった。僕には芝居を見せるというよりは、
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I have come to Jerusalem today as a novelist, which is to say as a professional spinner of lies.
Of course, novelists are not the only ones who tell lies. Politicians do it, too, as we all know. Diplo
Words of Innocence and of Experience 2
「お前が真実を語れば世間の人に悪く思われ、お前がウソを語れば神様に悪く思われる」
「お前は(もし皆の前で話すとしたら)真実を語るかウソを語るかである」
「ゆえに、お前は世間の人に悪く思われるか、神様に悪く思われる」
これは昔々、ギリシャ時代にある母親が息子に語った言葉(の一部)である。第2段に括弧に入れて補った言葉からわかるように、母親がいいたいことは、
だからお前は皆の前で話をしないほう
Words of Innocence and of Experience 1
会談からの帰り道で、イエズス会士はドミニコ会修道士に出会った。彼は宣教師に自分が議論に勝ったと告げ、真理は常に勝利を収めるものだと断言した。ドミニコ会士は彼にこう言った。「もし私がその場に居合わせたなら、あなたは議論に勝てなかったでしょう。私はあなたに二枚舌と偶像崇拝との罪があるのを論証したでしょうに。」口論は熱を帯びて、ドミニコ会士とイエズス会士は髪の毛をつかんでの取っ組み合いになった。高官は
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