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明治英文トリロジー

Audibleで明治時代に英文で出版された本を三冊読みました。

いずれも、日本人としてのアイデンティティを再考させてくれる本です。

驚くべきことは、いずれの本も英文で出版されたことです。

本ブログでは、明治に出版された英文三部作について紹介するとともに、グローバル化が進展する現代において「大切なものは何か?」ということについて考察します。


■ 代表的日本人/内村鑑三

本書は、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人 5名の生き様を記した『代表的日本人』は、日露戦争後の1908年に英文で刊行されました。

この本の対象は、5名の方々の生き様であり、内村鑑三は人の生き様からの学びについて論述されていきます。

代表的日本人の考え方と一貫した行動には驚きです。

また、全員に共通していることは質素倹約であり、派手でなく自分の生き方を貫くことに重きを置いています。

読み終わったときには、「私もこんな生き方をしていきたい」と考えるのではないでしょうか?

■武士道/新渡戸稲造


5,000円札で有名な新渡戸稲造ですが、

「武士道を書いた人」と知っていても、

その武士道を読んだことがある人は少ないかもしれません。

私もその一人であり、今となっては武士道を読まずして日本人を語れるのか?と不安になる次第です。

武士道とは道徳観であり、義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義この7つが、武士道の基本理念とされています。

宗教観が希薄な日本にとっては、武士道という道徳観が重要だと新渡戸氏は言っています。

私は、この本の展開が、デール・カーネギーの「人を動かす」に似ていると感じました。

儒教をまとめた孔子や哲学者のトーマス・カーライル

著名人の考えを述べたうえで武士道という道徳観と対比する展開が似ています。

これは定かではありませんが、カーネギーも武士道に少なからず影響を受けているのではないでしょうか?

■ 茶の本/岡倉(寛三)天心

3つ目は、岡倉天心の茶の本です。

この本は、今まで名前すら知らなかったため、

読んだときに衝撃を受けました。

普段何気なく飲んでいるお茶には深い意味があり

日本文化は茶道に大きな影響を受けているのです。

日本の茶室や陶磁器で作られた茶碗だけでなく、茶から展開する理念です。

特に「無」という境地についてとても興味深く感じました。

装飾する足し算の考え方ではなく、引き算の考え方であり

無から想像することの大切さを知りました。

また「道(タオ)」という老子の考えについては更に驚くことばかりで

剣道や柔道などの武術だけでなく、道というのは哲学であると言います。

「日本人にはこのような考えを持っていたのか」と驚嘆し誇らしく思えました。

■ グローバル化の流れに一石を投じる



わが国では、まだまだ根強くグローバリズムが台頭しています。

この流れは止むことはなく、規制緩和でより加速しています。

一方で、明治時代はどうだったでしょうか?

明治時代では、開国の影響で海外文化がたくさん輸入されていったといいます。

そのグローバル化の流れに、一石を投じたのが上記の三部作です。

それは英文で書かれているということに意味があり、

「日本の素晴らしさを海外に伝えたい」という想いから英語で出版されたと考えます。

このグローバル化が善とされる時代に、日本人が合わせて読みたいトリロジー(三部作)でした。





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