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鍼灸整体マガジン

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鍼灸・整体のヒントになる記事をまとめていきます。毎日整体をしているJSPO-ATの鍼灸学生が書いてます。
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記事一覧

#44【股関節】「股関節伸展」と「大殿筋」の重要性について

#44【股関節】「股関節伸展」と「大殿筋」の重要性について

臨床では股関節の伸展ができない人がとても多いです。
これは簡単にチェックできます。うつ伏せで、膝を伸ばしたまま脚を持ち上げてもらいます。しっかり上がれば問題ありませんが、10cmくらいしか持ち上げられないという人も少なくありません。

下肢をほとんど持ち上げられないという人は腰痛や姿勢不良になるリスクが大きくなります。
今回は、股関節の伸展可動域は健康な体づくりにおいてとても重要だという話をしてい

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#43【頸肩腕症候群】FHRSPを改善させる運動療法について(Forward Head and Rounded Shoulder Posture)

#43【頸肩腕症候群】FHRSPを改善させる運動療法について(Forward Head and Rounded Shoulder Posture)

今回参考にした論文はこちら。

Fathollahnejad, K., Letafatkar, A. & Hadadnezhad, M. The effect of manual therapy and stabilizing exercises on forward head and rounded shoulder postures: a six-week intervention with

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#42【東洋思想】一源三岐説について。

#42【東洋思想】一源三岐説について。

一源三岐説って聞いたことありますか?
私は授業で奇経八脈の衝脈について学ぶ際に、ちらっと先生が言っていたのを聞いたくらいです。
気になって調べてみましたので、今回の記事ではこの一源三岐説が何かについて書いていきます。

1.三才理論(さんざい)とは?鍼灸を始めとした東洋医学には、拠り所とする思想(理論)があります。それが古代中国で発展した陰陽思想(理論)、五行思想(理論)などです。三才理論もその一

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#41【奇形八脈】八脈交会穴治療について。「後渓ー申脈」

#41【奇形八脈】八脈交会穴治療について。「後渓ー申脈」

奇経八脈の治療穴として、八脈交会穴があります。
八脈交会穴は、2つの経穴を組み合わせてセットで施術します。
今回は、督脈ー陽蹻脈の八脈交会穴治療について紹介します。

督脈と陽蹻脈の生理作用や治療について先に読んでおくと、理解が進みやすいかもしれません。リンクを貼っておきますので、是非ご覧ください。

1.八脈交会穴の治療システムについて督脈と陽蹻脈の八脈交会穴は、それぞれ「後渓」と「申脈」です。

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#40【奇経八脈】督脈の流注、生理作用、治療について

#40【奇経八脈】督脈の流注、生理作用、治療について

この記事では、奇経八脈である督脈について紹介します。
督脈は奇経八脈の一つではありますが、正経十二経脈のように固有の経穴を持った奇経八脈です。

1.督脈の流注督脈は胞中から起こり、会陰に出て、脊柱の中を上行します。体表ではちょうど脊柱の棘突起を一直線に上っていきます。
項の後方、頭部の正中線に沿って上り、頭頂部、額部、鼻部、上唇を経て上唇小帯に至ります。

背部では手足の三陽経と何度も交会してい

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#39【足少陰腎経】腎の気化作用の評価は関元で。

#39【足少陰腎経】腎の気化作用の評価は関元で。

東洋医学における腎の重要性は今更言うべきことでもないと思います。
腎精を蓄え、体の発育に関わったり、生物として必要な生殖活動を支えたり、はたまた脳の活動もこの腎精による滋養に支えられていると言われています。
歳を重ねて腎精が消耗されてくると、脳の活動が衰え、足腰も弱ってきます。最終的に腎精が尽きたときは死を迎えるというようにも言われています。

今回はそんな腎が持つ腎精をつくり出す作用と、その作用

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#38【股関節】グロインペイン(鼠径部痛症候群)は中殿筋をゆるめましょう。

#38【股関節】グロインペイン(鼠径部痛症候群)は中殿筋をゆるめましょう。

私は高校サッカー部でトレーナー活動をさせていただいています。活動する中で、グロインペインに遭遇することがかなり多いなという印象です。
毎学年に1〜2人はいるような気がします。

私は自分の経験から、グロインペインを治すためには中殿筋をゆるめるのが重要であると考えています。
今回はそんなお話です。

1.グロインペインについて概要グロインペインはスポーツ活動中に鼠径部に現れる痛みの総称です。「足関節

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#37【奇経八脈】整体は陽蹻脈を狙え。

#37【奇経八脈】整体は陽蹻脈を狙え。

陰蹻脈と陽蹻脈について記事を書いたのですが、整体をする中では陽蹻脈を重視するのがいいかと思っています。
今回はそんなお話です。

陰蹻脈、陽蹻脈についての記事を先に読んで頂いたほうが理解が進むかも知れませんので、よろしければ以下のリンクから御覧ください。

1.整体は「瀉(シャ)」鍼灸には「補法」「瀉法(シャホウ)」という考え方があります。「補法」が足りないものを補う治療法であるのに対して、「瀉法

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#36【長野式治療】長野式の瘀血処置を指でやってみた話

#36【長野式治療】長野式の瘀血処置を指でやってみた話

長野式の瘀血処置を指でやってみると驚くほど効果が出たので書いていきます。

1.瘀血とは瘀血というのは、東洋医学において最も知られている血液病態です。非生理的血液のことを「瘀血」と呼ぶ他、その非生理的血液が渋滞しているのも「瘀血」と呼びます。

例えば打撲で内出血をして青タンが数日残っているのを「瘀血」と言います。内出血で血管外に出てきた血液は非生理的血液です。そして内出血がその場で留まっている現

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#35【奇経八脈】陽蹻脈の流注、生理作用、治療について

#35【奇経八脈】陽蹻脈の流注、生理作用、治療について

前回は陰蹻脈について紹介しました。今回は陰蹻脈とは対になる陽蹻脈について書いていきます。
教科書的には奇経八脈それぞれが陰陽などの関係には無いとなっていますが、高野先生は奇経八脈も陰陽や五行の関係に当てはめることで見えてくるものがある、という立場です。

ですので、陽蹻脈は陰蹻脈と陰陽関係で捉えると理解しやすくなるかと思います。また陰蹻脈に比べて整体施術で扱いやすいのが陽蹻脈だと思います。その辺は

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#34【奇経八脈】陰蹻脈の流注、生理作用、治療について。

#34【奇経八脈】陰蹻脈の流注、生理作用、治療について。

この「整体マガジン」ですが、こっそり「鍼灸整体マガジン」に名前を変えてます。今後は鍼灸に関する内容も投稿していこうと思います。

一つ断っておきますが、私はまだ鍼灸学生の身ですのですぐに現場で使える実践的な内容にはなりにくいかと思います。
ただこのマガジンのテーマは「ヒントになる記事」ですので、それくらの記事なら書けそうだなということで書いていきます。
自分の勉強にもなるしね。

で、いきなり奇経

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#33【足関節】ガニ股には2パターンある。

#33【足関節】ガニ股には2パターンある。

…と、ふと思ったので書いてみます。

簡潔に言うと、足首の硬いガニ股と足首の柔らかいガニ股です。
足首の柔らかいガニ股は、一般的にはO脚と呼ばれているやつです。ガニ股が2パターンというよりは、ガニ股とO脚は違うということですね。
ということで、今回はガニ股とO脚の違いについて考える記事です。(タイトル詐欺すみません)

1.ガニ股とO脚の違いガニ股とO脚は違うという記事は、検索すればすぐ出てきます

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#32【股関節】臼蓋形成不全の方がするべきトレーニング

#32【股関節】臼蓋形成不全の方がするべきトレーニング

今年の2月頃に股関節の臼蓋形成不全があるという方を診させてもらい、股関節のトレーニングを一つ教えていました。
先日その方が「調子がいいので診てほしい」と言って来院されました。

頑張ってトレーニングを続けているそうで、最初動かなかった股関節がよく動くようになったということです。それに伴って腰痛が軽減し、仕事中に手放せなかったコルセットを今は着けなくてもいいと言ってました。
嬉しい報告ですね。

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#31【運動学】SLRが上がらないのはハムが硬いから?

#31【運動学】SLRが上がらないのはハムが硬いから?

カッコつけて運動学とか書いてますが、小話みたいな感じで読んでいただければと・・・

身体が硬いからストレッチをするという方は多いです。臨床の現場でも可動域を見ると思います。例えばSLRが上がらなかったとき、これは股関節伸展筋のハムの柔軟性が無いからでしょうか。(ヘルニアの所見が無いとしてです)

今回の記事では「身体が硬い」に対する私の持論を書いていこうと思います。

1.SLRが上がらないのはハ

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