見出し画像

前前前前前前前世から君を探す「スピリットサークル」

映画「君の名は。」を鑑賞している最中、あるシーンを見た時に、ふとこの漫画「スピリットサークル」のことが頭に浮かんだ。何故かと言うと、偶然にも同様のシーンがこの漫画にもあったからだ。

とはいえ、主題歌・前前前世が事前に耳に入っていたので、厳密には鑑賞前にも多少意識はしていた。スピリットサークルは輪廻転生をテーマとした作品だからだ(君の名は。のほうはそれとはまた違っていたのだが)

それぞれのネタバレに繋がるのでどういったシーンかは詳しくは言及しないが、そもそも似てるとかそういう事を言いたいわけではない。この2作品は多少の共通項はあれど、まったく異なる物語だ。

ただ、自分自身がこの2作品をわりと近い間隔で体験した事で思うところがあるという事と、あれだけ全てが詰め込まれた極上のエンターテインメント作品である君の名は。にも引けを取らないくらいの壮大なカタルシスを味わえる神漫画がここにあるよと言いたくて仕方がないのだ。

まず最初に作者・水上悟志について触れておこう。この人の漫画は外れが無い。というか神漫画率が高い。別作品の「惑星のさみだれ」のほうが有名かもしれないが、実はこれもここで取り上げたいくらいの作品である(どちらを先に書くか迷ったくらい。水上作品を知るきっかけとなったさみだれに関してはコンプリートまでの苦労のエピソードがあるのだが、それはまた機会があれば…)

純粋にめちゃくちゃ面白い王道の少年漫画が描ける天性の漫画家なのだが、この2作品は比較的マイナー誌のヤングキングアワーズで連載されていた。
もしこの人がジャンプで連載していたとしたら、間違いなくもっと売れていたはずである。そのくらい、いつでも大ヒット漫画家になれるポテンシャルを持っている(何故未だ水上作品がアニメ化と縁が無いのかは疑問)

さて、本作スピリットサークルは、14歳の主人公・桶屋風太と転校生・石神鉱子との時空を超えたラブストーリー…ではなく、鉱子は風太に「あんたを殺す」と言い放つ。どうやらこの2人は何代もの前世から続いている因縁があるらしい。鉱子はその前世を知っている。風太もまた夢の中で前世を体験する事ができるツール、スピリットサークルを手にし、前世の自分を知る事になる。果たして、鉱子と風太の前世に一体何があったのか…

ネタバレない程度のざっくりとした序盤のストーリーはこんな感じだ。
本作は現在、過去、未来と計7人分の輪廻転生が描かれる(この記事のタイトルはそこからきている)それぞれの時代の話が展開する最中は主人公同様にどっぷりとその物語に浸かる事になる。単体の話としても抜群に面白い。
そう、それはまるで漫画史に燦々と輝く大傑作・火の鳥(手塚治虫・著)を彷彿とさせる構成となっている。意識して描かれたかどうかはわからないが、その壮大なスケールの物語性からくる感動はこちらも引けを取っていない。

この物語は決して風太と鉱子の2人だけの物語ではなく、彼らの周りの全ての人々が時代を超えても繋がっている。この漫画を読んでいると、そういった人の絆に心を打たれ、何とも言えない温かくて良い感情がこみ上げてくる。そして謎に満ちたリーダビリティ最高のストーリー。
全6巻でこれだけ壮大で、濃く、しっかりと完結する漫画はそう無い。

スピリットサークルは4年の連載を経て今年2016年に完結を迎えた。
よって、今年の自分的このマンガがすごい!第1位は間違いなくこの作品だと言えよう。

この素晴らしい漫画をもっと多くの人に読んでもらいたいから、賛否はあると思うが、あえてキャッチーな君の名は。と絡めさせていただいた。
実際読んでいただかないと本作の魅力は十分に伝わらないかと思うが、少しでも興味を持っていただけたら幸いだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?