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Twitter300字ss

Twitter300字ss。お題は「散る」です。

無題です。題付けるの面倒だ…

 まだ二分咲きの桜並木の土手をゆく。今年は暖かくなるのが遅くって、やっと後ろに乗せてくれた今日で三月は終わる。

 「秋!止まって!だんご屋!」とメット越しに叫んで太ももを叩く。店先に一本だけある白木蓮が灯るように満開で、走っていても目に留まった。

 みたらしもあったけどきな粉にした。皿の上で秋と顔引っ付け合って

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Twitter300字ss

Twitter300字ss。お題は「飾る」です。

『鳳仙花』

 鳳仙花で爪染めをすると指の腹も染まる。指先が灯ったように滲んで赤くなるのが好きで、唇も頬も目尻も花びらで染めて遊んだ。

 冴子のからだを触れ撫ぜると、火照ってその跡が薄紅に変わる。私と違って真白な肌は浮かんだ赤みを邪魔しない。でも冴子は声も出さず、ただからだを熱くするだけだ。時々目をうすく開けたり閉じたりして熱くなる、そんな仕組

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Twitter300字ss『霜降りる日』

Twitter300字ss『霜降りる日』

Twitter300字ss。お題は「氷」です。

『霜降りる日』

 彼女はいつもサンドイッチを食べていて、朝、駅まで抜ける公園のメタセコイア並木の下のベンチに座っているのが見えるのだった。彼女が気になるのは、同じ制服なのに校内でその姿を見たことがないからだ。

 その日は公園までの自販機でコーヒーを買って、ベンチに近づいた。いつもの舗装された道路を外れ、木の下をゆく。ローファーが、さりと音を立て

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ささはら

ささはら

箱に入っていた彼女の髪は早緑色だった。彼女に生えていたであろう根元の方を紺の糸できつく縛られていた。

「ちいさい頃は、クリームみたいな、ほとんど白の金髪だったの」彼女は言った。今の髪は濡れたような黒だった。

「毎年、春になって、道の木の葉がでる頃になると、毛先から私も色づいて」風が吹いて箱の中の髪の表面の方だけがなびく。目線は箱。

「夏になる頃には全てが葉色になったわ」

「わたしが、一番

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      one table & two chairs



      律



 律とは別に、仲がよかった訳ではない。授業のグループワークとか以外では話したことがなかった。律と仲がよかったのは科子ぐらいで、他の子達とは全然、話しているところさえ見なかった。律は猫背で、よく隣りにいる科子は背が高くて姿勢もいいから余計小さく見えた。私の席は律の斜め右後ろで、教室全体の廊下からすぐ隣りの列の一

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向かう人々 2

向かう人々 2

 次の日は休みではないから休みでないときのいつもを過ごす。仕事場のトイレで昨日のことを思い出していた。でも自分の身に起きたことが本当なのか自信がなかった。言葉を交わしていないだけでなぜこんなに自信がなくなるのだろう。あんなに近くに居て十分な時間を過ごしたのに、視線を交わしていない、言葉を交わしていない。それだけであれはどこかで読んだ話とか観た映画とかと変わらないものになる。何か確かな証拠がないと私

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向かう人々 1

向かう人々 1

 手の内の文字を追っているうちに眠くなって自然にまぶたが下がり、開き、再び読み始めると、眠たいのに目をつぶる前まで読んでいたところまでは、ここは読んだとはっきりとわかる。読んでいた場所はすぐには探せないのに、文字を追うと読んだところとまだ読んでいないところの境目は、はっきりと、ある。そのことはいつだってすごく不思議で、内容は頭に入らなくても、読んだ、ということは分かる。読む前にはもう戻れない、と芯

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