見出し画像

フランクフルトっ子がビールより好きなアップルワイン(シードル)

フランクフルトはシードルの愛好家にとって、まさに夢のような場所です。ドイツ中でシードルを楽しむ場所は多いですが、フランクフルトはその中心地とも言えるでしょう。更に、世界的に有名な「Cider World Expo and Awards」がフランクフルトで開催されることも、この都市のシードルへの情熱を示すものです。

フランクフルトっ子はApfelwein(アップルワイン)が大好き!

ドイツ、特にヘッセン州のフランクフルトは、シードル(ドイツ語で「Apfelwein」)の生産と消費の中心地として知られています。ドイツ全体でシードルが人気というわけではないとされていますが、この地域ではシードルが地元のお酒としてとても愛されています。その理由として考えられる背景を以下に簡単にまとめました。

歴史:かつてのヘッセン州はワインの生産地域としても知られていましたが、何らかの理由(気候変動、病害、経済的要因など)でワインの生産が難しくなった時期がありました。この時、維持コストが低いリンゴの栽培とシードルの製造が奨励されました。また、フランクフルトは歴史的に交易の中心地であり、近郊の農村地帯からのリンゴやシードルの供給を受けてきました。これにより、都市内でのシードルの消費が促進されました。

気候と土壌:ヘッセン地方は、リンゴの栽培に適した気候と土壌を持っています。これは、高品質のシードルの生産に非常に重要で、そのためこの地域がシードル生産の中心地となった要因の一つです。

伝統的な生産方法:ドイツのシードルは、多くの場合、伝統的な方法で生産されます。これには、特定のリンゴ品種の選択、自然発酵、そしてしばしば木製の樽での熟成が含まれます。

社会文化的背景:シードルは、ヘッセン地方の家庭や地域の酒場での主要な飲み物として長い間楽しまれてきました。伝統的には、大きな陶器(「Bembel ベンベル」として知られる)から切り子のグラスに注いで飲まれます。

ベンベルは、アップルワインを入れるための伝統的なジャグやピッチャーです。伝統的なベンベルは灰色の陶器の表面に青色の模様で装飾されています。

ザクセンハウゼン

フランクフルトはヘッセン州のシードル文化の中心であり、多くのシードル酒場が存在します。これらの酒場では、地元の料理と共にシードルが提供されるのが一般的です。
そんなフランクフルトの中でも南部に位置し、マイン川の南岸に広がる地域「Sachsenhausen ザクセンハウゼン」は多くの伝統的なシードル酒場が集まっており、観光客にも人気があります。

アップルワインのターヴェルン

ザクセンハウゼンは特に「Ebbelwoi-Kneipen エベルヴォイ・クナイペン」または「Apfelweinwirtschaften アプフェルヴァインヴィルトシャフテン」
と呼ばれるアップルワインのパブや(*1)ターヴェルンで知られています。これらは木製の長椅子や伝統的な内装で、地域の雰囲気を感じることができます。地元の住民に愛され、観光客が集まる場所でもあります。

(*1) ターヴェルン は、主に飲酒を目的とした公共の場所や店を指す言葉で、英語の「tavern」と同じ意味を持ちます。古くは宿屋や宿泊所の意味も含んでいましたが、現代では主に飲酒や軽食を提供する場所としての意味合いが強いです。多くのターヴェルンでは、地元の食材を使用した料理や地元で製造される酒などを楽しむことができます。

自家製のアップルワインがあるパブでは常緑樹のリースを店の軒先に掲げこれを知らせる

現代のシードル文化:シードルは今も変わらずヘッセン州のアイデンティティの一部として受け入れられています。しかし、生産方法や風味に変化が求められることもあり、伝統的なスタイルだけでなく、新しいスタイルのシードルも生まれてきています。

フランクフルトとヘッセン地方全体のシードル文化は、地域の歴史、伝統、そしてアイデンティティに深く結びついています。


CiderWorld’23 Awardスティル(非発泡)部門で
スペイン・バスク地方のナチュラル・シードル・イサステギが金賞を受賞🥇



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?