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文学フリマ新刊「毒親育ちの恋愛事情」表紙のウラ話


文学フリマ東京38にて、「毒親育ちの恋愛事情」を販売する。

今週中に入稿なので、今は制作の佳境だ。表紙のイメージはこんな感じになった。

表紙イラスト:chitose様

本編で触れるかわからないので、せっかくだからnoteで表紙についてウラ話をしようと思う。
表紙の花は夾竹桃(キョウチクトウ)という。イラストのように濃いピンクだけでなく、薄ピンクや白色の花をつけるものもあるようだ。きれいだが、樹木全体に毒がある。花言葉も「油断大敵」「用心」など、あまり明るい雰囲気ではない。
最初は太宰治が好きだという理由で、本の表紙を彼が好んだという桃の花にでもしようかと思っていた。自分の好きを詰められるのが、ZINEの醍醐味だ。私は中学生のころから太宰治のファンだった。自室に全集も置いている。桃の花はきれいなので、イラストにしても映えるだろう。
調べているうちに、彼が借家の庭に夾竹桃を植えていたという逸話が見付かった。美しくもどこか毒々しさを感じる姿をしていた。夾竹桃の写真を調べてすぐに、この花を表紙にすると決めた。

「毒親育ちの恋愛事情」は決して甘い恋の話ではない。むしろ恋愛や家族の正しい形がわからずに四苦八苦する話ばかり書いている。ただきれいなだけでない夾竹桃が、作品の内容にピッタリだと思った。
「もっと毒々しい感じで」「花は鮮やかで濃い色で」…イラストを依頼するときは、かなり細かく指定した。イラストレーターの方も大変だったと思う。それでもしっかり耳を傾けてくれ、こちらの期待以上のイラストを作成していただいた。

太宰治の植えた夾竹桃は、船橋に行けば実際に見られるようだ。無事に入稿が終わり本が完成したら、一度拝みに行こうと思う。

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